表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
青く霞み消える  作者: 空が青い
1/1

汚れた制服

 am 7:48 空は一面、雲に覆われ今にも雨が降りそうだ。和也(かずや)は青い折りたたみ傘をかばんに入れ、7:57の電車に乗るため、駅へ向かった。和也は、今年の4月に蔵切南(くらきりみなみ)高校に入学した。高校生になって5ヶ月も経つのにまだ友達はいない。休憩時間はいつも一人でいる。誰かと居たい気持ちもあるが、一人でもいいという気持ちもある。そんな事を考えていたら、駅に到着していた。

 

 am7:59 駅には、誰もいなかった。次の電車は48分後、学校には8:30までに行かなくてはいけない。この地域を通る電車は、朝は1時間に一本来るが、これ以降は2時間に一本ペースになる。

 学校までは歩けば30分掛かる。でも、体力は全然無い。どうしようか迷っていたが、和也は歩くことにした。遅刻は今までに4回したことがあった。5回目で反省文を書かされ、10回目で生徒指導され、20回目で退学処分らしい。この制度で何人か退学処分になったらしい。学校には行きたくないが、親が、「将来、仕事しなくちゃいけないから、学校に行きなさい」と、言うから学校に行っている。

 奥には雲に隠れた山、横には米を収穫し終えた後の田園風景が、広がる。いつもは電車の車窓から見ている風景だ。歩いていくことは、こういう日だけだから、とても新鮮に感じる。和也はこっそりスマホを持ってている。学校のルールでは禁止されているが、実はみんなも持ってきている。スマホの時間を見たら、時刻は8:21だった。和也はかばんのチャックを閉めずに走り出した。昨日の雨のせいか道路は濡れていて、滑りやすくなっていた。とにかく走り続けた。


 am8:36 汚れた制服を冷たい目で見ている。クラスの人は、突然開いたドアに驚いたのか、和也を冷たい目で見ている。「早く座れ」と言う声が聞こえた。クラスで一番元気でうるさい、体育会系男子の藤本敦士(ふじもとあつし)だ。彼は運動ができて勉強も出来る。理科と数学が得意だと聞いた事がある。和也は、こういう人が苦手で何も言わず、窓側の一番後ろの和也の席に黙って座った。濡れた道路を走っていて、転けたから制服が汚れている。

 1時間目が、始まる前に担任の小野田先生に呼ばれ、生徒指導室に連れて行かれた。こうなるとはだいたい予想がついていた。「何回目だと思っているんだ。」

「…」

「何か言い訳でもあるのか。」 

「あの…」

「何かあるのか。」

「…何でもない。」

「そうか、じゃあこれをやるから、たくさん書いてこい。」

授業中ずっと書いていたから何度か注意された。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