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ヒトメボレ〜君はどこにいるの?  作者: 秋葉隆介
第5章 蜜月、そして
48/54

第47話〜約束。

いつも亀足更新ですいません。


今回も少し大人の愛情表現があります。

 修学旅行も無事終わり、暑さも感じ始めた学校からの帰り道。

 いつものように寄り添い歩く制服姿の二人。その手と手はいつものようにしっかりと繋ぎ合わされ、その顔にはいつものように蕩けるような笑顔を湛えて。

 そんな二人の姿は、登下校の道すがらでも、“理想のカップル”として学生達の間で羨望の的になりつつあった。

  

 実に仲睦まじい二人ではあるが、思いや言葉ではしっかりと伝え合っているようなのだが、『愛の行為』(と言ってしまえばあからさま過ぎるか)においては、キス以上に進むことが出来ないオクテな二人なのだった。

 ヘタレなリュウスケと、少し臆病なサヨだからこそ、なかなか次の段階へ進めないのだろうけれども、修学旅行の夜にした話の内容が、二人の日に日に募る思いに火を着けてしまったことは否めない。お互いを『欲しい』と思うことは、お年頃の健全な男女ならば仕方のないことなのだから。




 その日リュウスケは、ある決心をしていた。自分がどうしたいのか、サヨに伝えようと考えているのだ。そして、それを聞いた彼女がどのような答えをくれるのかも知りたいと思っている。話を切り出すタイミングを計っていたのだが、通りかかった誰もいない公園のベンチにサヨをいざない、意を決して話し始めた。


 「あのね、サヨちゃん……」

 サヨは、リュウスケが何を話すのかが理解出来ていた。それでも緊張で顔を上げることが出来ない。それが自分の思いに添うことであったとしても。

「話聞いてくれる?」

「うん……」

「僕がサヨちゃんを『欲しい』と言ったことなんだけど」

「うん……」

 リュウスケの思いのほか単刀直入な言葉に、サヨはますます顔が上げられない。

「その気持ちがどんどん強くなるんだよね。」

「……」

「キスしたり、抱き合ったりするのも、とっても幸せなんだけど、」

「うん……」

「もうそれだけじゃガマン出来なくなってるっていうか……」

「……」

「修学旅行の夜にもそんな話になってさ、」

「……」

「何かもうみんな済ましちゃってるみたいでさ、」

 それはサヨも知っている。だって同じ話を女の子の間でも繰り広げたんだから。

「いや、だから、ってわけじゃ、ないんだけど……」

「……」

「僕はサヨちゃんを『抱きたい』なって思うんだ」

 顔を上げられずにずっと見つめていた彼の手が、その言葉とともにキュッと力を込める。それを感じたサヨは、思わず彼の顔を見た。

 そこには…… 今まで見たことのないような表情があった。

 不安をいっぱいに湛えた顔。何かを強請るよなリュウスケの瞳に気圧されて、サヨは再び俯いてしまう。


 実際リュウスケは不安だった。言葉を選んで話したとはいえ、その『行為』をサヨに求めたのだから。俯いたまま何も言わない彼女に、不安はいや増すばかりだ。

「怒った?」

 リュウスケは自分の不安を口に出してみる。その問いかけに、サヨはさらに体を強ばらせたが、ホッ、と一つ息を吐くと、リュウスケを真っすぐに見つめた。


 「怒ってなんかないよ」

 とサヨは答える。『あの笑顔』を浮かべて。リュウスケの不安を拭い去ってしまうかのように。

「待ってた」

「え?」

 サヨの言葉で、リュウスケの顔に浮かぶのは驚きの表情。

「リュウスケ君がそう言ってくれるのを待ってたの」

「そうなんだ……」

「何だか私、リュウスケ君のことがね、好きで好きで堪らなくって、」

「うん……」

「早くそうなれたらいいな、って思ってたの」

「……」

 彼女にしては大胆な物言いに、今度はリュウスケが言葉を失う番だった。

「あのね……」

「うん……」

「好きな人に『抱かれる』のはね、気持ちよくって幸せなことだって、ハルミちゃんもエリカちゃんも言ってたの」

「……」

「だから私を…抱いてください」

「……!」

 そう言ってはにかむ表情を浮かべるサヨに、リュウスケは感情の抑えが利かなくなる。暫くの間サヨの顔をじっと見つめていたリュウスケは、自分の腕の中に彼女の体をしっかりと抱き込んだ。




 長い時間二人は抱き合っていた。お互いの熱を感じられる幸せを噛みしめるかのように。どちらからとも無く体を離すと、愛おしげに見つめ合う。


 そして唇が重なる。


もうそこには二人しか存在しない。求めるまま、求められるまま、貪るようなキスを交わす恋人達。その幸せが永遠に続けばいいと願う二人だったが、時間だけは容赦なく過ぎ去っていく。最後に小さなリップ音をたてて、ふたつの唇は名残惜しげに離れた。




 「嬉しいよ」

「わたしも」

 そう言ってまたまた微笑み合う二人。

「でも、本当にいいの?」

「じゃあ、やめとく?」

「……やめない」

 そのやり取りに、今度はフフフっと小さく声を立てて笑い合う。そんな幸せの時間も、今日はあとわずか。リュウスケは急に真顔になり、サヨの顔を見つめる。

「じゃあ、近いうちに君を抱くから」

「うん」

「でも、なかなかタイミングが難しいよね。そんなトコロには行けないしさ」

 リュウスケが場所のことを言っているのが、サヨには理解出来た。ただそのことについては、彼女には目算があったのだ。

「そのことなんだけど……」

 問いかける表情になったリュウスケを確認して、サヨは言葉を繋げる。

「今度の土曜日、ウチの両親が家にいないの。ウチに来てくれてもいいんだけど、ダメ?」

 リュウスケは少し考え込んだ。いきなり彼女の家でコトに及ぶのは不謹慎ではないかと思ったからだ。しかし、もう二人の思いが留まることが出来ないところまで来ているのは間違いないし、これは神様がくれたチャンスだと思い直す。

「わかった。サヨちゃん家にお邪魔します。でね……」

 サヨの顔を熱く見つめながら、

「土曜日、君を抱きます」

 しっかりと伝えた。

「約束だよ?」

 サヨの強請るような可愛い表情に、リュウスケは力強く頷き返す。

「うん、約束」


 そして、二人が愛を紡ぐ約束が、この瞬間に成立した。


前回のあとがきに「次回はR15だー」と書いた気がしますが……

スミマセン!そこまでたどり着きませんでしたー。

やはりR15での表現の仕方を考えてしまって、いきなりコトに及ぶよりはと思い、この話でちゃんと手順を踏ませてみました。

でもどーしよー。旨く書ける自信がないなー(リュウスケ以上のヘタレっぷり)。

R18で書いてみて(それならバリバリ書けそうだから)それをカスタマイズしていこうか、とも考えてはみましたが、それもメンドクサソウだし……

でも次回は間違いなくそういう話になりますので、読んで下さっている方がいらっしゃいましたらお楽しみに。いつになるかはわかりませんけれども、ええ。←無責任


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