No.00
本日二話目です。
「この跡が僕ぐらいになったら今来る男たちが君を……”処分”しに来る。
その前に何とかここから逃げ出すんだ。いいね?僕たちが……皆がずっと壁のブロックをはずすために間の……固い部分を木のフォーク……あの食べるとき使う先がとんがってるやつね……や爪で削ってきたところがあるだろう?僕たちもやってきてやっと赤くて四角いところ5・6個外れてきているだろう?そこを君が今度からはずっと掘り進めて行くんだ。いいね?それで自分が通ることができそうな穴ができたら、すぐさまそこから逃げるんだ。そうしたら人に会わないように逃げるんだよ?……敵が誰かわからないから……とにかく人に頼らないように。いいね?」
分からない事もいっぱいあったがとりあえず頷く。
よしいい子だとその人は私の頭に手を置き左右に動かす。
気持ちがいい。
思わず顔を綻ばせる。
そしたらまたその人は目から水を流して私をギュッと抱きしめた。
思わずその流れていく水を舐め取る。
ちょっとしょっぱい。
その人は私とずっと一緒にいたからなんだか不思議な変な気持ちになって、鼻の奥が”痛い”ことされる時みたいにツンッと痛くなった。
そして、その人のように目の前が霞んで水が目から零れ落ちる。
なぜか喉の奥がおかしい……
目から水が流れてくるときは”痛い”時だがこんな風に喉の奥がおかしくなる事はなかった。
喉からおかしな音が漏れてくる。
「う゛……う゛ぁ……あ゛あ゛ぁぁぁぁ……あ……あぁ……」
途切れ途切れで変な音がどんどん出てくる。
そんな私を見てその人は目をめいいっぱい見開いて口をあけてパクパクと動かす。
「君……声が……!……はは……ははははっ!最後の最後になって聞けるとは!これは、神様貴方のお情けですか?はははっ!皆、聞こえてるかい?この子の声が!僕らの希望の声が!これは、僕の勝ちだね……この子の声は誰が最初に聞けるかっていう賭けは!ははっははは!……はは……じゃあ皆この子の名前は僕が付けさせてもらうよ。この子の名前はずっと考えてたんだ……
この子の名前は僕らの国の言葉で希望……エルディナ……通称エルだな!」
その人は、突然大声を出して声を発したかと思うとブツブツ何事かを呟いてこちらを見て何かを断言した。
しかし、”名前”という言葉は聞いたことがある……
確か……別々の物とかに付いているものだ。
たまにその人やほかの人に目を合わされてゆっくりと口をその人たちは口を動かしながら「僕の名前は……」とか「私の名前は……」と言っていた気がする。
確かその人は……「エディー」という名前だったような……?
いつの間にか喉から漏れる変な音も止み、目をゴシゴシこするとまたちゃんと見えるようになった。
そしてその人を指差すと試しに「名前」を呼んでみる。
「ぇ……えぃー……?」
「そう!そうだよ!僕の名前はエディーだよ!!それで君の名前はエル。ほらっ!言ってごらん?」
「……ぇ、ぇう?」
「うん!よくできたね!エルだよ……忘れないでね……」
私が頷くのを見届けるとその人……エディーは扉を開いたら見えやすいところに移動した。