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ヒトメボレ〜君はどこにいるの?  作者: 秋葉隆介
第5章 蜜月、そして
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第49話〜ここにある幸せ。

またまた久しぶりでごめんなさい。

 それは夕方のいつもの光景。

 暮れなずむ街を仲睦まじく歩くカップル達。幸せ全開のオーラを周りに振りまきながら。

 誰もが羨むその下校風景は、すっかり南高の風物詩になりつつあった。


 バレー部の練習が終わり、二組のカップルが体育館から出てくる。どちらも腕が触れ合う程の至近距離で並んで歩き、さすがにこのタイミングでは指までは搦め合ってはないけれども、手はしっかりと繋ぎ合っている。微笑みを湛えた顔はお互いをしっかりと見つめて。


 リュウスケとサヨ、アキラとユウコだ。


 深い仲となり愛を確かめ合った今となっては、お互いへの愛しさもいや増すばかりで、一時も離れがたいと寄り添い合っているようにも見えた。

「リュウスケ君、今日も一緒だねっ」

 語尾に♡が見えそうなサヨの一言に、リュウスケが甘い答えを返す。

「いつだって、一緒だよ」

 ドロドロに融けそうな二人の雰囲気に、もう一組も負けてはいない。

「ユウコさーん、俺たちも?」

「そうだよ? 当たり前じゃない」

 そんなやり取りを交わしながら、フフっと小さく笑い合う。

 ふと我に返り、お互いをからかい合うのもいつものこと。互いの関係を知っている彼らには、一切の遠慮はない。

「ちょっとサヨ、あんた最近色っぽくなったんじゃない?」

「そ、そんなことないよ?」

「そんなことあるわよ。全体的に女っぽくなった感じねっ。これもリュウスケ君のおかげかな?」

「なっ! ユウコさん、急に話を振らないで!」

「リュウスケ君ったら、照れてるの? カーワイイわねっ」

「お前さ、相変わらずヘタレなのな。やることやっといてさ」

「その言い草、なんかムカつく」

「でもさ男子はみんな言ってるぜ、サヨちゃんカワイイだけじゃなくって色っぽいって。もうたまんねー ってさ」

「あ、アキラ君…… ?」

「人の彼女を、そんな目で見るなー!」

 こんなやりとりは当たり前のものになっていて。

 そんな下校時のこの時間は、リュウスケにとって、サヨにとって、アキラにとって、ユウコにとって、とても大切なものになっていた。




 ここにある幸せ。

 今ここで感じる幸せ。


 言葉を交わし、お互いを感じ、寄り添っていられることの、何て幸せなことか。4人はそのまっただ中にいる。

 今もこれからも、それがずっと続くと信じて。


 手を繋ぎ、抱きしめ合い、時にはキスを交わし、身体を繋ぐ。触れ合うことで愛し合える幸せ。

 今もこれからも、それがずっと続くと信じて。


 ずっと一緒にいよう。

 ずっと幸せでいよう。


 それを信じて疑わなかった。

 ただ彼らは、それに慣れて少し無防備になっていたかもしれない。それがこの幸せな時間に波紋を投げかけることになるとは、この時には気づかなかった。いや気づくはずもなかった。


今回はかなり短めですが…… その後のラブラブっぷりを書いてみました。

ちょっと意味深なエンディングになっているのは、ここで話を展開させようと思っているから。

章タイトルの「そして」の部分は、最初っからHシーンでないことは想定していました。

幸せ全開のカップル達に、少し意地悪な試練を与えてみたいと思っています。

それがどんなものになるのか、次の章の伏線になるようにしたいので、暫く考えてみたいと思います。

またまたお時間をいただきますが、よろしくお願いいたします。

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