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002初バトルで両手両足裂断

『起きたまえ君』


 その言葉で目の前が暗い事に気付いた。


 『おかしいなバイタル的には』


 目を開けるとそこは大きな倉庫で、その壁には大きなモニターがはめ込まれている。

 いつ意識を失ったか覚えていない。


 「ここはどこだ?」


 あたりを見回すとモニターに電源がついた。


 『起きたね君! さっそくだけど僕はベータ。先ほどの君は興奮状態でまともな会話が難しいようだからね。眠ってもらってここに作業ロボットで運ばせてもらったんだよ』


 「サクラは?」


 映し出された画面に映るのは、白衣姿の幼い少女。

 栗色のショートのくせ毛、丸メガネが愛らしい印象を受ける。


 『彼女は残念だけど影に吸収されてしまった』


 「そんな」


 『敵を討ちたくないかい君?』


 「討つってどうやって? 影に個人が使えるような兵器は通用しないのに」


 『そのとおりさだから母船は落とせなかった。こちらも戦車やヘリをあっりたけ集めたけどね。圧倒的だったよ僕たちが予想していた数の数倍は多く影を母船は保持していた』


 「まるで見てきたような言い方だな」


 『そうさ僕、正確には僕の元になった人物だけどね。動画データだって残っている。さて話を戻そう今、全世界で生き残っている人類の推測数は全盛期の0.3%程度人類はもうすぐ滅亡するだろう』


 母船より無尽蔵に生み出せれる影画面一杯に移り込む影のすがたは数百数千以上いるようだ。

 その圧倒的影の数には絶望しか思い浮かばない。

 蹂躙される戦車群、影の打ち出す黒い何かに撃ち落されるヘリたちの逃げ惑い吸収される人々。

 これが母船の力……。


 『だから僕の元となった科学者はこの秘密の研究所を使い、影に対抗できる兵器をたった一人で研究開発をしていたんだけど、志半ばで病に侵されてね。僕を作ったのさ。僕は研究を引きつぎそして昨日完成させた』


 パチンとベータが指を鳴らすと、床が開き白い布かぶされた大きな何かが現れた。


 

 『これは僕の自信作喰鉄機(くいてっき)さ。本来なら型番をつけるところだけど、この喰鉄機そういう慣習の外側にある機体と自負しているだからこれはただの喰鉄機さ』


 「これで影を倒せるのか?」


 『データ上はね。なんせ昨日開発したばかりだからね。実戦はまださ。敵に遠隔操作されないように外部からの操作はできない仕組みが組み込んであるからね。だから』


 「分かった乗る!」


 『話が早くて助かるよ。これは手始めさ。この世界を救うためには異世界に旅立つ必要がある。こんなところで倒れるようでは、世界を救うことなど不可能だ』


 「異世界?」


 『そうさ異世界さ先日招待状が届いてね。優勝すればどんな願いでも叶うそうだ。たとえどんなよこしまな願いでもね。眉唾であるだろうけど向うは詳細なデータを添付してきた。ただの悪戯ではないのは確かだよ』



 にわかに信じがたい話ではあるが。

 奇跡にでも頼らなければ希望なきこの世界が救えないのは分かりきっている。


 『そういうことさ。影を駆逐し世界が救えないなら母船の現在位置の情報でもいい。あの戦いから20年。影の母船はあの日以来発見できていない。いくらなんでも居場所がわからないと手の出しようがないからね』


 「でもどうやって操縦すれば?」


 『VRゲームの技術を流用しているから操縦する必要はないよ。一時的に意識を機体の乗り移らせると言えば分かりやすいかな』


 ベータはおほんと。

 手を口元へ。


 『さあ乗りたまえこの機体喰鉄機の主さ君は。そうだったね名前を聞いいなかったね』


 「俺はタクトただのタクトだ」


 『苗字はそうか……すでにそんな物必要ないんだね。ここまで数を減らせば……じゃあ僕が苗字をつけて上げよう。そうだな影の復讐者(シャドーリベンジ)君は今日からタクト・シャドーリベンジだ。安直だがなかなかいいだろう?』


 その言葉に呼応するように布が取り払われる。

 20メール程の純白のボディ流線型のフォルムの手足一番の特徴は腹に口のようなものがある事か。

 祖父の形見の漫画に登場する機械人形――リアルロボットとか言うのに似ている。

 俺が近づくと胸のハッチが開いた。


 『若者に人気の作品を基にしたんだがどうだね。この機体の手足は飾りさ。機能の大部分は腹部にある』


 俺はハッチの中へ内部は祖父の漫画の絵とよく似ていた。

 そのままコクピットの座席へ座る。


 『さあいくよ! 外の影は丁度よく集まっている』


 すると次に視界が高くなる白い装甲に覆われた手足を見て現状をさっする。

 機体が生身の体であるような感覚で自由に動くこれならいける。


 『だが気をつけたまえ一定量の損傷なら君にダメージはないが、度を越えた損傷は君に精神にダメージとしてフィードバックしてくる定期的にメータを確認したまえ』


 「わかった!」


 俺はそのまま天井を突き破りブースターを点火。

 そのまま加速をつけて地上出た。


 『さあ初めての実践だ』


 「ところで武器は?」


 『今は付いていない全て倉庫の中さ。大丈夫この程度の影上手く使えば相手にもならない』


 「「「ギーギーギーギー」」」」


 虫なような鳴き声を上げる影。


 『気をつけたまえ。影は相手に応じて群体になるその予兆さ』


 影の鳴き声に呼応して、周囲の影が集まり一つになっていく。

 そうしてできた物は細い六本足不釣り合いの大な球体の体に四本細長い腕の先のは鎌がついている。


 「じゃあ行くぞ!」


 そのまま突進し影の群体の表面を殴った。

 硬い感触を返す。

 痛みはないが感覚は通っているようだ。


 「硬てぇ、なら足はどうだ!」


 そのまま回転して踵落とし、だが。

 先ほどと同じ感覚。


 「おいどうなってんだよ? 全然効かないじゃん!」


 『大丈夫これでいいのさ』


 「ベータ何を言って? ぐ!?」


 右肩に衝撃視線を送ると肩に深々と群体の鎌が刺さっていた。

 次にバチンと硬い板が割れたような音がした。

 吹き飛ばされる右腕。


 「くっそ腕が!」


 次に群体は俺の右足左足右腕と次々に鎌を突き立てる。

 影のよくやる手段だ。

 相手を無力化することを優先する。

 次に先ほど同じ音が聞こえた今度は3か所同時。

 考える必要もなく。


 死


 その言葉がはっきり頭をよぎる。

 胴体には損傷はないが俺の機体喰鉄機もう手足はない。

 武装はそもそももってきてはいない。

 戦術も仲間も武器も手足さえないのだ。


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