第2話〜入学式②
人がいっぱいだ……
体育館にひしめく学生達。当たり前だけどこれみんな『同級生』なんだよな。
「じゃあな、リュウスケ」
「ああ、また後で。」
僕達はそれぞれのクラスの列に向かった。
「学級委員は列の先頭で待機!」
おっかない顔した先生がマイクで叫んでいる。言われるままに2組の列の先頭に僕は向かった。
「入学式の最後に学級委員の紹介があります。名前を呼ばれた者は、ステージ上の向かって左から組ごとに整列すること」
—何だって? いきなりさらし者ですか? 思わず周りを見渡してしまった。
「どうしたの?」
声のした方をみると怪訝そうに僕を見る女の子がいた。
「いや、何でもない。」
「だって、挙動不審だよ?」
「そうだった?」
「君、学級委員でしょ?私と一緒だね」
そう言って彼女は微笑む。
—ドキッ。かわいいコだなぁ……
切れ長の細い目がちょっときつい印象だけど、形のいい鼻と少しアヒル口のふっくらとした唇、白い肌と顔の輪郭は卵を連想させる。ベリーショートの髪が良く似合ってるなぁ……
「どうしたの?」
と、もう一度彼女の声。どうやら僕は彼女の顔を見つめてしまったらしい。
「大丈夫だよ、紹介なんてすぐ終わるからさ」
僕の不安を消してくれるかのように、彼女がまた微笑んだ。
「うん、ありがとう」
そう答えるのが精一杯だったんだ。僕は多分焦ってたんだと思う。いきなり女の子に声を掛けられたこと、その子が随分かわいかったことで少し舞い上がってたのかもしれない。
そう言えば…「一緒」って言ったよね、この子。それって「一緒のクラス」ってこと?
「秋葉君っていうんだね。私、二宮ハルミです。同じクラスだよ。よろしくね」
何だか嬉しくって、気持ちがふわっと暖かくなって、少し照れくさくって…それが“二宮ハルミ”との出会いだった。