むかしペンギンは
むかし ペンギンは空を飛んでいました。 いちばん 高く 飛べました。
空でペンギンは ほかの とりのなかま たちと 楽しく くらしていました。
でも なんだか ものたりません。
いつも したに みえている 海に なんだか あこがれていました。
そして あるとき ペンギンは 海の なかを 飛びたい とおもいました。
それから ペンギンは 海の なかを 飛ぶため いろいろな 準備をはじめました。
まず 海では じゃまだ と おもって ながくて キレイだった あしを みじかく たたみました。
つぎに 大きく りっぱ だった 羽根を 海の なかで 飛ぶため 小さく して ぬれても 大丈夫な ように しました。
そして 海に入る 練習を はじめました。
そんな ペンギンを みて 海の 魚たちは ばかにしました。
むかし 空で いっしょ だった 鳥たちも ペンギンを ばかにしました。
でも ペンギンは 練習を やめません。
雨の日も 風の日も 練習を やめません。
来る日も 来る日も 練習を やめません。
そして あるひ ペンギンは
海の なかで 飛べるように なりました。
けっして 海で いちばん 早くは ありません。
いちばん 深くも もぐれません。
もちろん 二度と 空は飛べません。
いちばん 高くは飛べません。
でも 世界で ただひとり 海の中を 飛ぶことが できます。
鳥も 魚も できません。
それを 誇りに おもいます。
もう だれも ペンギンを ばかにするものは いませんでした。