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No.02

そうして自己紹介を終えた二名に席を勧め自分たちも座った。

なんとなく沈黙が場を包む。

沈黙に耐えられなかったのか、先に口を開いたのはリオンだった。


「それでだな……早く対処しなければならない事案というのがだな……」


ユーリ達の緊張が高まる。


「こちらに……その……奴隷として我が国の人々を攫っていた組織の元締めの手掛かりが掴めて陛下が早急に対処せよと厳命されてな……この事案を双方で対処すれば此方の民達も少しは貴殿達に信を寄せることになるだろうということだ。」


「なるほど。ではこの事案の成功はどちらの国民に対してもジルオス国とフェノーラ国が国交を始めるという狼煙になる。……分かった。では王に話を通して討伐隊と救出隊を組もう。」


「あぁ、そうしてもらえると助かる。それと、我が国の者もその救出隊と討伐隊の者に入れたいのだがいいだろうか?」


「もちろんだ。此方としてもその方が助かる。……その、今までも救出するときに敵だと思われて手痛い攻撃をされてしまったことがあってな……ははは……」


ユーリが苦笑いするろと気まずそうにリオンが目を逸らした。

どうやら心当たりがある様だ。


「……それは……すまない。……もしかしなくともティタインのことだろうか?」


「えぇ。ティタイン殿はかなりお強い。自力で一人だけなら何とか抜け出せただろうに、他の方々も助けようとして残っていらして真似できない様な方だ。」


「そうだな。それに結構適当なやつだからな相手が誰であろうと御構い無しだ。例え王族でも貴族でも平民でも奴は同じ行動をとるに違いない。」


先ほどとは異なり少しづつだがリオンの表情が柔らかくなっている。

そんなリオンを見てユーリはなぜかホッとした。

魔族だからと言って同じところは何もないと思っていたがそんな事はないと思えた。


その時、底冷えする様な声が室内に響いた。


「リオン様、そんな雑談などしている場合ではないのでは?早く話を進めましょう。」


思わずユーリはビクッと肩を反応させる。

ユーリが正面を見ると、どうやらリオンも同じのようだった。







その後半年の間討伐隊と救出隊は組まれ、魔族の協力隊も到着した。

そこまで仲良くはなってないようだが仕事の間は一応背中を預けられるようになったらしい。

隊の者がまだトゲトゲしい雰囲気の中両国の王子同士はすっかり意気投合していた。


互いのことも人目がないところでは呼び捨てで呼んでいる。

きっかけも些細なもので17歳の青年同士が打ち解けるのには出会ってからそこまで時間を要しなかった。


そんな美形二人を城のメイド達が放っておくわけもなく……二人の麗しい友情について妄想を膨らませる乙女も少なくないのだとか……。


しかし二人の王子の仲の良さと相反するように宰相同士の仲の悪さ……と言うよりは、仲の冷たさというのだろうか?

仕事以外では本当に関わらないのである。

デュアルは何とか打ち解けようとすることもあったが中々キッカケを掴むこともできずにいた。

ジェイドはとにかく仕事が第一優先事項らしく二国の国交についての書類の仕事を同じ部屋でやる時、沈黙をどうにかしようと世間話をしようと声をかけると冷たい瞳とともに


「デュアル殿そんな無駄話をしているより手を動かしたほうがいいのでは?」


と言われるか無言で威圧されることが多かった。


そして色々な手まわしも終わり遂に作戦が実行されることになった。

とある貴族の家に突撃する事になる。

既に中の構造は密偵やらを動かし地下に魔族が隠されている部屋があると言う。

捉えられた貴族は魔族に引き渡される事になっている。

あちらの方法で処分されると言う。


そして今回だけは直接隊の中に加わり指揮する事になった両国王子は馬の上で背筋を伸ばし威厳を漂わせていた。


何分間かそんな姿勢を保ちつつふとユーリが口を開いた。


「リオン……殿。」


「ん?なんだ?ユーリ殿。」


「いや……ふと思ったのだけれど……。貴殿が乗っている馬は貴殿の国から一緒に連れてきたのだろう?普通の馬ではないのか?」


ユーリの疑問ももっともだろう。

なにせ文献によれば魔の国の領土に生えている草木、動物などは魔素と呼ばれる物が影響して普通の動植物のように育つ事はなく歪な育ち方をするという。

それなのにリオンの乗っている馬は魔の国産のものだと言うのに普通の黒馬のように見えるのだ。


「そうだな。確かにそう見えるがこの馬は加速の魔法が使えてな、あと暗くなると目の瞳の部分が淡く光る。」


「そうなのか!それにしても馬が魔法を使えるというのか?」


「あぁ。俺たちにとっては当たり前の事だがな。」


「そういえば……魔の方々は暗くなると瞳が淡く光ると言うが事実なのか?」


「そうだ。専門家が言うにはどうも魔素との繋がりがそうさせているらしいと聞く。」


「そうなのか!我々には濃度が濃ければ濃いほど毒に等しい物だからな…本当に不思議なことだ……。」


「まあ、貴殿達には馴染みのないものだからな。……どうもこの瞳の所為で宝石のように売り買いされているようなのでな我が国民は……」


ユーリには最後のつぶやきは隊の者が集合を終えたという報告で聞き取れなかった。

両国の隊長と思しき二人の人物が其々の王子に跪き発言の許しを請うた。

二人の王子は重々しく頷くと隊長二人が声を上げた。


「「リオン殿下、ユーリ殿下準備が整いました。」」


「ご苦労」


「ありがとう。お疲れ様」


順に部下をねぎらうとサッと馬を操り整然と並んでいる隊の前に進みでる。

そうして出発の合図をして全隊が動き始めた。

約二百人の足音と馬の嘶きが響いた。





そうして日が傾く前に貴族の広大な敷地の近くに着いた。

自分たちが迫っていることを知られない為にそこで一度停止の合図を送った。

リオンはそこでユーリに発言を譲るように馬を一歩下がらせると促すようにユーリを見た。

了承の意味を込めてユーリは頷くとスゥっとお腹の底に力を込めた。


「みんな聞いてくれ。討伐隊は全体を七十人の隊と三十人の隊に分かれてくれ。そうしたら、七十人の方は屋敷を囲むように動いて逃げ出そうとする者を捕らえよ。あとの三十人は屋敷内に入り抵抗する者を抑えよ。救出隊は我々と共に屋敷の地下に潜り地下全体と屋敷内に他の隠し部屋があるかどうか調べよう。魔の方々にはを見つけ次第速やかに救出してくれ。


では、行くぞ!」


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