第5話 ステータス2
召喚されてから2日目。本格的に魔王討伐の為の戦闘訓練が始まった。
とは言っても俺たちはこの世界のステータスについて何も知らない。そのためまずステータスについて説明を受けることになった。
昨日とは違う部屋に集められた俺たちは人数分ある椅子に座って待っている。縦に二分して左側に女子が右側に男子が座っている。俺は一番前の端っこに座ることにした。
(おそらく全員のもってるクラス、スキル、ギフトを把握すると思われる。今までに無かったクラスだから目立つ。ならばそっちに意識が向いて性別が女になってても気にされないはず。)
そう考えている俺の隣に座っている拓磨が大きなあくびをする。
「眠たそうだな。」
「ああ。昨日なかなか寝れなくてな。」
「なんでだ?」
「召喚されてすぐは考える余裕が無かったけど部屋に案内されてから考える余裕ができたら、これからどうなるのかとか、どうしたらいいのかとか考えちまってな。寝ようにも寝付けなくなった。」
「これからなんて誰にだって分かるはずないじゃん。だからさその時できることをするしかない。ならさ今はできることを増やしていけばいいんじゃないか。それがその時に役立つかもしれないぜ。」
「そっか。そうだよな。悪い。後ろ向きな思考になってた。」
「気にすんな。」
いつもの前向きな拓磨に戻って安心した。こいつが後ろ向きだと調子が狂う。
こいつと話していた俺は気づかなかった。女子の方からの視線に。その結果大変な目にあうのだがそれは後の事である。
そんな話をしているうちに鎧を着た男性が部屋に入ってきた。
「全員いますね。皆さまはじめまして。私は王国騎士団団長を務めるルイス・クライスロッドと申します。これから皆さんを訓練いたします。」
そうルイスさんは優しそうな雰囲気で話を始めた。
「まず、ステータスを見たことがなかったとの事でしたのでステータスについて分かっていることを説明したいと思います。ステータスは昨日聞いたかと思いますが声に出して宣言するもしくは念じることで見ることができます。」
皆さんもステータスを出してくださいと言われて俺たちもステータスを出してみる。
「ステータスにはその人の名前、種族、性別、その人のレベル、クラス、HP 、MP、筋力、防御、俊敏、魔攻、魔防、耐性 、スキルがあり、皆さんにはその後にギフトがあると思います。名前、種族、性別はそのままなのでそれ以外についてまずは簡単に説明しますね。」
ルイスさんの説明をまとめると
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レベル
その人の成長段階の事であり限界レベルは100である。
クラス
その人の才能の可能性であり、生まれる時必ず一つはつくものである。そのクラスにあった行動などに補正がつく。そのためクラスを持つ者は、持たない者より高い技術になる。
クラスにはレベルがあり、補正のつく行動をする、又はクラススキルを使っていく事で上がっていく。
HP
体力を表し、0になると死ぬ。またHP の値がその人の持久力を表し、HP が高いと持久力も高くなる。
MP
魔力量を表し、これを消費する事で魔法や魔道具を使うことが出来る。MPが0になると魔力不足になり気を失う事になるから注意しないといけない。
筋力
その人の力であり高いと重いものだろうと軽々持てるようになるし物理的な攻撃は威力が増す。
防御
耐久力。高いと重い一撃でも耐えられるようになったりする。
俊敏は動きの速さだけでなく反射神経の速さでもある。
魔攻
魔法の威力で、これの高さが魔法の威力に直結する。
魔防
魔法に対する防御力。魔法ダメージを減らすことができる。
耐性
色々な状態異常への耐性これが高いと状態異常になりにくくなる。
スキル
その人の熟練度 これがあるのと無いのとでも大きな差ができる。
レベルは1から10までで1で脱初心者、10で極地の扱いになる。
ギフト
最高神であるエレステレナより与えられるものでそれだけで状況を大きく変えることができたりする
レベルはないが一つ一つかなりの力を持つ。
賞罰
表彰されたり犯罪を犯した時に付く
何もなければ表示されない
称号
何かあった時に付くことがある
付いているからといって何も補正は無い
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とのこと。
「レベルは魔物などを倒すことで上がっていく。それ以外のステータスは日々の鍛錬でも上げられる。」
「装備によっては上がらないのですか?」
「装備については特殊でな。ステータスの上に強化値として加算される。ステータス画面では値の隣に+○と表記されているんだ。」
先程の説明によって皆理解出来たことを確認するとルイスさんは透き通った水晶玉を出して
「これは触れた者のステータスを他人にも見えるようにする魔道具である。こいつなら名前、レベル、クラス、身体能力、スキル、ギフトが分かる。君達それぞれに最適な鍛錬を施したいから今のステータスを見たいんだ。協力してほしい。」
