序章:ホームステイと始まりの日(1)
はじめまして、流椋です。
まずは『ルビー色の恋愛デイズ』に興味を持っていただき、ありがとうございます!
この小説は私の処女作に当たります。
軽く紹介をすると、プロローグから第一章にかけてコメディ的、それから恋愛チック、シリアスリィになっていくという構成です。
長編小説になること請け負いですので、予めご了承ください。
ではでは、拙い文章ですが、ルビー色の恋愛デイズをお楽しみいただければ嬉しいです><
まずは自己紹介をしよう。
俺は音原椋。
他次元世界の学園モノ的SF小説が大好きだ。
他次元といえば、あんたは四次元以降の次元って知ってるか?
四次元が時空だということを知ってるやつはたくさんいるが、五次元はどうだと聞けばこぞって知らないと返される。
さらに六次元、十一次元、十六次元となると、その道の専門家しか定義を理解できていない。
ちなみに俺は五次元まで知っている。
もったいぶっても仕方ないから言ってしまうが、五次元とはつまり、並列世界のことだ。
選択肢A・Bがあったとき、自分がAを選んだ世界と自分がBを選んだ世界が同時に存在するというものである。
二つの世界は決して交わることはないが、本や想像によって意識的に別の世界を捉えることができる。
たとえば、さっき俺はSF小説が大好きだと言ったが、中でも『日本』が舞台の小説は格別面白い。
何が面白いかと言うと、同じ『日本』でありながら世界観が全然違うといったところがだ。
奴隷制度がある日本だったり、未だに王制が続いている日本だったり。
第二次世界大戦で日本が空母を撃破してアメリカに勝っちゃった世界だったりとかな。
数えれば多種多様、それこそ小説の数だけ存在しそうな世界がある。
ちなみに俺が今読んでいる小説は、学園モノの恋愛小説だ。
これもまた、現実の日本とは少し異なった世界観から成っている。
たとえば現実じゃ、『教師』は人に勉学ではなく仁徳を教える立場の人間だろ?
しかも『教師』は人を教化したり更生するためなら暴力だろうが体罰だろうがなんでもありだ。
でも、その小説の中の『日本』は違う。
教師は勉学を教え、また、ゆとり教育なるものがあって、生徒がどんなに荒れても叱責一つままらないんだそうだ。
ときたま、素行の悪い生徒に体罰を加える教師もいるが、もはやそれは御法度レベル。
うるさい保護者が学校や教育委員会に苦情を申し出、あれこれと自分勝手なことを言うらしい。
そのせいで学校のシステムが機能しなくなったり、教師陣に心身的な障害をもたらしたりしているのだとか。
誰からこんな物語が考え出され、流行していったのかは知らないが、小説ながらよく出来たものだと思う。
さて。ここで、そういう世界が本当に存在すると考えてみよう。
もし並列空間の向こうにそういう世界が実在するならば、俺達は小説を介して知らず知らずのうちにその世界を観賞しているということになる。
逆に考えれば。
ゆとり教育が実施されている『日本』から、俺達の住む日本が観られているという可能性が考えられる。
何が言いたいかというと。
俺が『教師』になるまでの不思議な一年間が、並列空間の向こうでまんまノベライズされているかもしれないということだ。
これは実に恥ずかしいことである。
なぜなら、俺の私生活がその世界の奴らに覗かれるということだからだ。
エロ本を見たり、恥ずかしい独り言を言ったり、こっそり恋愛シュミレーションゲームを楽しんでいるのがバレてしまうということなのだ。
ま、冗談は置いといて。
俺の過ごした不思議な一年間。
こうしている今でも、どこか遠い世界の人達に観られているかもしれない。
人生で一番楽しかった一年間。
人生で一番の思い出が眠る一年間。
そして……俺の人生最大の初恋が詰まった、とても大事な一年間。
ふと目を瞑っただけで、よみがえる風景。
そう……あれは。
――淡い赤色を放つ、美しいルビーだった――