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ヒトメボレ〜君はどこにいるの?  作者: 秋葉隆介
第4章 ふたりで
43/54

第42話〜変えられない真実。

10日ぶりです。ごめんなさい。

 ある春の日の昼下がり。

 3組のカップルが、日の当たる公園のベンチでお喋りに興じている。


 藤川とエリカ。

 アキラとユウコ。

 そして……

 リュウスケとサヨ。


その場所は温かな春の日差しに包まれて、幸せな雰囲気を醸し出していた。


 「実際焦ったよな」

 そう言って、ニヤリと笑う藤川。

「リュウスケが女の子と裸で抱き合ってんだからな」

「んな!?」

 慌てて言葉が詰まるリュウスケ。もちろんそれは、事実に脚色を加えた藤川のからかいの言葉。しかし、サヨの表情が一気に曇る。

「それはホントのことじゃないよね?」

 消え入りそうな声でサヨが問いかけると、彼女の今にも泣き出しそうな表情を見た藤川が、慌てて否定する。

「冗談。冗談だって……」

きまり悪そうな顔をする藤川に、みんなの視線が集まる。

「この子の前では、そんな冗談言わないで」

 やや強い口調でユウコが言えば、すっかりしょげ返ってしまった藤川の様子に、エリカがいたわりの視線を投げる。そこにアキラの余計な一言。

「まあ、ムッツリだからね、リュウスケは。仕方ないんじゃない?」

 コイツはなぜ火に油を注ぐようなことを言う、とリュウスケは内心憤慨するも、サヨ以外の4人は小さく頷いている。ユウコ先輩まで、と彼は少々落胆してサヨの方を見やれば、彼女はますます表情を固くしていた。


 それも無理ならぬことだった。サヨはリュウスケと美月がキスした写真を見せられていた。眠らされる前に秀一に見せられた衝撃の姿は、トラウマにも似た形で彼女の記憶に刻まれている。アキラにあれは美月の策略による事故だと説明され、そのことに納得しようと努力しても、彼女の頭の中からは容易に消え去らなかった。

「リュウスケ君……」

 サヨの消え入りそうな声は、今度はリュウスケに向けられる。

「本当のことを話して?」

 サヨの一言に、リュウスケは息を飲む。

「高島さんと何があったのか教えて?」

 彼女の問いかけに、リュウスケは2、3回目を泳がせて狼狽の表情を見せたが、一つ息を吐くと、真っすぐにサヨを見つめた。




 「本当に情けなくてイヤな話なんだけど、ちゃんと聞いてくれる?」

 サヨは小さく頷く。それを見てリュウスケはゆっくりと話し始めた。

「サヨちゃんが休みだった日の話なんだけど、高島さんが話があるって、僕の席まで来たんだ。二人きりで話したいって言うから、少し考えたんだけど、結局2人で屋上に出てしまった」

