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ヒトメボレ〜君はどこにいるの?  作者: 秋葉隆介
第4章 ふたりで
34/54

第33話〜新しいクラスメート。

 新学期。


 いつものように、並んで登校してきた二人。

 大好きな人が隣にいる、そのことに幸せを感じて、微笑みを交わしながら二人は校門をくぐった。

 目指すのは特設の掲示板。そこには、二人にとって、とても嬉しいことが書かれているはず。既にその事実は聞かされてはいるのだが、二人でそれを確認して、喜びを分かち合いたかったのだ。

 その掲示板の前に立ち、ドキドキしながら書かれていることを確認していく。


 2年7組

  1番 秋葉 隆介

  … …

  … …

  15番 池内 小夜


 間違いない


「いっしょだねっ」

 サヨは、傍らに立つ愛しい人に笑顔を向ける。

「うん、いっしょだね」

 リュウスケも綺麗な笑顔を彼女に返した。


 だが、二人は気づかなかったのだ。

 二人にとって厄介な男が、新しいクラスメートになっていることに。




 二人は掲示板の案内に従い、新館の2階に向かった。今年新築の新館の中は、新しいにおいが満ち満ちており、足を踏み入れる生徒達にも、何だか気持ちが新たにさせられるような雰囲気があった。

 

 「おはよう!」

 7組の教室に入るやいなや、リュウスケには聞き慣れた声が中から飛んできた。


 彼女も一緒なんだね……


 二宮ハルミ、である。

 サヨには彼女とのいきさつも話してあるし、ハルミにはサヨが好きな気持ちを伝えてあるのだが、リュウスケとしては何となく居心地が悪いのは仕方がないところだ。

「あなたがサヨさん? はじめまして、二宮です。」

 屈託の無い笑顔をサヨに向けるハルミ。戸惑いの表情を浮かべるサヨに、ハルミの言葉が続けられる。

「1年の時、リュウ… 秋葉君とはクラスメートだったの」


 何を言い出すんだ?


リュウスケはハラハラしながら、ハルミの次の言葉を待った。

「彼からいろんなことを聞いててイヤかもしれないけど、良かったら仲良くしましょう」

 ハルミはそう言って、柔らかい笑顔を浮かべた。

 そしてハルミは、リュウスケの方に向き直ると、

「リュウスケ、これからは秋葉君、って呼ぶからね。『彼女』の前で呼び捨ては、さすがにまずいでしょ?」

 と言って、彼に意地悪な笑顔を向けた。

 「そ、そんなこと… 別にいいのに」

 傍らには真っ赤になって俯きながら、小さな声を出すのがやっとのサヨがいる。

「池内さん、もしかして照れてる? カワイイっ! サヨちゃん、って呼んでいいかな?」

「うん。私もハルミちゃん、て呼んでいい?」

「もちろん」

 サヨはすっかりうちとけた顔で、ハルミと笑いあっていた。


 あっけにとられて二人のやり取りを見ていたリュウスケは、ふと我に返るとあることに思い至る。

 やっぱり優しくて、そして強いハルミ。それが、サヨの緊張や警戒心を簡単に解いてしまった。


 また助けられちゃったのかなぁ……


思わず苦笑いを浮かべるリュウスケだった。


 「やあ。ずいぶん楽しそうじゃないか」

 その声に振り向けば、皮肉めいた表情をした男がいる。


 コイツも一緒なのか!


リュウスケは心の中で舌打ちをする。

「そんなにイヤな顔をしないでくれよ。せっかくのクラスメートなんだから仲良くしようじゃないか」

 その声の主は、高島秀一。その心の中にあの狂気を秘めているとは思えない程、穏やかな表情を浮かべて、彼はそこにいる。

「よろしく」

 負の感情が表情に出てしまったことを、高島に悟られてしまったことが、リュウスケにはとても悔しく感じられ、わざと素っ気なく返事をした。

 高島は勝ち誇ったようニヤリ、と口角を上げて、

「ずいぶん嫌われたみたいだね、まあいい。今日は僕のいとこを紹介するよ」

 高島の言葉を待っていたかのように、後ろにいた女生徒がずいっ、と前に出てきた。

「ごきげんよう」

 彼女は値踏みをするように一同を見渡して、明らかにそれとわかる愛想笑いを顔に貼付けて自己紹介を始めた。

「高島美月、です。よろしく」

 彼女はそう言って、頭を下げるどころか、ふんぞり返ってみせた。

 確かに自信はあるのだろう。女優も顔負けの整った顔立ちに、メリハリのついた体型は『女』であることを高らかに主張しているようだ。


 綺麗な人


サヨは素直にそう感じた。ハルミも息を飲んで見つめている。でも、でもね……


 何だか、怖い。


彼女の持つ雰囲気や、何より睨みつけるかのような自分に向けられる視線に、サヨは恐怖を感じていた。

 少し怯えたサヨの様子に気づいて、その原因の美月の視線を遮るように、リュウスケはサヨの前に立った。

 それを見て、高島の表情が少し歪む。

「僕はまだ諦めた訳じゃないんだよ、お二人さん……」

 高島は低い声でそう言い残して、薄ら笑いを浮かべ、傍らの美月を促して自分の席に向かった。




 アイツガ ソウカ。


美月は心の中の憎悪を隠そうともしない。

 秀一を誑かそうとする憎い女。


 ゼッタイニ ユルサナイ!


憎悪の炎は渦巻き燃え盛る。それが彼女の中の狂気を、増幅していくとも気づかずに。


2年生になりました。

時系列的には、ここで章分けするのが普通だと思うのですが、

章タイトルとストーリーをリンクさせたいので、このまま続けます。

この章タイトルで3話しか書けなかったからではありません。

決して……


さて、狂愛の男、復活です。

しかもクラスメートになっちゃいました。どうしましょwww

さらにややこしそうな新キャラも登場です。


ますます、目が離せませんねっ!(←そうなのか?)

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