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ヒトメボレ〜君はどこにいるの?  作者: 秋葉隆介
第2章 好きなのに
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第16話〜信じたい。


 話の輪が解けてすぐ、ユウコは携帯を取り出す。アドレスを探し通話ボタンを押すと、目当ての人物と数コールで繋がった。

「もしもし」

 可憐な声がスピーカーから漏れてくる。

「あ、サヨ?」

「あ、ユウコさん? どうしたの?」

 ユウコは少し言葉に詰まる。ある思いが、未だユウコの心を揺らすからだ。

「……どうかしたの?」

 サヨの問いかけに、ユウコは我に返る。

「何でもないのよ… 今日時間取れる?」

 努めていつもの調子で、ユウコは切り出す。

「大丈夫だけど、何か?」

 いつもと様子が違うことを感じているのか、サヨは心配そうな声だ。


 もう決めたんだから。


「あなたに話したいことがあるの」

 私の恋は終わるけど、二人のことは裏切らないって決めたんだから。




 その日の夕刻、ユウコはサヨを自室に迎え入れると、白いソファーへと彼女を促す。コーヒーのマグカップを渡して、自分のカップを携え横に腰掛けた。

 少し微笑みを浮かべてサヨの顔を見詰めれば、彼女は少し首を傾げたかわいい仕草で不思議そうに見詰め返してきた。

「ホントどうしたの? 今日ちょっと変だよ?」

 何でもないのよ、って言葉が頭の中で空しく響くくらい、ユウコは今動揺していた。

 

 「あのね…」

 サヨは黙って聞き入っている。

「リュウスケ君に伝えたの」


 伝えなきゃ……


「あなたがリュウスケ君に会いたい、って」

 サヨが目を見開く。驚きなのか、怒りなのか、はたまた喜びなのか、今はまだわからない。

「サヨの想いと自分の本心に正直になって、って言ったの」

「そしたら?」

 吸い込まれそうな瞳に強い光を宿して、サヨはユウコを見詰めている。

「『彼』は何て言ったの?」

 さっきまでより少し強い口調で、サヨは問い返してきた。


 やっと『想い』を繋げられる。

「『彼』もあなたに会いたいって」


一瞬瞳は輝きを増したように見えたが、ユウコから視線を外してサヨが呟く。

「でも……」

 ??? もっと嬉しそうにすると思ったのに。ちょっと拍子抜け。

「やっぱり信じられないよ、そんなこと……」

 そうか! このコは『不安』なんだ。『わからない』まんま想いを伝えられても、そりゃ困っちゃうわよねぇ……

「前にリュウスケ君がオクテだって話をしたの覚えてる?」

 小さく頷きながらも、サヨは怪訝な表情を浮かべている。

「だからね、その時彼は照れ隠しにそんな態度を取ったと、私は思うの」

 納得いってない表情をしながらも、サヨはユウコの言葉に頷く。

「でもね」

 サヨの顔をじっと見詰めながら、

「あなたに会いたい、って言った『彼』の目に絶対嘘はなかった、って私は思う」

 サヨの瞳が再び輝く。

「だからね、今度はその『想い』にあなたが応える番」


 「ありがとう」

 零れんばかりの笑顔をたたえたサヨが目の前にいた。

 本当に嬉しそうで、本当に幸せそうな笑顔。何かを成し遂げた安堵感がユウコの中に広がる。

「お礼はまだ早いわよ? まだ何も伝えてないんだから」

 『想い』は確かに繋がった。しかし何も言葉にできていないのも事実。

「わかった、私頑張ってみる」

 サヨは何かを決心したようだ。

「ユウコさんの言葉も、『彼』の言葉も全部信じる。私、『彼』に伝えるから。会いたい、って私の言葉で」

 きっぱりと言い切るサヨが、ユウコには少し眩しくて。

「ユウコさん、『彼』の連絡先、教えてくれない?」

「今かけるの?」

「善は急げ、って昔から言うじゃない?」

 恋する乙女、の行動力に少し唖然としながら、ユウコは携帯のアドレスを検索して、目指す番号をサヨにかざす。

 サヨは数字を一つ一つ確かめるようにボタンを押して、小さく息を吐くと、でも躊躇うことなく通話ボタンを押した。


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