 サヨは黙ってリュウスケの顔を見つめている。

「そしたら突然抱きつかれて、彼女に告白された」

 サヨは潤んだ目をいっぱいに見開いて、驚きと悲しみの表情をしている。周りのみんなも驚いているみたいだ。

「もちろん、即座に断ろうとした。そしたらまたしがみつかれたんだ。どうしようかと考えてたら、キスされてた」

 サヨの瞳からは、とうとう涙が溢れ出す。ユウコが彼女の傍らにそっと寄り添い、優しく肩を抱いた。

「それを写真に撮られたってワケだな?」

 アキラの問いにリュウスケは頷くと話を続ける。

「保健室でのことだけど……」

 リュウスケは言葉を切って、サヨの表情の変化を見守る。涙を流し続ける彼女を前に、発言がためらわれたが、気を取り直して話を続ける。

「サヨちゃんが倒れたって聞かされて、慌てて保健室に行ったら、サヨちゃんじゃなく彼女がいたんだ。つまり最初から騙されてたんだね」

 リュウスケは自嘲気味にため息をつく。

「半分裸の彼女と抱き合ってるように見えたのは間違いない。その時僕はパニックだった。録画されてるから、なんて脅されたからね。でもそこに藤川が来てくれて助かった」

 得意そうな顔をしている藤川を尻目に話を続ける。

「その時藤川に、サヨちゃんが高島に捕まってるって聞かされて、胸が潰れる思いだった」

 リュウスケの想いが溢れ始める。

「サヨちゃんに何かあったら、って思ったら、いても立ってもいられなかった。僕はどうなってもいい、とにかくサヨちゃんを助けなきゃ! って思ったんだ」




 その時だった。


 サヨがリュウスケに向かって、ふわりと笑顔を浮かべた。

「私、信じてもいいんだよね?」

 驚いた顔をしたリュウスケに、サヨは言葉を繋ぐ。

「あの時もうダメ… って思った時に、リュウスケ君、助けて! ってお願いしたの。そしたらリュウスケ君が入り口に立ってたの」

 サヨの表情に明るさが戻って来る。

「想いが通じたんだ、って本当に嬉しかった。やっぱりリュウスケ君と私は繋がってるんだ、ってすごく感じた」

 サヨはひとつ息を整えて、リュウスケを見つめる。

「リュウスケ君は高島さんが好きになっちゃったんじゃないかって、悲しい気持ちにもなったけど、今のリュウスケ君の話を聞いて、もう信じてもいいんだ、って思ったの」

 サヨの想いも溢れ出す。

「私はリュウスケ君がそばにいないとダメなの。ずっと一緒にいてくれるんだよね?」

 そう言って見つめるサヨ。力強く頷くリュウスケ。

 背中をユウコにそっと押されて、サヨはリュウスケの元に駆け出す。飛び込んできた彼女をリュウスケはしっかりと抱き締めた。




 リュウスケの胸で泣きじゃくるサヨ。いつの間にか話の輪に加わっていたハルミとトシクニを含め、彼らの友人達はホッとした思いで2人を見つめている。

「まったく! アンタ達は世話が焼けるわねぇ。」

 呆れたようにユウコが言い放つ。

「ホントにすみません……」

 リュウスケが小声で謝る人々の顔は、みんな笑顔。

「なんでリュウスケ君は、サヨを悲しませるかなぁ?」

 ユウコの言葉に、女性陣は激しく頷いている。それを見たリュウスケは、ある想いに行き着く。


 2人だけの想いじゃないんだ


そう、ユウコの、ハルミの、エリカの想いも僕たちには向けられてるんだ、ということに気づく。そして、アキラの、藤川の熱い友情にも支えられているんだと。


 絶対に、サヨちゃんを守るんだ


その想いが、リュウスケの言葉を紡ぎ出す。

「サヨちゃん、君だけが好きだよ。ずっと君のそばにいるから。だから、ずっと僕のそばにいて欲しい」

 リュウスケの言葉に応えたのは、あの眩しいサヨの笑顔。リュウスケは、サヨに柔らかな微笑みを返した。

 

 柔らかな春の日差しに包まれて……


 2人はいつまでも微笑みを交わし合っていた。


第4章、やっと終了です。


前回の更新が終わってから、この話にどう仕舞いをつけようか悩んでいました。どういうシチュで、誰を登場させて、もちろんどう落とすか、大変に悩みました。

結果このような形になり、やや強引さも感じさせるような内容になってはしまいましたが、ええい!もうやってしまえ!と更新させていただきました。


どうやら2人の危機はとりあえず去ったようで、ちょっとらぶらぶな感じで終われたことには満足しております。本当はもっとイチャイチャさせたいと思っているので。


次話より第5章。

作者の願望を再び前面に出して、正統派学園風らぶいちゃや、はたまたR−15的らぶいちゃまでやってしまおうと考えております。

ただ、活報に書いた通りの自転車操業ですので、更新がいつになるかがわかりません。あしからずご了承下さい。


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