第17話〜繋がる。
プルルル、プルルル……
サヨの心の中にも響き渡るコール音。
プルルル、プルルル……
お願い、電話に出て……!
想いを乗せて、サヨの携帯は『彼』の携帯を呼び続ける。
プルルル… プツッ。
「もしもし」
とても聞きたかった落ち着いた声。サヨの表情が輝いた。
携帯のバイブが着信を知らせる。モニターには見知らぬ番号が表示されている。
リュウスケは普段、知らない番号は無視をする主義なのだが、この番号にはある確信があった。
『彼女』だ!
リュウスケは迷うことなく通話ボタンを押して相手に語りかける。
「もしもし」
低く落ち着いて素敵な『彼』の声。サヨは鼓動の高まりを感じている。
「秋葉君、ですか?」
わかり切ったことへの確認作業が、サヨの心を急かせる。
「はい、そうです」
と答える『彼』。安堵の思いがサヨの心を満たす。
「池内さん、でしょ? 待ってた」
『彼』は思いがけない言葉をくれた。
私だとわかってくれてた。
私を待ってくれてた。
嬉しい
あまりの幸福感に言葉が出ない。
でもちゃんと返事をしなきゃ。
やっと想いを繋げられるところまできたんだから。
「どうしたの?」
無言の『彼女』にリュウスケは不安になる。
「池内さん、ですよね?」
確認せずにはいられなかった。『彼女』の返事が聞きたかった。
やっと想いを繋げられるところまできたんだから。
「はい、池内です。こんにちは」
スピーカー越しに聞こえるかわいい声。リュウスケの胸が高まる。
「電話くれてありがとう。本当は僕からしなきゃ、なんだけど、番号知らなかったから」
「いいの。気にしないで」
お互いを確認出来てホッとしたのか、だんだん会話が弾んでくる。だた、一番「伝えたい」ことは、まだ口に出来ていない。
伝えなきゃ。
リュウスケもサヨもそれをずっと考えている。二人の想いが繋がるために。
リュウスケは意を決した。
「あの、池内さん……」
サヨは期待を込めて返事を返した。
「はい」
二人の『想い』が繋がる瞬間。
「僕はあなたに逢いたい。」
「わたしもあなたに逢いたい。」
やっと紡がれた「逢いたい」の言葉。