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5話 勇気の欠片

逆転(リバース) !!」



カインの体を光がコーティングされるように暖かな輝きに包まれる。


「あ、あれ?なんだろうこれ?でもなんだかもう怖くない!シールを!みんなを守るんだ!」



逆転(リバース) によって恐怖状態を穏やかな精神に変化させ、過去の暗闇に佇む心に光を差した。

それはカインの臆病な精神と冒険に憧れる希望を融合させて"勇気の欠片"を生成した。



ホブゴブリンが再びシールに向かって棍棒で殴ろうと大きく振り上げる。

カインは何とかしなければと無我夢中に

足に肉体強化を掛けて一瞬でシールとホブゴブリンの間に飛び入る。

それと同時に肉体強化で両腕に力を込め、腕をクロスにしてホブゴブリンの攻撃を防ぐ。



「グギャ?」ホブゴブリンは絶対的な状況に自信を持っていたが思わぬ展開に少し不安を過ぎらす。



それでも10歳の小さな体は肉体的にも余りに不甲斐ない。

垂直に振り下ろされたことで吹き飛ばされはしなかったが、カインの体は地面に数センチめり込んでいた。



そこにゴブリンをなんとか片付けていた護衛がホブゴブリンの背中に攻撃を加えた。

ホブゴブリンは思わぬ事態に棍棒を乱暴に振り回し、林の中へ逃げ出した。




「カインお兄ちゃん、怖かったよぉー」

襲撃の危険を脱したシールはカインの背中に飛びつき暫く泣き叫んだ。



セフィアも足の震えが和らいだのか、カインとシールを抱き締めて、「良かったぁ」と普段より早く脈打つ胸に大きく息を吐いて落ち着かせた。



「奥様方、危険な目に合わせてしまい申し訳ありません。負傷した者も3名おります。ここに居てはまだ危険がありますのですぐに屋敷へ戻りましょう」



負傷した護衛達を馬車に乗せ、カイン達は急いで帰路を駆け出した。



「それにしてもカイン様は勇気あるお方ですな。あの凶暴なホブゴブリンに無手で相対し、さらには攻撃を防ぎシール様をお守りするとは」



「いやぁ、無我夢中で・・・。でも本当になんとかなって良かった」


「そうよ、カイン?あなたついこの間までずっとベッドの上だったのに、ほんとうに今までと反転したみたいに・・・・・・あっ!」


「そうです、母様!さっきもスキルが発動して勇気が湧いてきたんです」



「カインお兄ちゃん、とってもかっこ良かった、よ?」とシールが照れながらも褒めてくれた。

家族という贔屓目もあるが可愛らしい顔を赤らめて言ってくれる姿に素直に嬉しく感じた。



そんなことを思いながらカインはスキルの反動でまた意識を失ってしまった。



カインが眠りについたことに気づいたセフィアは護衛とシールに真剣な表情を浮かべ、

「今日カインの行動は誰にも話さないで。これは私たちだけの秘密にします。いいですね?」

と普段の穏やかな話し方ではなく、公爵家夫人の

厳かさを漂わせて声を発した。


「はい」

「仰せのままに」



シールと護衛達はピリッとした空気に押され、肯定の言葉を返した。



その後、眠りについたカイン達一行は、無事に屋敷に戻ることが出来た。



大空を赤く染めた頃に。




*****************

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「なにぃ??カインは生きておるだと!!??お前が言った訃報(吉報)の連絡を受けて急いで来たと言うのに、どういうことじゃ!!」



「ジードン様申し訳ございません!し、しかし脈が止まったことも確認したのです!一体なぜこのようなことになったのか・・・・・・」



「ふんっ!もう良いわ!とりあえずハルクを呼べ。少しばかり予定と異なるがあの"計画"を進めるぞ」



屋敷から少し離れた木陰でジードンはメイドを叱責する。



いつもより不機嫌なジードンの指示を受けたカインのメイドこと闇ギルドのロメアは、

カインの事実になぜ?なぜ?と自らの問答に答えを見つけられず、これ以上ジードンを怒らすのは得策ではないと考え、ハルクを呼びに屋敷へ走った。

逆転はリバースと読みます。(今更ですが)

宜しく。

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