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No.04

そうしてその歴史は人々の生活に根付いていき、魔族に対する気持ちも受け継がれていった。

これも所謂“負の遺産”というものだろうか?


ユーリ殿下の顔を見てジルオス国の歴史の内容を、ふと思い出す。

とにかく、殿下方からの話は聞いた。

リオン殿下にはまだ話す事があるがユーリ殿下にはもう何も無い。

公務に戻っていただく事にしよう。


「リオン殿下、ユーリ殿下有難うございました。お陰でいい発案ができそうです。ユーリ殿下、私はリオン殿下に話がございますので先に公務にお戻りなってください。」


「え……あ……わかった。」


何か言いたそうに私の方を見たりリオン殿下を見たり横たわっている子供を見たりとせわしなく視線を動かすが、結局ユーリ殿下は素直に部屋から出て行った。


さて、と今だに青い顔をしているんだか怒った顔をしているリオン殿下に視線を移す。

リオン殿下、と声をかけるとビクリとしながら殿下はこちらに視線を向けた。


「な、なんだ?」


「いえ、先程この子供を落とした時ですが……」


「あ、あれはわざとじゃ……いや、わざとかもしれないが……悪気は無かったんだ!何かこう……自分の中に入り込まれたような感覚がして……!」


「分かっています。」


「だから……!ってあれ?」


「だから、わかっておりますと申し上げているでしょう。」


唖然としている殿下に言葉を重ねる。

どうやら子供を落とした事で私が小言を言うとでも思ったのだろう。

……まさかとは思うが鉄拳制裁でもすると思っていたのだろうか……?

いや、そんな事より今は会話に集中しよう。


「先程は子供があなたに害をなすつもりはなさそうでしたので何もしませんでしたが、中に入り込まれた感覚とはどういう事でしょう?」


「いや、なんだかよく分からんが……あの子自身の魔力が自分の中に入って俺の魔力を弄られた気がしたんだ。それで咄嗟に距離をとろうとして……」


「なるほど。殿下の魔力に変わったところはあるのですか?」


「それが……俺もよくわかんないんだが……なんだかスッキリしたような気がするんだ。」


「スッキリ、ですか……。試しに何か軽い魔法を放ってください。」


「え……いや……でも、ジェイドだってわかってるだろ?おれは魔力の保有量だったら父上にも負けないが……こと制御となると……。さっきだってお前とこの子供の髪を乾かすだけであんな勢いよく風を出すつもりは無かったんだ。それにあの貴族の屋敷の扉だって……確かに扉と人は吹き飛ばすつもりではあったが、金具の部分まで溶かすような温度は出そうとは思っていなかったし……。」


どんどん長くなっていくリオン殿下の言葉に若干イライラしだす。


「そんな御託はいいですから、さっさと初級の水魔法でもやってください。」


そう言うとリオン殿下はヒッという悲鳴を喉の奥であげ、渋々右の掌を上に向けた。

そして魔法の発動の補助となる呪文を唱えた。


『清らかに全てを包み清める水よ。我を助け、喉の渇きを癒せ……水球』


火魔法を得意とする殿下は火魔法の時は呪文を唱える必要は無いが、それ以外の魔法を発動する時は呪文を唱えている。

普通の魔族がこの初級の魔法を使うと、掌の上に拳大ぐらいの大きさの水玉が出てくるはずだ。

しかし殿下の場合そうはいかず途中で魔力が勝手に暴走し周囲を水浸しにしたりする。


しかし今は一般のものよりかなり大きいが、なんのことは無いただの水球が出来上がっていた。

私もそうだが殿下もかなり驚いている様子だ。

目を見開いて自分の目の前にある水球を見つめている。


「え……。これ俺が出したのか?」


「そうですね。」


「えっと……ジェイド?全然魔力が暴走する気配が無いんだが……。」


「そうですね。」


「え……なんだこれ?」


「初級の水魔法、水球です。」


「いやいやいやいや!そうじゃなくて!なんでできてるんだ、俺!?いつも通りなら、このままどんどん水球が大きくなって破裂してそのまま水が飛び散るはずだろう?そして周りが水浸しになるはずだろう?俺は俺の先生や法術医の医者もさじを投げたほどの制御オンチだったはずだ!かろうじて自分の魔力が使えない状態は回避できるようにと、先生や法術医になんとか魔力が使えるように教えてもらって今までなんとかしていたんだぞ!」


