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あねのばあい

今日は土曜日。

私と妹は休みで、兄は午前中だけ学校である。

私は宿題をしながら、そろそろ昼ご飯をつくろうと考えて一階に降りた。


台所に入り、エプロンをつける。冷蔵庫の中を見てメニューを決めた。

いくつかの食材を台に並べながら、なんとなくリビングを見て、ぎょっとする。

ソファーに兄が座っていた。


「貴史兄さん!帰ってたなら声くらい」


かけてよ、と続けようとしてとめる。なんだか様子がおかしい。

近づいてみると、兄は頭を軽く傾けて目を閉じていた。


「・・・ねてる?」


顔を寄せて見つめてみる。ぴくりとも動かない。ごく小さな寝息だけが響く。


どうやら本気で寝ているらしい。


それなら、と思う存分寝顔を観察する。容姿は女の子達がうっとりするのも仕方ないと思うほど整っていて、まつげも長い。男のくせに。

ムカついて頬をつついてみた。ちょっと緊張したが、起きない。


規則正しい寝息につられてだんだん私まで眠くなってきた。

視線を下をやる。帰ってすぐに寝てしまったようで学生服のままだ。ももまで見て、ふいに思う。


男の人の膝枕ってどんなのだろう。


母や妹にしてもらった膝枕はやわらかくて素晴らしかった。

眠気に、好奇心が上乗せされる。


はたらいてない頭で長いソファに慎重に乗り上げた。ソファが重みで沈み、ぎ、と小さな音が出る。


兄は、起きない。


体を横たえて、兄のももの上にそーっと頭を乗せた。

かたい。予想はしていたが、本当にかたい。しかも高くて、理想の枕とはほど遠い。


でも。

人肌特有のあたたかさが制服ごしに伝わって、やけに心地よい。

かぎなれたにおいが私を落ち着かせる。


昼ご飯作ってない、と頭の隅で思いながら眠りに落ちた。





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