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星空の下で

僕「君はどうしていつも1人なの?」

君「あんたには関係ないでしょ」

僕「なんで?」

君「なんでも」

僕「ふーん…僕ねもう長くないんだって」

君「何?いきなり、聞いてないし

 話変わってるし」

僕「聞いてなくてもいいよ僕が話したいだけ」

君「あっそ」


病院であった君は

誰とも関わらずいつも1人だった

みんな君のことをよく思ってないみたいだけど

僕は、君といるとなんだか落ち着くんだ

でも、そんなこと言ったら

バカにされちゃうかな


僕「また、来てくれたんだね」

君「暇だから」

僕「なんにもする事ないもんね」

君「だったらあんたの話を聞いてる方が

 マシかなって」

僕「嬉しいな、僕友達いないから」

君「あんたもいないの」

僕「うん、君もいつもひとりだけどいないの?」

君「いない、あたしはこんな性格だから」


僕「一緒だね」

君「何が?」

僕「ひとりぼっちなの」

君「そうね」

僕「でも、僕は嬉しいな君がひとりで」

君「は?何言ってるの」

僕「だってその方が2人きりだから」


君「意味わかんない」

僕「僕ね、大人数が苦手なの」

君「だと思った」

僕「あれ?わかってた?」

君「話し方から何となく自信なさそうだし」

僕「あはは…君はストレートに言ってくるね」


君「だから、あたしには友達がいない」

僕「そっか」

君「いやになった?」

僕「え?」

君「嫌になったならあたし帰るけど」

僕「帰らないで僕は、そのままの君でいいと思う」

君「あんた、変わってる」

僕「よく言われる」


それから君は毎日のように来てくれた

僕の寂しい日々を消すように

死ぬ前の最初で最後の友達

いつか、親友のようになれるのかな

だったらいいなと願う毎日

僕はそんな毎日が楽しかった


君「今日はなんの話するの?」

僕「今日はね…君と僕の過去とか?」

君「そんなの話してどうするの」

僕「話せば何かわかるかもよ」

君「まぁ、お好きにどうぞ」


僕「じゃあ、まずは君から」

君「え、あたしから?」

僕「そう!」

君「あたし、ご自由にって言ったんだけど」

僕「だから、自由にした」

君「あんたってずる賢いよね」

僕「そうかな?」


君「まぁ、いいやであたしの過去だよね」

僕「そう!」

君「あたしは学校に行ってる時から

 一匹狼だった」

僕「そうなんだ」


君「そう、誰かと関わっても面倒になる

 だから誰とも話さなかった

 ひとりで居た方が楽だと思ってたから」


僕「家族とも話さなかったの?」


君「うん、話してもどうせ

 勉強のことを言われるだけ

 だったら黙ってた方が楽

 先生からも将来を心配されてたけど

 笑って誤魔化してた」


僕「やっぱり僕と君似てるね」

君「え?」


僕「僕もね病院の先生が心配してくれた

 でも、それは僕が死について話さないように

 考えないようにするためだってわかってた

 けど、笑って楽しんで話して

 何事もないように振舞ってた」


君「実際元気そうに見えるけどね」


僕「あはは、そうでしょでもね

 服をめくればすぐにわかる

 症状が酷いってことは」


君「これは」

僕「なんの病気かは僕には分からない

 でも、死ぬんだって治せないって」

君「…」

僕「ってこんな話されても困るよね…」


君「…決めた」

僕「え?」

君「あたし、生きる目的決めた」

僕「急だね」

君「あたし、あんたを笑顔にする」

僕「今も笑顔だよ」


君「違う、もっともっと心から笑えるように

