婚約破棄された。
「ーー、お前に婚約破棄、国外追放を言い渡す。
この人をいじめていた証拠もある。
最後に言うことはあるか?」
「・・・ドンマイ、ヒロイン」
時をさかのぼること十年前、僕は前世の記憶を思い出した。
そこで気づいた。ここが前世ではまっていた乙女ゲーであることに。
・・・僕が悪役令嬢(男の娘)であることに。
ちなみにはまっていたといっても、題名も覚えていない。
ファンタジーな感じだったけどね。
友達がゴミ箱で拾ったけど、このゲーム飽きたからあげる、
と言ってたしね。
それでもらったわけだけど、結構面白かった。
特に裏ルートが。
逆ハールートはそれは悲惨なものだったけどね。
僕は少し百合ルートに期待して、悪役令嬢をかばいまくった。
すると、悪役令嬢は実は男でいじわるはただのツンデレだったことが発覚。
なんで女装していたかはよくわからなかったけど、悪役令嬢は研究者になり、
ヒロインと幸せになっていた。
突っ込むところはたくさんあるけど、面白かった。
でもそれは、ゲームだからだ。
現実は違う。
ということで、何故女装をさせられているのかと聞いてみた。
お父さんは言った、
「この国に復讐するためだ。王子に婚約破棄されてこい」
どういうことなんだろうね。もう全く意味が分からない。
でも、理由を聞いても教えてくれないんだよね。
とりあえず、お父さん恐いし、男と結婚は
御免なので、言うことを聞いた。
当然ヒロインのことは好きにならなかったし、
自分が悪いことをするのは嫌だった。
だから僕は人をそそのかしたりして、いまの結果につなげた。
彼女達は今後後悔するだろうけど知らない。
僕はこれから君達とは関係がなくなるのだから。
「ヒロイン?どういうことだ?」
おお、すっかり忘れていたよ。
このヒロイン逆ハー作り上げていたんだった。
「何でもないよ」
つい素に戻ってしまった。
まあ、いいか。
王子達が驚いている。
「何を驚いているのかな?僕は国外追放されるんだ。
地位何てないようなものだよね。
口調も気にしなくていいはず。
また会える日を楽しみにしているよ。
じゃあね」
さて、城を出るかな。
ヒロインのこれからは、同情しかないけど、
僕のためってことで。
それにしてもこれからはどうしようか。
最近知り合った魔王様専属の研究者になろう。
勧められたし。
チートな悪役令嬢(男の娘)が婚約破棄されて、活躍する(魔王のところで)、
よくある話の筈・・・