参考までにと言ってルイスさんが水晶玉に触れるとステータス画面が表示され、
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ルイス・クライスロッド
Lv67
クラス 剣聖Lv10/槍聖Lv10
HP 32569/32569
MP 9825/9825
筋力 5300
防御 4295 +180
俊敏 4200
魔攻 3429
魔防 4280
耐性 4295
スキル
剣術 Lv10
槍術 Lv10
双剣術 Lv10
光魔法 Lv8
算術 Lv4
クラススキル
剛撃 Lv10
瞬閃 Lv10
瞬槍 Lv10
覇刃 Lv10
覇槍 Lv10
破魔一閃 Lv10
破魔一槍 Lv10
覇気 Lv10
覇刃乱舞 Lv10
八方睨み Lv10
覇光 Lv10
覇光滅波 Lv10
極覇 Lv10
極覇滅光刃 Lv10
極覇滅槍 Lv10
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ルイスさんのステータスを見て自分たちよりはるかに高いステータスに全員声も出ないほどの驚きだった。
「とまあ、こんな感じに表示される。さて、誰から行くかい?」
ルイスさんのステータスの後のため誰もが尻込みする中一宮 正俊が水晶玉の前まで行って触れた。
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一宮 正俊
Lv1
クラス 勇者
HP 200/200
MP 300/300
筋力 42
防御 38
俊敏 33
魔攻 39
魔防 34
耐性 40
スキル
剣術 Lv3
短剣術 Lv1
指揮 Lv2
算術 Lv4
収納
言語理解
クラススキル
聖刃 Lv1
ギフト
勇敢なる魂
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「おおー」
正俊のステータスが表示されると皆んなから驚きの声があがる。
「さすがは異世界人。一般的なLv1のステータスの倍とは。」
ルイスさんもステータスの高さに驚いている様だ。
正俊の行動により皆んなも水晶玉の前に行ってステータスを表示していった。
最後に俺がステータスを表示すると
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姫島 蓮
Lv 1
クラス 使徒Lv1/銃皇Lv1
HP 180/180
MP 250/250
筋力 30
防御 28
俊敏 38
魔攻 33
魔防 27
耐性 39
スキル
剣術 Lv1
拳術 Lv3
格闘術 Lv3
投擲術 Lv2
刀術 Lv2
抜刀術 Lv1
算術 Lv4
言語理解
収納
料理 Lv5
クラススキル
神代 Lv1
銃弾創造 Lv1
称号 異世界人
ギフト
創造領域
???
??????
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「凄いな。スキルの多さもそうだがLv1の時点でLv5のスキルを持っているとは。」
ルイスさんはLv5のスキルがあることに驚き、学級の仲間はスキルの多さに驚いている様だ。
「クラスの方は・・・このクラス見たことないぞ。」
「王宮にあるクラスの情報が載ってる書物にもなかったぞ。」と困り果てた様子なので、
「使徒に関しては分からないことだらけなのですが銃皇については何となく予想がついてます。」
と言うと
「本当かね!」
といきなり顔を上げた。
「え、ええ。銃と言うのは俺たちの世界にある武器で・・・」
ルイスさんの様子に気圧されながら銃について簡単に説明する。その時収納から銃を取り出すと学級の仲間は銃を持っていることに驚き、ルイスさんは銃を見てテンションがさらに上がっていた。
説明を終えるとルイスさんは
「なるほどそんな武器が貴方達の世界にはあるのですね。」
と新しいことを知れて満足そうに呟いた。
「さて皆さんのステータスの確認が終わりましたので本格的な戦闘訓練も始めていきます。練兵場へと行きましょう。」
俺たちはそう言った彼と一緒に練兵場へと行った。
ー女子サイドー
??? ??
この部屋に入ってから私はある一ヶ所へと何度も目線を向けていた。そこには男子が椅子に座っていて、別の男子と話している。彼は私より少し背が高いくらいで女の子にしか見えない。(彼はどうにかして男っぽく見せようとしているが上手くいってない。)
「どうかしたの?」
何度も視線を向けすぎたみたいで隣に座ってる友達に心配された。
「何でもないよ。」
私がそう返すと彼女は「そう。何かあったら相談してね。」と言ってまた周りと話をし始めた。
(うん。朝の鍛錬を見た時から気になってたけどやっぱりいつもと違う。何か隠してるっぽいし。気になるなぁ。時間がある時にどうにかして問い詰めよっかな。)
時々聞かれる問いに返しながら私はそう考えていた。