 ううん、笑わせる」

僕「君と出会ってから僕は笑ってるよ」

君「あたしとあんたは似てるからわかる

 今も心から笑っていない」

僕「…やっぱり君はすごいね」


君「あんたは変だよ…あたしもだけど」

僕「だから、気が合うのかな」

君「どういうこと?」

僕「変人どうしだから」


君「確かに」

僕「あはは」

君「あんた、今何がしたい?」

僕「僕は…何がしたいんだろう」

君「何も無いの?」

僕「あるんだけどこれが1番したいってのは」

君「じゃあ全部やろう」


僕「でも、それじゃあ君の時間が」

君「大丈夫」

僕「そう?」

君「うん」

僕「なら、やろう」

君「うん、決まり」


こうして僕のやりたいことを夢を叶える

日々が始まった

最初は食べたいものや飲みたいものなど

小さいことから始めた


君「今日は何がしたい?」

僕「そうだなぁ、」

君「もうないのか?」

僕「あ!ゲームしたい」

君「ゲーム?」


僕「そう!テレビゲーム」

君「じゃあ、あたしのでやろう」

僕「やったー!」

君「持ってくるよ」

僕「うわぁこれが動物の国!」


君「そう、もしかしてやったことない?」

僕「ないんだ」

君「じゃあ操作方法とか教える」

僕「これ楽しいね!」

君「なら良かった」


僕「僕こんなに楽しいゲーム初めてだよ」

君「いつもなんのゲームしてたの?」

僕「いつもは…脳トレとか」

君「それ、面白いの?」


僕「全然」

君「だよね、あたしもやったことあるけど

 何が楽しいのか分からない」

僕「解ければ嬉しいんだけどね」

君「あたしは解くことができない」

僕「勉強苦手なんだ」


君「そう、だから親からも先生からも

 勉強のことばかり言われる」

僕「ふふ」

君「なんだよ」

僕「いや、意外だなって」

君「は?」

僕「僕、そんな怒られること言った?」

君「いや、初めてだったからごめん」


僕「え?」

君「勉強苦手なこと意外って言われるの

 初めてだった」

僕「そうなんだ」

君「あたしこんな見た目だから

 すぐ勉強できないって思われる」


僕「僕も勉強できないよ」

君「マジで?」

僕「うん、マジで」

君「あんたの方が意外だよ」


僕「よく言われる、でも僕は、

勉強は好きじゃない

 親に無理やり脳トレとかやらされたけど

 楽しくないし分からないからイライラする

 数学なんて全部意味わかんないし

 歴史学んでも僕の人生で

役に立たない気がする

 でも、国語だけはできたんだ

 人の気持ちを考えることはずっとしてるから

 って急にこんな話されても困るよね…」


君「いいよもっとして」

僕「え?いいの?」

君「うん」

僕「嬉しいな」

君「なんでそんな嬉しがるんだ?」

僕「だって、僕の話ちゃんと聞いてくれる人

 今までいなかったから」

君「そうなんだ」


僕「うん、いつも僕が離そうとすると

 みんな離れたり、遮るようにほかの話をする」

君「そっか」

僕「だから、僕は人と話さなくなった

 みんな聞いてくれないから」

君「あたしはちゃんと聞くよあんたの話

 暇つぶしになるし」


僕「ありがとう」

君「あたしはほかの奴らとは違う

 あんたも違う」

僕「うん」

君「でも、それでいいと思う」

僕「そうなのかな?」

君「今が楽しければいいと思う

 あんたは、今楽しい?」

僕「うん、君と話すことができるから楽しいよ」


君「そ、そっかならいいんじゃない」

僕「あれ?どうしたの?」

君「なんでもない!」

僕「顔が赤いよ」

君「帰るわ」

僕「え…なんか悪いことしちゃったかな」

君(なんで、あたし顔赤くなってるの!)


