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ヒトメボレ〜君はどこにいるの?  作者: 秋葉隆介
第1章 君を探して
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第8話〜『彼女』の先輩②。


 「どうしたの?」

 不思議そうな顔をして、ユウコ先輩が僕を見つめている。

「私、何か変なこと言った?」

 僕は先輩をジッと見据えていたらしい。一つ気になると周りが見えなくなる癖、治さないとな。

「いえ、すみません」

 素直に謝ると、先輩はにっこりと笑う。

「でね、さっきの続きなんだけどさ」

 先輩が『彼女』のことを話し始めた。


 『彼女』は小さい頃から近所で評判の美少女だったこと。

 内気で恥ずかしがり屋の性格だということ。

 自分に「かわいい」という自覚が無いので、男の子が苦手なこと。

 

 そっか、男は苦手なんだ……


 「でも先輩、あの子のこと良く知ってますねぇ」

 とアキラが言うと、少し意外な顔をした先輩が

「同じ中学だし、同じ部活だったからね」

 なるほど、良く知ってるはずだ。

「それにね、サヨとは幼馴染みなんだ」


 幼馴染み。


 小さいときからずっと一緒だったんだよね。少し先輩が羨ましい。

 

「だから何でも話してくれるよ」

「何でもって、恋愛の話もですか?」

 ずばり訊きたいことを訊けるアキラはやっぱり頼もしい。

「もちろんよ。で? 何が訊きたいの?」

 先輩がイタズラっぽく微笑む。

 僕は思わず、口走ってしまった。

 今僕が「一番訊きたいこと」を。

 

 「今付き合ってる奴とかいるんですか?」

 アキラも先輩も驚いた顔をしている。まさか僕がそんな質問するとは思わなかったみたいだ。

 僕だって自分の発言に驚いてる。でも……

 『彼女』のことをよく知ってる人物からどうしても訊きたかったんだ。

「そうだねぇ、男の子苦手だから、付き合ってる人は昔も今もいないと思うよ」

 僕はその時ホッとした表情をしてたらしい。

きっとだらしない顔、してたんだろうな。


 このコの笑顔、素敵だなぁ……


 ユウコはリュウスケの笑顔を見つめる。

 心が、揺れる。


 気になっちゃうじゃないの……

 そう言えば、サヨが「背が高い、笑顔が素敵な男の子」の話をしてたっけ……


 このコなんじゃないかな?


 きっとこのコに違いない!

 背が高くて、笑顔が素敵な『彼』

 サヨは恥ずかしそうに、でも本当に嬉しそうに話してたっけ。


 『彼』に伝えなきゃ。

 『彼女』の気持ちを伝えなきゃ。

 『私』の気持ちがこれ以上揺れないうちに。


 「そういえばね…」

 高まる想いを抑えるように。

「気になる男の子がいるって言ってたなぁ」

 リュウスケを熱く見つめながら。

「背が高くって、笑顔が素敵な男の子だって」


 ……。


 リュウスケは言葉を失った……






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