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6³の影滅者たち  作者: 鵺刃 上
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初任務~当日・午後

『奴らに対抗するために、世界中の国々は足並みを揃えなければならない。

故に、度量衡の統一は極めて重大な課題であり、なにより人類存亡のための最重要事項だ』

 シャルル=モーリス・ド・タレーラン=ペリゴールの宣言より一部抜粋(一七九〇年フランス議会にて)


 肩口から腕を這うように滴り、その生暖かさを指先で感じ取って視線を落とす。

 アスファルトを濡らし、そして、広がる血溜まり。

「油断、してた」

 深麓数哉(みろくかずや)はそう呟いて、血に染まった右肩を左手で押さえると、前方に対峙する存在を見上げて溜息を吐いた。

 灰色の布地を纏い、2メートルほどの背丈に、腰に届くほどの長髪。

 右手には弓、左手には数本の矢、そして、背中には4枚の翼。

 その存在は背中に生えた翼を羽ばたかせ、ホバリングをしながら数哉を見下ろす。

 数哉は、目の前のような存在を幾度となく見たことがあった。

 映画やテレビ、彫刻や絵画、漫画やゲーム、あらゆるメディアで見た事があった。

 よく見られる表現は、金髪に白い肌、白い翼に、白いローブ、お決まりとして、頭上には金色の輪っか。

 このように表現されているのを、誰もが一度は見たことがあるであろう。

「天使、なわけないよな?」

 数哉は誰に問いかけるでもなく呟き、苦笑した。

 それもそのはず、対峙する存在は、自分が思い描いていた天使とシルエットが似ているぐらいで、髪は黒く、激しく乱れ、肌は浅黒く、翼は烏のように真っ黒だった。

 そして、お決まりの金色の輪っかは、頭上にも何処にもなかった。

 なにより、数哉はこの存在に攻撃され負傷した。

 天使とは、その名の通りに天の使い。人間の味方であり、救いを与えてくれる存在。況してや、危害を加えてくるなんて、有るはずがない。

 数哉が思い描く天使像は、そんな感じだった。

「堕天使ってヤツか? ……って、独り言になっちまうよなぁ」

 数哉は大きな溜息を吐くと、辺りを見渡した。

 大きな道路に、ビルが立ち並ぶ市街地。

 人気はなく、車も走っていない。

 普段であれば、人でごった返しになっている場所にも関わらず、擦れ違うモノが無いスクランブル交差点。

 その交差点の中央で数哉と堕天使は対峙していた。

シックスキューブ……か」

 数哉はそう呟くと、徐に堕天使に向き直った。

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