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ヒトメボレ〜君はどこにいるの?  作者: 秋葉隆介
第1章 君を探して
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第5話〜秘めた想いと明かされた想い。


 「7組のさ、何ていったっけ? あの子、そこら辺のアイドルなんかより絶対かわいい!」

 トシクニは興奮気味だ。

 そんなかわいい子いたっけ? 僕はフロアばっかり見てたから気づかなかったのかな?


 ……!


 もしかして… それが…『彼女』?


 見つからなくって、君が見つけられなくって、焦って、悲しくって。あの時の僕にはステージ上を確かめる余裕がなかった。


  きっとそうだ。『彼女』に違いない!


 僕の視界には存在しなかった『彼女』

 そんなに近くにいたんだね……

 そばにいたのに見つけられなかった後悔と、存在することが確信出来た安心感で複雑な気持ちだ。


 「何ボーっとしてんの? リュウスケは近くで見たから、あの子の良さが分かるだろ?」

「いや、気が付かなかったから」

「あんなに近くにいたのに、見なかったの? バッカじゃねぇ?」

 それにしてもさ、トシクニはクラスの女子の前で、別の女の子のことをよく話せるよな。それも嬉しそうにさ。僕には真似出来ないよ。

 男同士でも女の子の話は照れてしまう僕はやっぱりヘタレ?

 「リュウスケは緊張しててそれどころじゃなかったのっ! お気楽なあんたと違ってさ」

「お前さー、リュウスケのことやたら構うよね?」

 確かにハルミは、僕を何かと気に掛けくれてるみたいだ。

「ハルミさー、リュウスケのこと好きなんじゃねぇの?」


 え?何いってんの? コイツ。


「バカっ…! ゴホっ!」

 ハルミが慌てて咽せたようになっている。僕だってどんな顔してりゃいいっての。そんなきわどいことを、サラッと言えるこいつがやっぱり羨ましいかも。

「慌てるってことは、図星ぃ?」

 トシクニのニヤニヤは止まらない。

 ハルミはホッ、と一息ついた。

「気になってるよ、リュウスケのことは」


  何だって?


 顔を赤らめて、恥ずかしそうに俯いているハルミ。

「マジで!?」

 トシクニと藤川は本気で驚いたみたいだ。女の子達も息を呑んでいる。


 本気で言ってるの?ハルミ。


 ドキドキが止まらない。女の子にそんなこと言われるの初めてだから、どんな顔したらいいのかわからないよ……

「リュウスケって、何となく守ってあげたくなっちゃうんだよね。母性本能をくすぐるっていうかさ」

 大きな声でハルミは言って、照れたように笑う。


 嬉しかった。とても嬉しかったんだけどさ… 何だか僕はハルミに申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

 その時僕は『彼女』のことしか考えてなかったから……

 僕の心は『彼女』の笑顔で満たされていたから……




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