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電車のんびり読書旅

作者: 黄帯
掲載日:2026/09/20


 電車で出掛けるのが好きだ。


 以前は地元の私鉄で会社に通勤していた。

 地方都市在住のためか、通勤ラッシュ時でもギュウギュウ詰めの満員列車とは無縁。

 行きに座れる確率は五分五分くらい。

 帰りは確実に座ることができた。


 電車に乗っている時間は、片道20分弱。

 乗っている間は、座れても座れなくても本を読む。

 なんとなく、家で読むよりも集中できる気がする。

 それに移動プラス読書で、時間を有効に使えている感が良い。

 そんな訳で、電車での通勤は楽しかった。


 でもコロナ化以降、テレワークの在宅勤務に変わった。

 自宅で仕事をできるのは色々と楽。

 とはいえ家にこもって本を読んでいると、「もっと有意義な時間の使い方があるのでは?」などと余計なことを考えてしまう。

 だからなのか、電車に乗っているときの読書が一番楽しい。


 という訳で──。


 休日は電車で遠征することが結構ある。

 もちろん、バッグに何冊も本を入れて。

 万年積読状態で、読みたい本はいくらでもある。

 ただ、重くなり過ぎないように、ハードカバーなどは1、2冊だけ選ぶ。

 あとは文庫か新書サイズの本を3、4冊をピックアップ。


 早起きもせず、正午前位にのんびりと家を出る。

 自転車で普段の私鉄ではなく、在来線の駅へと向かう。

 在来線の駅に行くと路線図を眺める。

 目的地が決まればその駅の、そうでなければ一番安い切符を買う。

 

 行先を決めかねている場合、まず上りと下りどちらにするかを選ぶ。

 料時刻表を見て考える。

 20分くらい待つとなると、さすがに出鼻をくじかれた感がある。

 そういうときは早く来る方に乗ることにする。

 それなら、大体10分以内に電車はやってくる。


 さあ、電車がきた。

 混んでいて座れないこともあるけれど、その間はスマホで観光名所やイベント情報などをチェック。

 よし。目的地はこの駅にしよう。三十分から三時間くらいの間で行ける駅をピックアップ。

 そうしているうちに二、三駅くらい進んでいて、大抵の場合は席が空く。


 座ることが出来たら本格的な読書の始まりだ。

 バッグの中の本を見て、どれにしようかなと選ぶ。

 簡単に読めるやつを何冊か読破しようかな。

 それとも長編をこの機会に読もうかな。


 とりあえず一冊を選ぶ。

 そして読書を楽しむ。

 目的地に着くまでただただ本を読む。


 気負うことはない。

 別に読み切らなくても、途中で他の本に切り替えてもいい。

 ときに窓から流れる景色を見て、目を休めたりもする。


 電車に乗りながらの読書。

 至福のひととき。

 終わってしまうのが惜しいような気さえしてくる。


 それでも、いつかは目的地の駅に到着する。

 そうしたらしばらくは散策。

 街を歩いたり。

 神社を訪れたり。

 美術館の展示を見たり。

 都会の駅なら、駅ビルやショッピングモールを巡ったり。


 お腹が空いてきたら、適当な飲食店に入ればいい。

 カフェでも、定食屋でも、ラーメン屋でも。

 普段は訪れない土地での食事は当たりはずれはあるけれど、それもまた一興。


 腹ごしらえが済んだら、また散策。

 そして、読書と並ぶ旅の醍醐味とも言うべき場所へと向かう。

 それは本屋。


 本屋は楽しい。

 地元の店では置いていないような本があったりする。

 古本屋だと、品揃えのランダム性はより高くなる。

 街の片隅の古本屋や、駅から割と近い新古書店を見て回る。

 昔見かけて気になっていたけれど、手に入らなかった本を購入できることもある。

 するとお宝をゲットした気分になったりする。


 さて。日も暮れてきた。そろそろ帰ろう。

 駅に戻って電車に乗ったらまた読書。

 読むのは持ってきた本でも、新しく購入した本でもいい。


 それから、やっぱり時々窓の外を眺める。

 行きに見た景色は夜景に変わってたりする。

 この時間になるとちょっと疲れていることもある。

 そんなときは仮眠を取って、頭がすっきりしたら読書を再開。

 そうこうしているうちに、地元の駅に帰り着く。

 ローカル線を乗り継いで自宅へ。


 さてさて。

 今日の旅は終わりだ。

 電車に乗ってたくさん本を読んで、たくさん本を買った休日。

 家にこもっているのとは違った日。

 多分、有意義な一日だったと思う。


 ただ──。

 旅先で買った本で、積読はむしろ増えている。


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