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ヒトメボレ〜君はどこにいるの?  作者: 秋葉隆介
第2章 好きなのに
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第15話〜もう迷わない。


 信じられない言葉だった。

 ユウコが発した「会いたい」の言葉。

「本当ですか?」

 と、リュウスケが勢い込んで訊いてしまうのも無理はない。リュウスケは『彼女』を怒らせてしまっていると思い込んでいるし、自分の行動が『彼女』との距離を遠くしていると考えているからだ。

 「本当よ」

 真剣な眼差しでユウコは答える。

「サヨは今、悲しんでるみたいなの。理由を聞いたら『わからない』からだって」

 その意味はリュウスケには何となく理解出来た。

 親切にされたかと思うと、冷たい態度を取られる。その人の真意が見えないということなのだろう。羞恥心から来たこととはいえ、教室での言動はやはり大失敗だったと、リュウスケは後悔の念が消えない。

 

 「リュウスケ君さ……」

 ユウコが念を押すように、

「サヨのこと、好きなんだよね?」

 そのことは、さっきみんなの前でも認めてしまったので、言われてもさほど気にならなくなってきた。

 リュウスケは頷く。

「だったらさ、サヨと会ってあげて?」

 もちろんそうしたい気持ちは大きいのだが、自信のないリュウスケは、返答に詰まってしまう。

「私はあのコに悲しい思いをして欲しくないの」

 ユウコは、瞳に強い意志を宿して言葉をつなぐ。

「お願いだから勇気を出して」


 勇気。


 それが持てないからこそ、次の一歩が踏み出せないことは、リュウスケにもわかっている。と同時に「引け目」というものを感じてしまっているのも自覚している。

 リュウスケは、次の行動に臆病になってしまっているのだ。


 「サヨはね、リュウスケ君のことばかり話してるんだよ」

 ユウコは優しく微笑む。

「ずっとずっと嬉しそうな顔してさ……」

 少し遠くを見るような顔をしたが、すぐにリュウスケに向き直って、

「まっすぐ向き合って欲しい。『彼女』の想いにも、自分の本心にも」

 きっぱりとリュウスケに告げた。


 もう迷わなくてもいいのかな?


 ユウコの言葉は、温かいものでリュウスケの心を満たしていく。


 あとは僕の勇気だけ。


 強い気持ちでそれを思えば、改めて抑えられない感情が頭をもたげる。


 『彼女』に逢いたい。


 「ユウコ先輩、池内さんに伝えて下さい」

 リュウスケはきっぱりと言った。

 「僕もあなたに会いたい、と」





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