混乱している殿下を放っておき殿下の内側に目を向ける。


……なるほど今まであった無秩序な力の本流の中に僅かに手が加えられた形跡がある。

それは今までどこへなりと向かっていた殿下の魔力の流れを緩やかにし、かつ効率的に取り出せるように誘導していた。

普通はそんな事はできることは無い。

いや、できる者がいるはずが無い。


通常ならば相手の魔力の反発に遭うことになり、魔力を接触させた方は体が吹っ飛ぶ様な拒絶反応を見せることになるのだ。


相手の方は魔力の保有量が多ければ多いほど自分が探られた事に気がつくことが出来るが、ある程度の魔力の保有量を持つ者ではほとんど何も感じることが出来ない。

なぜなら魔力の保有量多い人ほど魔素に敏感であり、自分の魔力も敏感に感じることが出来るからだ。

逆に魔力の保有量が少ない人ほど魔素に鈍感であり、自分の魔力もほとんど感じる事が出来ない……ただの人間のように。


リオン殿下の場合は、殿下が魔力の保有量が多かったため殿下は感じる事ができた。

そして殿下は自分の魔力にこの子供が魔力を接触させている事に気がつき、少しでも拒絶反応を減らそうと距離を取ろうとしたのだろう。

……しかしこの子供に殿下からの拒絶反応は無かった。

殿下の魔力の流れを直した様にいい事に使う事もできる力だが……。


これは、危険かもしれない。


もしこの子供の能力が野心のある貴族や、裏の稼業に勤める者……そして人間に知れてしまえば間違いなく利用される。


そこまで考えているとパニックから帰ってきた殿下が話しかけてきた。


「なぁジェイド……この子の力、危険じゃ無いのか?」


どうやら私と同じ様な考えに至ったらしい。


「……そうですね。もし知られてはいけない輩に知られれば、間違いなく利用されるでしょう。」


そう言うと殿下は顔を引きつらせた。

その顔のまま私に問いかける。


「……参考までに……どのような方法で利用されると?」


「例えば拒絶反応がない事を利用し魔素を体が持ちこたえられない程押し込み死に至らしめたり……。」


「ちょっと待て。どうやってそんな事ができる?」


そんな事も想像できない殿下にハァと溜息をつく。

殿下は慌てて「いや!一応な!ほら!俺とジェイドの認識の仕方が違う事もあるだろう?」と言っている。


……確かに一理ある。

仕方ない。

面倒だが説明しよう。


「殿下は我ら魔族にはそれぞれ魔力の保有量が違うのはご存知ですよね。」


「あぁ、もちろんだ。」


当たり前だと頷く殿下。


「では、もしも我らの通常の状態……つまり魔力がきちんと保有量を満たしているときに、また魔力を無理やり押し込められたらどうなると思いますか?」


「……体が持ちこたえられずに……はち切れると?」


「いえ、それは実際に見て見ないとわかることではありませんが……想像するに殿下がおっしゃった様に体が持ちこたえられずにはち切れるか、普通ならば体内で魔素を魔力へと変換する器官がうまく働かずに徐々に毒素に侵されるか……といったところでしょうか。」


「それは……まずいな。すごく、まずい。」


「そうですね。」


殿下は先程までの私に情けなく青ざめていた顔を一変させ、政を行う“王族の顔”となった。

この様になった殿下はいつも怯えている私にも怖気付く事なく堂々と自分の考えを述べる。


……いつも思うがずっとその様にしている事ができれば私が殿下の将来に憂う事は無いというのに、なぜそうしないのか甚だ疑問だ。


そうして暫く殿下は考え込んだが、考えがまとまったのか私の目をしっかりと見据える。


「この子供は信用できる者にしか知らせる事が出来ない子供だ。今はまだ子供で非力だが成長して力が強くなり国の害になるかもしれん。そして元々は親族がいれば渡すつもりであったが、もし親族を見つけても渡すな。なんとか言いくるめ渡す事が無い様にしろ。この子供は我らの目が届くところで育ってもらう事としよう。……こんな事は考えたく無いが……もし万が一間違った者のところに渡ってしまえばこの子供の力を強化し、我らに害をなす事はあり得るだろう。」


殿下はそう言って子供を見、苦しげな表情を浮かべ重々しく口を開いた。


「……逆も然りだ」


「つまりは、私たちがこの子供を利用し歯向かってきたものを封じ込めるために使うと?」


「……陛下はそう考えるだろう。私ができるだけ説得するが、この子供は普通の生活は送る事は出来ないだろう。」


「そうですね。私もそうですが、陛下もそう考えると思います。」


「……ジェイドが言うなら確かだな。せめてこの子供が裏の道……暗殺の方に向かう事が無い様に俺は陛下を説得する。そうだな……せめて俺の……いや、弟の護衛や専属の法術医の候補に入れる様に説得する」


覚悟を決めた目を真っ直ぐに私に向け殿下は言い放った。

その目を見てこれならば、なんとか陛下を説得できるだろうと思い頷いた。


「分かりました。であれば、帰国後すぐに陛下と謁見できる様私の“フロソウス”を送っておきましょう。」


「頼む。」


今回もお読みいただき有難うございます!

如何でしたでしょうか?

ちょっと長かったかなーーって思ってますがどうでしょう?


さて今回エルの能力が危険視されてしまいました……なんてこった……

いや、まぁ計画通r……ん゛ん゛!

ところで!最近はリオンはどんどんおバカ化……ビビリキャラ……小動物化……?

……うまいフォローの言葉が見つかりません……

まぁともかく、リオンが「俺もやればできる子」なところをお届けさせていただきました!

最近はユーリと一緒にビビりに徹していますが、リオンだってやればできる子なんです!

見捨てないでやってください!


そして最後に出てきた”フロソウス”なるもの……怪しいですね〜……気になりますね〜……

……いや、ちょっと待ってください!

そんな冷たい目で見ないでください!スライディング土下座しますから!!

ちゃんと説明します!

タイミングはかってちゃんと説明します!

エルも聞けるところで!


と、まあ茶番は終わりにして……今回は本当に有難うございました!

ではではまた次回でお会いしましょう!

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