第31話〜触れたい。触れられたい。
久しぶりの投稿です。
間がとても空いてしまいました。
それは思春期の健全な男の子、女の子らしいと言える悩みである。
異性への興味が強まり始めるお年頃、お互いの好意を確認し合った二人には、相手の熱や感触を確かめたいと思う気持ちは、至極当然のことだろう。
反面、高校生らしい色々な恐怖心や罪悪感、それに若者らしい恥じらいが、二人をこれ以上の行為に及ぶことを躊躇させている。
そんな二人の心の葛藤を、それぞれの視点で見ていきたいと思う。
その日二人は、いつものように寄り添って、駅までの道を歩いていた……
○ サヨside
リュウスケ君は私に興味がないのかな?
右隣を見上げれば、いつもと変わらぬ優しい彼の顔がある。でも彼は……
あの日から手も繋いでくれないの。
クリスマスイブのあの日、思い出すたび恥ずかしくなるようなことをしてしまったけど、本当に嬉しかったの。
でもね、あれから1ヶ月、デートもしたし、学校の行き帰りだっていつも一緒なのに、少し距離を感じるのは気のせいかしら。
私、ひょっとして避けられてる?
キスをせがむようなことをして、はしたない女だなんて呆れてる? 汚らわしい女だって軽蔑されてる? でもね……
リュウスケ君だから、してほしかったの。
あの時あなたがくれた「愛してる」の言葉。涙が出る程嬉しくって、もっとあなたを感じたくなってしまったのは確か。
だけどあなたにしか触れられたくないの。あなたにしかキスして欲しくないの。それだけはわかって。
私を拒否しないで!
私は本当にあなたが好き。あなたを愛してしまったの。だからあなたも私が好きなら……
私に触ってほしい
私をもっと感じて欲しい
私ももっとあなたを感じたいから
私にもっと触れて欲しい
これをあなたに伝えたら、あなたは私をキライになりますか?
○ リュウスケside
どうしたもんかなぁ……
リュウスケは途方に暮れていた。
時々視線を感じてそちらを見やれば、目を逸らして俯いてしまう彼女。
彼に向けられる彼女の視線は悲しげで、また批判的な色も帯びているようだ。
サヨちゃん、やっぱり怒ってるのかな?
クリスマスイブの夜の自分の行為は、もしかしたら彼女の意に添わないことだったのかもしれない、と思えば、後悔ばかりが先に立って、ため息の一つも出ようってもんだ。
キスしちゃいけなかった?
あの時僕は、どうしても君と口づけしたかった。「愛してる」の言葉だって、心から言えたと思ってる。だから君のことを感じたいと思ったんだ。
それは間違いなの?
ひょっとして、軽い男だと思われてる? エッチなことされるなんて警戒されてる?(したいとは思ってるけどね) だけど……
サヨちゃんだからしたかったんだよ。
手を繋いだり、抱き締めたりするたびに、君を感じたい気持ちがどんどん高まっていくんだ。
君しか触れたくないんだ。君にしかキスしたくないんだ。
あの時君も同じ気持ちだと感じたのは、僕の勘違いだったのかな? そうは思いたくないんだ。だから……
君にもっと触れたい
君をもっと感じたい
君にも僕を感じて欲しいから
これを君に伝えたら、僕は嫌われてしまうのでしょうか。
ふと視線が絡み合い、思わず声が出てしまう二人。
「「あのね、」」
同じタイミングで発せられた言葉に、ビックリして息を飲む二人だったが、次の瞬間、どちらからともなく触れ合った手が、しっかりと繋ぎ合わされる。
もう二人に、言葉はいらない。
こんにちは、秋葉隆介です。
約3週間ぶりの投稿になってしまいました。
話の展開に行き詰まってしまったり、年末年始の色々があったり(取ってつけたような言い訳)で、なかなか執筆活動が出来ませんでした。
本当につたない文章で読みづらいとは思いますが、出来ましたら根気よくお付き合いいただいて、出来ましたら感想でも頂けましたら励みになりますので、宜しくお願い申し上げます。