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悪役令嬢 ローズ編2



「僕のかわいいかわいいローズを悪く言うなんて、酷い子だね」


広間の真ん中で私はルイ様に肩を抱かれた。


「……えっ」


思ってもいなかった反応だったのかリリアが目を見開く。

その場にいた貴族たちも。


全員一斉に私を見た。


……ああ、やっちゃった。


ローズは心の中でため息を吐いた。

これは明日から噂の嵐になりそうだとながら。


「この際、皆の者に言っておくが、ローズに手を出したら身分剥奪だと思っておけ。当たり前だが、僕の婚約者であり、時期王妃だ。皆も行動には責任を持つように」

「「「はっ」」」


威厳のある時期王の言葉に私達を囲んでいた貴族は皆返事をした。

……リリアを除いてだけど。


「では、少し失礼するよ。ローズ。ちょっと一緒に行こうか」

「えっ、はい」


感情の読めない微笑みを向けられ、私は少し戸惑った。

そんな私の肩をルイ様は抱いたままどこかへ連れて行く。


「な、なんで……?」


後ろで困惑したようなリリアの声が聞こえた気がした。


広間を出た後、ルイ様は速足でこちらを見ようともしなかったので、怒っているのかなと考えていると城内の一室に入らされ、入った瞬間抱きしめられた。


「ルイ様……?」


私が聞くとルイ様は少し怒ったように言った。


「ローズはいけない子だよね、俺がいないところで、一人でいるなんて」


そのまま腰に片手をを添えられ、私の長い髪を払いながらうなじに唇を当てられる。


「ひゃっ」

「そんな可愛い声も、美しい姿も、ローズの全部は俺のものなのに」


私がそう言って怒っているルイ様の頭を撫でるとルイ様は唇を離して私を見た。


「本当、ずるいよね。俺だけが求めてるみたいじゃん」


はあとルイ様はため息を吐き、私を見る。


「自分の婚約者が悪女って言われて腹立たない人、いると思う?」

「うっ、それは……」

「まあローズのかわいさは俺だけが知っててもいいけどさ」


そう言ってまたルイ様は私の肌にキスを落とす。


「それとも、心配させて俺の気を引きたかった?」

「そんなことしないわよ」


色気のある目で見つめて、からかってくるものだから冷たく返すと、ルイ様は頬を膨らませた。


「そんな冷たく返さなくてもいいじゃん、あと一年で俺たち身も心も結ばれるんだし」


そう彼は言ってくれるけれど。


「本当に、私で良かったの?」

「何が?」

「婚約者が」


なんでそんなに私を大事にしてくれるのだろう。

婚約者じゃなければ、こんなに好きだとか言ってくれていなかったのではないか。

ふとそんな考えが頭に浮かび、聞くとルイ様は言った。


「いいに決まってるよ。俺大好きなんだから、ローズのこと」


はっきりとそう言われて私は顔が赤くなる。

その様子を見て、嬉しそうにルイ様は顔を綻ばせた。

でも、それは一瞬だけ。


「でもね、最近思うんだ」


ガチャっとルイ様は部屋の鍵を閉める。


「俺がローズの事を愛していること、ローズは全然分かってないでしょ?」


そう言って少し瞳に影を落としながら彼は近づいてくる。


……分かってない?

十分彼からは愛情が伝わってくるけど、ルイは私がそれを分かってないって思ってるのかな?


「だから……」


私、ルイが好きな分、十分彼のことも分かっていると思ってたんだけど……。


そう思っていると、ルイが私の口に何か飴のようなものを入れた。

その飴は少し甘い香りを残してすっと消える。



「ーー本当のローズを教えて」



少し瞳に影を落としている彼の姿を見て私は気づいた。

ーーやっぱりルイの事、分かってなかったかも。

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