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大丈夫 バイバイ

お姉ちゃんはいつも私に厳しい

ちょうだいって言ってもくれない

交換もしてくれない

すぐ怒るし遊んでくれない


私が泣くとお母さんが飛んできてくれる

お母さんに怒られてる時もお姉ちゃんは

言い訳ばっかり言って私を悪者にする

私はそんなお姉ちゃんのことが嫌い


私「ねぇねぇお姉ちゃん」

お姉ちゃん「何?」

私「ゲーム貸して」

お姉ちゃん「嫌よ」

私「なんで!」

お姉ちゃん「あなた持ってるじゃない

 それにすぐ壊すから」

私「むぅ」

お姉ちゃん「そんな顔してもだめ」

私「お姉ちゃんのケチ!」

お姉ちゃん「ケチって…」


いつもこんな会話ばっかり

でも、この時はまだ小さかったから

喧嘩しても数日経てば

普通に話してた


喧嘩しては気づいたら仲直りして

また喧嘩しての繰り返し

その時はわかっていなかったことも

今ならわかるでも、今じゃもう遅い


私が小学六年生の時

お姉ちゃんは中3だった


お母さん「お姉ちゃんは優秀ねぇ」

お父さん「お前ももうちょっとお姉ちゃんを

  見習ったらどうだ?」


お姉ちゃんは勉強ができて成績も優秀

お母さんとお父さんはいつもお姉ちゃんを褒める

私はどんなにテストを頑張っても

勉強を頑張っても褒められない


いつもいつもお姉ちゃんお姉ちゃんばっかり

確かに私はあまり勉強が得意じゃないし

勉強よりも運動の方が好き

スポーツならできる体育の成績は良かった


なのに、お母さんは見てくれない

お父さんは体育なんかなんの役に立つんだって

言ってきてお姉ちゃんは反応してくれない


私が中学生になると

お姉ちゃんは偏差値の高い大学附属高校に行った

私はお姉ちゃんと同じ中学に行った


中学生になって部活に入って

やっと親から何も言われない

そう思ってたのに

部活に入って活躍しても褒めてくれない


学校ではお姉ちゃんと比べられる

確かにお姉ちゃんと同じ中学だよ

でも、お姉ちゃんここにいないじゃん


そこまで私を追い詰めたいの?

どうして、お姉ちゃんいないのに

比べられるの?


私とお姉ちゃんは違う

性格もできることも

違うんだよ…

家族でも姉妹でも

私は私


ある時部活の顧問の先生が言った


先生「今度の練習試合中間試験で

 50点以下のやつは出させない!」


嘘、そんなの無理だよ

顧問の先生は熱血だけどめちゃくちゃ

できない生徒をいじめるのが好きな人


みんな、こっちを見て笑ってる

やだ、私また呆れられるの?

また、笑われるの?

試合にすら出させてくれないの?


「何とかしなきゃ」


私はそう思って頑張って勉強して

中間試験で何とか60点は超えた

そのことを顧問の先生に話すと

なんだかつまらなそうに良かったなと言った


親は、それが普通だって

せっかく試合に出れるのに

頑張って勉強して60点取れたのに!


