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介護という仕事

僕の名前は中谷(なかたに)といいます。今年の春に高校を卒業して、地元に就職した1人です!前からしたいと思っていた仕事だったからとっても嬉しいです。


僕は特別養護老人ホームで働いている、介護職員です。介護といえば皆さんはどのようなイメージを持っていますか?


辛い、厳しい、臭い、ウザイ、うるさい、面倒臭い。様々だと思います。たしかに、先輩や利用者さんからは理不尽にしかられたり、嫌みを言われたりします。


認知症の方であれば何度も同じ事を言わなければなりません。根気強さも大切なんですよ。皆3年ほどで辞めてしまいます。


「中谷さん、弟みなかった?」


「?ああ、糸賀さん。見てませんよ」


「そうですか。どこにいったのやら………」


「大丈夫ですよ。私も見かけましたら、お伝えしますね」


「ありがとうね。中谷さん」


利用者さんの中にははここを実家だと思っておられる方もいます。「あの人見なかった?」「電話してくれない?」など、利用者さんが私達職員に対してお願いすることは日常茶飯事です。


「中谷さん。財布がないんだけど、知らない?」


「矢島さんの財布ですか?いえ、見ていないです」


「そう?昨日から見えなくて、困ってるのよ」


「そうなんですか、見つかったらお届けしますね」


「よろしくお願いします」


このように優しい方もおられますが、中には「お前が盗った」とか、「ふざけるな」とか罵声を浴びせられる方もおられます。そういった方々に対しても、丁寧に対応しなくてはなりません。ストレスが溜まるのは仕方ないかもしれません。


「中谷くん。記録忘れてる。皆が見るから、書いてきて」


「あ!はい、すみません。すぐに書きます!」


先輩の安立さんは少し怖いです。睨むような目付きもそうですけど、言葉にトゲがあります。自分のミスですから仕方ないですけど、性格的な部分もあると思います。


「あ、中谷くん。どうかした?」


「記録忘れがあったみたいで、今書こうかと」


「そうなんだ、頑張って」


「ありがとうございます、牧田さん」


牧田さんは誰にでも優しい先輩です。新人の僕にもよくやってるね、とか言ってくれます。利用者さんだけじゃなくて、職員も人様々です。だから先入観や個人の価値だけで話を進めてはいけないと思います。


安立さんはきつい言い方をしますけど、しっかりフォローしてくれますし、仕事も丁寧です。牧田さんは優しいですが、時折ミスが目立ちます。良いところも悪いところもあるんです。


利用者さんも同じです。怒りっぽい人、優しい人、自分の世界を持つ人、様々です。そんな方々一人ひとりと紳士に向き合って、支えることが、介護なんだと思います。利用者さん主体であり、利用者さんの尊厳も大切です。


皆さんが生きているように、利用者さんも生きて、暮らしています。辛いこともありますが、嬉しいこともたくさんあります!どうか、介護が最悪だなんて思わないで欲しいです。


利用者さんはちゃんと私達を見て、評価してくれます。普段は怒りっぽい人でも、「お前なら大丈夫」とか「安心できる」とか言ってくだされます。


きっと、偏見はすぐにはなくならないと思います。私も少なからず、ありますから。でも、悪い職場ではありませんでした。誰かが必要としてくれます。


私はこの介護という仕事に就いて、本当に良かったと思います。利用者さんが嬉しいなら、私も嬉しいから━━━。

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