いもうとのばあい
おなかが空いて一階へ降りた。
右を見る。
台所にいると思っていたお姉ちゃんがいない。
左を見る。
リビングのソファにかくれて、お兄ちゃんの頭の先だけが見えた。
「お兄ちゃん、おかえりなさい。お姉ちゃん見なかった?」
言いながらソファの正面にまわり込んで、まさかの光景に目を見開いた。
腕くみしながら座って寝ているお兄ちゃん。そして、そのももの上に頭を乗せて、お姉ちゃんが寝ている。
ひざまくらだ。
なんでこんなことに。
お姉ちゃんをゆすってみるが、むぅ、と一声だして嫌そうにはらわれた。
ダメだ。完璧に寝入っている。
お姉ちゃんは一度寝るとなかなか起きない。寝起きはいいのに。
お兄ちゃんを起こそうか。いや、そんなことをすれば、お兄ちゃんが驚いて立ち上がってお姉ちゃんを落とす気がする。やめよう。
昼ごはんをつくろうとして寝てしまったのだろうか、お姉ちゃんはエプロンをつけたままだった。
台所に行く。
用意してあった食材から、昼ごはんの内容が予想できた。なので、代わりに作ってしまおうと、エプロンをつけて包丁を手に持った。
火を消す。昼ごはんの用意はできた。
エプロンを外して、いまだに起きない二人に近づく。
起こすつもりが、二人を見てると、なんだか私も眠くなってきた。
あくびをひとつ。
横たわるお姉ちゃんのももに頭を乗せて、床に座って、私もちょっとだけ寝ようと目をとじた。