No.07
真っ白な空間の中、声が響いた。
『エル……エル……大丈夫かい?』
この声……エディー?
エディーなの?
『そうだよ。僕だよ。エディーだ。』
エディー!
ずっとずっと探してたんだよ?
何処にいたの?
何だか変な夢を見て……みんなとエディーが居なくなっちゃうの。
それにエディーは血を流して……どんどん冷たくなってて……っ!
『今は考えないで。エル、僕の顔を見て。ほら。』
顔がエディーの両手で包まれ視線を合わせられる。
エディーの顔を見ると“あざ”や傷が何もかも消えているとても綺麗な顔が見えた。
金色の光が煌めく。
エディー?
『ん?何だい?』
大丈夫?
『……あぁ、もう大丈夫だよ?』
エディーの綺麗な顔がクシャリと歪む。
金色の目には“なみだ”が滲んでいた。
どうしたの?
なんで“ないて”るの?
『っ!なんでもっ!なんでもないんだ。僕は大丈夫だから。』
自分が泣いている時を思い出す。
確か胸が苦しくてしょうがないはずだ。
エディー?
『なんだい?』
苦しくない?
『っ、大丈夫。ねぇ、エル?』
なに?
『ジェイドは君に優しいかい?』
ジェイド?
“やさしい”?
『うん。君に嫌なことしてない?』
うん!ジェイドはねぇ……エディーと同じ目をするの!
『同じ目?』
そうなんだよ!
『色の事?』
違うよ?
あったかい目をしてるの!
それにね!
ジェイドは一緒に居るって言ってくれたの!
『あったかい目……そっかぁ……じゃあ安心だね。』
うん!
『ねぇ、エル?』
?
『僕はね。エルの事が大好きだよ。エルの事がずっと妹みたいに大好きだった。』
“だいすき”?
『うん。今はよく分からないと思うけど……きっといつか分かるよ。』
そうなの?
『そう。きっといつかエルにも大好きな人ができる。その時にきっとこの気持ちが分かるよ。』
うん!分かった!
エディーの両手が移動して背中にまわる。
ギュッと抱きしめられる。
暖かな体温が体を包んだ。
エディーの目が押し付けられた肩に何かが染み込む様な感覚がした。
エディー?
『大丈夫だよ。……じゃあ、そろそろ時間だから……。バイバイ、エル……。』
え、行っちゃうの?
嫌だよ。
まだ一緒にいてよ!
『もうダメなんだ。もう行かなくちゃ。……きっとこれからの人生エルには苦しい事や辛い事が沢山沢山降りかかるだろうけど、エルならそんなモノより楽しい事や嬉しい事がもっと沢山降りかかる。……ダメな場面より、楽しい場面に目を向けて。幸せにね。僕らの希望、僕らのエルディナ。ずっとずっと、大好きだよ。』
嫌だよ!
行かないで!
置いて行かないで!
エディーが体を離すと、私との間に何か見えない壁ができる。
目尻に“なみだ”を浮かべながら笑みを浮かべてエディーは手を振った。
やだ!
やだよ!
エディー!
胸が苦しくなり“なみだ”が次々と溢れていく。
必死にエディーに手を伸ばすが届くことはない。
エディーは少しずつ薄くなり……消えていった。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
薄っすらと目を開けると真っ白な波打っているシーツと、花柄の刺繍がしてある枕が何個か転がっているのが見える。
自分の頭の下にも白い布に黄色の大輪の花が咲いている枕がある。
その美しい布には大きな塩辛いシミができている。
その水源はまだ枯れていなかった。
一筋一筋順にゆっくりと流れていく。
ボーッとしながら流し続ける。
なぜ自分が“ないて”いるのか、よく分からないまま“なみだ”を流す。
エディーが夢の中で居なくなってしまったのは、分かった。
でもそれでなんでこんなにも胸が苦しくなって、こんなにも“なみだ”が出るのか……分からない分からないけど、苦しいよ……。
体がまるまる。
体を抱きしめる。
皮と骨だけの固い体に手が触れた。
口が大きく開き、音のない感情が爆発した
「っ!」
息だけが溢れる。
スカッスカッと息継ぎの音だけが部屋の中に響いた。
その時、扉が叩かれる音背中の方から響いた。
コンコンコンとテンポよく叩かれる。
その音にビクリと肩が震える。
「失礼します。」
ガチャリと扉が鳴り誰かが入って来た。
声からしてあの、ジェイドを叱っていた侍女だろう。
足音が近づくベッドを回り込んで窓がある方へと歩いて行く。
私から一番遠い端の方の窓のカーテンから開けていく。
その様子をジッと見つめていると三番目のカーテンを開け終わった侍女と目が合った。
「!あ、す、すみません!まだ寝ているものとばかり!……って!泣いておられるのですか!?」
思わずといった様子でベッドに身を乗り出して手を伸ばす侍女。
だがその手にどうしても“こわい”という感情が沸き上がる。
思わずまるまっている体をなんとか後ろへと下がらせる。
「あ……申し訳ありません……。ジェイド様をお呼びいたしますか?」
複雑そうに手を引っ込める侍女。
私はジェイドという言葉に反応して侍女と目を合わせる。
侍女は安心させる様に微笑んでいる。
コクリと頷くと「分かりました。」と一礼して早足で部屋を出て行った。
今回もお読み頂き真に有難うございます!
さて今週二回目の更新ですがどうでしょうか?
今回またエルの視点に戻りましたがやっぱりちょっと大変ですねエルは!
感情が落ち着きません!
ま、お蔭でジェイドの出番がやってきてくれるんですけどね笑
ちなみにこと時間帯は普通に朝の7時ぐらいです。
今日の大変だったこと……水槽の掃除。
いや、あんまりでかいもんじゃないんですけどね笑
金魚を二匹飼ってまして……
水槽が中々重いんですよこれが!
砂?というか小石が敷き詰めてあるんですけどその重さと水槽の重さと水の重さで中々運ぶのが大変でした!
ということで!次回はジェイドが出てきます!
ではでは!また次回でお会いしましょう!




