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No.06

するといつの間にか構えていたのか、テル隊長が力の塊となって突っ込んできた。

あまりの早さに殆ど目が追いつかない。


テル隊長の手にある剣が横に薙ぎ払われる。

咄嗟にそれを剣の根元近くで受ける。


ギッと鈍い音が響いた。


受けた剣にそのまま迫る様に押す。

鍔迫り合いに持ち込む。

テル隊長との距離が近ずく。

顔を寄せるとテル隊長がニヤリと笑った。


「さすがだの。あの面倒臭い事務仕事を引き継いで、もう剣の腕はなまり腐っておるかと思ったわ!」


「……」


正直言ってそこまで余裕があるわけでは無い。

今の一撃で分かる。


テル隊長は格が違う。


力を拮抗させながら、冷や汗が背中を伝うのを感じる。

全盛期を過ぎて耄碌(もうろく)するだけだと思っていたが……やはり強い。


拮抗を崩すため思いっきり押し返す。

そのまま後ろに飛び退った。

テル隊長も同様に動く。


油断無く剣を構えたまま睨み合う。

ジリジリと動く。

些細な筋肉の動きでフェイントを掛け合うが、どちらもそう簡単に引っかかる様な洞察力は持っていない。


そうしているとテル隊長が急に動き出した。


地面を蹴る音が重く響く。


それに合わせて私も動く。

一合二合と剣を合わせていく。


テル隊長とはそもそも体格が殆ど違う。

テル隊長の方が骨は太くがっしりと筋肉もついて体重もある。

そんな人に勝つには、自分の剣筋の『流れ』を途切れさせないように体重を乗せて振るうしかない。


体重を乗せた細い自分の剣がテル隊長の剣に当たる。

しかしテル隊長はその衝撃を真正面から受け止める事無く、体全体を使って受け流した。

ダメージは受けていない。


次々と攻防が続く中、しかしテル隊長は疲れた様子を見せない。


爛々と怒りを湛えた瞳で見抜かれる。


もちろんそれは私に向けたものでは無いとわかっているが、威圧される。


しかし、ひるんでいる暇は無い。


隙を見せたら直ぐに倒されるのが目に見えている。

息がどんどん苦しくなってくるのを感じる。

はぁっと息が漏れた。


「なんだ?もうダメかの?」


「……」


まだ行けると剣をぶつけて伝える。


「その意気だ!」


∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞


その後何合も何合も打ち合うがテル隊長に隙が生まれる事は無かった。

息が乱れる。

テル隊長の方も少し疲れが出てきたみたいだ。


この一撃がお互いに最後だと覚悟し最後の力を振り絞る。


「行くぞジェイド!」


「っ!」


私とテル隊長は何かに引っ張られる様に同時にお互いに突進する。


ガキン!


剣が弾かれる音が訓練所に響いた。


「まだまだじゃな。ジェイド」


突きつけられる剣の先には私がいた。

少しもブレずに喉元に突きつけられる剣の先には穏やかに笑うテル隊長の顔が。


「……有難うございました。」


テル隊長のストレス発散という名の手合わせだったが、こちらとしても有意義な時間だったので礼を言う。

すると、テル隊長はバツが悪そうな顔をして剣を除ける。


「礼を言うのはこっちだのぉ。どれ鞘は……」


辺りを見渡して放り投げた自分の鞘を探すテル隊長。

私も飛ばされた自分の剣を拾いに行く。

拾い上げて土埃を落とす様に一払いする。

精々二十分の手合わせだったが体が汗ばんでいた。


これは、また水浴びしなければならない様だ。


そんな事を思っていると、気を利かせたのかドイルが鞘を持って近くに来た。


「そ、その……お疲れ様でした!えと……鞘です!」


そう言って鞘を差し出すドイル。

それを受け取り苦労をねぎらう。


「ご苦労。」


「いぃぃいぃいいいいいえ!と、とんでもないぃ!」


そう悲鳴の様なものをあげながらドイルは遠ざかって行った。


…………


ポンと肩が叩かれる。

振り向くと、鞘に収められた剣を片手に持ったテル隊長だった。

なぜか生暖かい眼差しを向けられている。


「なんですか」


「いや、な?」


そう言ってまた軽く肩をたたく。

そして、仕切り直す様に声を上げた。


「よし!じゃあ、酒でも飲むか?」


「いえ、このまま部屋に戻ります。」


「そうか!じゃあ私はこのまま部下と飲みに行くかの?どうだ、お前達?」


テル隊長はそう言って後ろを振り向くと、魔の部下たち数人が目を輝かせてテル隊長を見つめていた。


「いいんですか!?」


「ああ!もちろん私の奢りだぞ?」


「「「「「うおおおおおおおおお!さすが、我らが隊長!!!!!!」」」」」


そう言って彼らはテル隊長を担ぎ上げて持ち去って行ってしまった。

食堂に行ったのだろう。

人間たちは羨ましげにそれを見ている。

どんどんと遠ざかって行く彼らを見送って、私も自分の部屋に戻るために踵を返した。


今回もお読みいただき有難うございます!


そして投稿が遅れてしまい申し訳ありません!

なかなか筆が進まず……遅れることとなってしまいました……

その代わりに今週何とかもう一話更新しようと思っておりますのでよろしくお願いします!


いやあ、今回初めての戦闘シーンかと思っていましたがよくよく考えてみると全然そんなことなかったですね笑

リオン達のがありましたね!

すっかり頭から飛んでいたみたいです……


それにしても今回ジェイドが勝つと思っていた方もいたかと思いますが、やはりと言いますかテルが勝つこととなりました!

まあ、隊長ですから!


次回はエルのパートへと戻ることとなると思います!


ではでは、また次回にお会いしましょう!

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