それからも君は毎日来た

君と話して楽しいはずなのに

何かが違う気がする

僕が本当にやりたいことってなんだろう

そう考えるようになった

愚痴を言って

ゲームをして

一緒に勉強して

色んなことをしてきたのに


全部本当にしたいことじゃない気がする

でも、したいことがなんなのか

僕には分からない

今日も僕はそう考えていた


君「ねぇ…ねぇ…ねぇってば!」

僕「うわ!ど、どうしたの?」

君「どうしたのはこっちのセリフだよ」

僕「ご、ごめん」

君「ねぇ、最近変だよずっとボーとしてるし

 あたしの話聞かないし」


僕「最近ね、僕が本当にしたいことって

 なんだろうって思って分からなくて」

君「それを、今探してるんでしょ」

僕「え?」

君「だから、やりたいことを探して

 沢山色んなことやってるんでしょ」

僕「確かに」


君「そんなに心配しなくても見つかるよ絶対」

僕「そうかな」

君「じゃあ、あんたは今何が欲しい?」

僕「急だね」

君「やりたいことが分からないなら

 欲しいものを言えば何か変わるかも」


僕「確かに、僕の欲しいものか…」

君「何?」

僕「物じゃなくてもいいなら1回でいいから

 彼女が欲しいな…なんてへへ」

君「そ、そうなんだ」

僕「うん」

君「あ、急用思い出したから帰るね」

僕「え、あっ」


君「なら、私の恋人になってくれたら

  私の願いも叶うのに」


僕「なんて言ったの?」

君「な、なんでもない!」

僕「また、走って帰っちゃった」


それから一週間が経った

君は今日も来なかった

あの日から一回も来ていない

僕何か言っちゃったかなと不安なる毎日

また、病室で一人過ごす生活になったら

そう考えると寂しくなってくる


僕「早く来てくれないかな…」

君「よっ!」

僕「うわぁ!」

君「またボーとしてたでしょ」

僕「だって、つまらないだもん一人だと」


君「でも、今日は来たよ」

僕「病院にも来てなかったよね」

君「そう、あたしもうすぐ退院できるんだ」

僕「そうなの?良かったじゃん!」

君「うん、一週間学校にちょっと行って

 慣れようとしてたから来れなかったんだ」


僕「そうだったんだ」

君「うん」

僕「でも、良かった」

君「なんで、あんたが嬉しそうなの」

僕「え?だって、君が退院できるから」

君「自分の事じゃないのに?」

僕「僕はもう諦めてるし、君には普通の生活を

 送って欲しいの楽しい毎日を」


君「あんたってほんとにお人好しだよね」

僕「君は、嬉しそうじゃないね」

君「…確かに嬉しいけど、あんたを残して

 あたしだけ退院するのが」

僕「僕なら大丈夫だよ」

君「…」

僕「廊下に人がいるよ」


君「あたしの親もう行かなきゃ」

僕「また、来れたら来てね」

君「うん」


僕と君はその日別れてから

一度も会うことはなかった

君は退院して

僕は病室にいる

昔の生活に戻っただけなのに

君と会う前の状態になっただけなのに

やっぱり寂しい


僕が欲しいものやりたいことわかったけど

今更だよね…君はもう、来ない

僕は先生にお願いした


もし、また君が来てくれた時

僕がまだ元気だったら自分から伝えるけど

元気じゃなかったら


君に一緒に星空を見たかったと僕は

君のことが大好きだってこと伝えてと


先生はいいよと言ってくれた

でも、自分で伝えたい

だから、頑張って生きないと

そう思うことができた

けど、現実は甘くはなかった


病状が悪化して

僕は立つことができなくなった

あぁ、もっと早く気づければ

僕がやりたいこと欲しいもの

自分の気持ちに気づければ良かったのに

そうすれば、君と星空の下で話せたのに

告白もすれば良かった


もっと君と一緒に話したかった

後悔してばっかりな日々

こんな僕を見たら君は怒るかな


君のお母さん「ねぇ、電話来てるよ」

君「あたしに?」

君のお母さん「そう」

君「なんだろう、はいもしもし」

「あ、もしかして君さんですか?」

君「そうですけど…どちら様ですか?」

「私、僕の母です」

君(え?なんで僕の母親が?)


僕の母「あの、僕が君さんのことを話していて

 とても仲良くしてくれたと」

君「そうなんですか」

僕の母「それで、お願いがありまして」

君「なんですか?」


僕の母「僕の病状が悪化して

 いつ死んでもおかしくない状態で」

君「え?」


声が出なかったあいつが僕が

いつ死んでもおかしくない?

あんなに元気だったのに?


元気だった…あれ?最後に会ったのいつだ

今ふと思い返すとずっと会っていない

病状が変わっててもおかしくないくらい

今まで学校のことで頭がいっぱいで

忘れていたけど


あいつ、最初から助からないって

死ぬってわかってた

と、とにかく話を聞こう

そう思い受話器を耳に当てた


君「それで、あたしはどうすれば」


僕の母「最後にあの子に会ってくれませんか?

 あの子があんなに楽しそうに話しているの

 初めて見たんです。君さんがいれば

 笑顔で最期を迎えられるじゃないかと

 自分勝手なのか十分わかっています

 でも、最後くらいあの子を

笑顔にしてあげたい」


受話器から聞こえる声は震えていた

きっと泣くのを我慢して

あたしに話している


僕の母「どうか、お願いを聞いては」

君「わかりました」

僕の母「え?」

君「あたしも最後に僕に会いたいし

 明日病院に行きます」

僕の母「ほんとにいいんですか?」

君「はい」

僕の母「ありがとうございます!」


あたしの気持ち全部話そう

そう思っていた


僕「あぁ、君が来てくれたら

 君が隣にいたらいいのに…なんて」


君「あんたはいつもそればっかり言うね」

僕「え?あ、」

君「よっ! 」

僕「どうして?」

君「あんたのお母さんに言われたんだよ

 会ってくれって」

僕「そうなんだ」


少し無言が続いた

でも、言わないと

僕は落ち着いて口を動かした


僕「僕ね、君のこと大好きだよ」

君「え?」

僕「やっと気づいたんだ、僕の気持ち」

君「な、なんだよそれ、今更かよ」

僕「えへへ、でも、最後に君に会えて良かった」


君「あたしも、好きだよあんたのこと」

僕「じゃあ両思いってこと?」

君「うん」

僕「やった」


その後僕は嬉しそうな顔をしながら

息を引き取った

後から病院の先生から

あたしと星空を見たかったと聞いた

なんで今更なんだよ意味わかんないって

あたしは今星空の下にいる

一番星が綺麗に見れる場所に

あたしもあんたと見たかったよ

あたしの告白気づいて欲しかったな

あたしは、一番会った時間が少なくて

一番会いたくて、一番記憶に残っている

あんたのことが大好きだよ


数年後

僕「今日からまた学校だ、頑張ろう」

君「前から来るのは小学生か?

 そっか、今日から学校か」

僕「あ、前から人が来る」

君「こんにちは」

僕「こ、こんにちは」


君「なんか、あの子あいつに似てたな」

僕「すっごい綺麗な人だった」


君「そういえば、あいつは

天国に行ったのかな」

僕「この辺に住んでるの人なのかな」


君「もう一度」

僕「一回だけでも」

僕と君「話したいな」 

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