いつもは30点超えたらいい方だった私が

テストを返された時私は自分を褒めた

でも、周りは褒めてくれない

悔しいような悲しいような

そんな複雑な気持ちが出てきて


私は、家出をした

どのくらい時間が経ったのか分からない

スマホも全部家に置いて来ちゃった


何もすることがない私は

公園にいることにした


しばらくしたら

私を呼ぶお姉ちゃんの声が聞こえた

お姉ちゃんは私を見つけると

嬉しそうに駆け寄ってきた


お姉ちゃん「どうしたの?」

私「なんでもない」

お姉ちゃん「言って欲しいな」

私「お姉ちゃんには関係ないでしょ!」


そう私は言ってしまった

お姉ちゃんの顔を見ると悲しそうだった

少ししてからお姉ちゃんはそっかと言った

私は言ってしまったそう思っていた


その時お姉ちゃんは

「アイスでも食べよっか」と言った


私は頷いてお姉ちゃんの後ろを歩いた

公園の近くのコンビニに行って

お互い好きなアイスを選んだ


お姉ちゃんがアイスを奢ってくれるのは初めて

本当は嬉しいはずなのになんだか悲しい

お姉ちゃんが心配して来てくれたこと

わかってるのに


私の事を思ってくれているのに

全部わかってるのに感情が先に出てしまう


こんな私ダメだよね

いつも後悔している

もっとこうすれば良かった


家族とも友達とも上手くいかない

私はこんな私が嫌いになっていた


その日はアイスを食べて一言も話さずに帰った

次の日朝起きたらお姉ちゃんはいなかった

今日は土曜日お母さんもお父さんも仕事

家には私1人だった


何もする気がない私はずっとベットに潜っていた

ご飯を食べることもめんどくさい

全部が嫌だ


それから1週間ずっと何もやる気が出ないまま

終わってしまった

部活にも顔を出さなくなった


お父さんもお母さんも私に期待していない

でも、お姉ちゃんだけは違った

今の私にはその行動すらもうざかった


私が家出をしてからお姉ちゃんとは

一言も話していない

どうすれば良かったのかな

なんでこんなことにそんな気持ちが

どんどん強くなっていく


そして、次第に私なんか産まれなければ良かった

そう思うようになってきた

ある日お母さんとお父さんが騒いでいる声で起きた

下に行ってみると2人は慌てて何かを準備していた


ふとソファーに目をやるとお姉ちゃんが

横になっているのが見えた

何をそんなに慌てているのか

状況が理解できなかった私は

お姉ちゃんに近づいた


そして、お姉ちゃんの顔に手を当ててすぐわかった

お姉ちゃんは息をしていなかった

そこにお母さんが来て

あんたも手伝いなさいと言ってきた


私はどうしてこうなっているのか分からないまま

準備を手伝って病院に行った

それから数時間が経った

お姉ちゃんは病気だった


私にはなんの病気かなんて分からない

でも、これだけはわかった


もうすぐ死んじゃうってことだけは


次の日お姉ちゃんは目を覚ました

まだ元気はなかったけど

お姉ちゃんは笑っていた


その日から生活は変わった

お母さんもお父さんも忙しいそうにしていた

私が話しかけても答えてくれない

私が学校に行く時は誰もいない


いつも聞く話はお姉ちゃんのこと

なんだか前よりも私をちゃんと

見てくれなくなった気がする


毎日病院にお見舞いに行って

夜まで帰って来なかったり

朝に帰ってくる時もある


最初はご飯を用意してくれてた

でも、次第にご飯が用意されなくなった

私は中学生だからお金もない

だから、家にある缶詰めを食べて過ごしていた


その時からずっと

この家はお姉ちゃんのための家なんだ

家族なんだ…私なんかどうでもいい

そう、思うようになった

辛くて辛くて泣きたくて


でも、泣けなくて誰にも言えなくて

ひとりで抱えて

好きなことも好きじゃなくなったみたいに

やる気が起きなくて


どうすればいいのか分からない毎日

こんなんじゃダメそうわかってても


気持ちは何かを求めてる

何を求めてる?

勉強が出来る頭?

友達?家族?

愛情?

きっと全部を求めてる


私にないものをずっと

もう、ひとりは疲れたよ

生きるのも嫌だよ

でも、死ぬのは怖い


勇気がない

勇気が…勇気が欲しい

自分の気持ちを言えるそんな勇気が


叶わないのは知ってる

私は今まで諦めてきた

諦めだけは昔から良かった


きっと、それはこの家族だったから

私もそろそろお見舞い行かなきゃ

あれから1回も言ってない


お母さんに行きなさいと言われ続けてる

次の日私はお母さんと一緒に病院に行った

お母さんはお姉ちゃんと話している

私はそれを遠くから眺めてた


その日は結局話さないまま帰った

このままじゃなんにも変わらない

最近ずっとこの言葉が頭をよぎる

親から、先生から言われ続けてる言葉

私の嫌いな言葉


わかってるでも、どうしようもできない

そんな日々が続いた

あれから数年がたって私は高校生になった


でも、何も変わってない

変わったのはお姉ちゃんの余命が短くなったこと

ある時、私は初めて1人でお見舞いに行った


私を見つけたお姉ちゃんは

キラキラした笑顔になった

そんなに私が来て嬉しいのかと思ったけど

そんなことは言わずに近づいた


私「どう?お姉ちゃん調子は」

お姉ちゃん「なんだか、もうすぐ死ぬのかなって」

私「どういうこと?」

お姉ちゃん「あのね、お母さん達には

  言ってないんだけどねいつからかな?

  手足に力が入らないの」

私「それって歩けないってこと?」

お姉ちゃん「そう、ベットから起きることも

  歩くこともできない」

私「…私お姉ちゃんに酷いこと言ったごめ…」

お姉ちゃん「いいの」

私「え?」

お姉ちゃん「私ね、なんでお母さん達は

  あなたの事を愛さないのかなって思ってた

  でも、その理由が分からなかった」

私「そんなこと思ってたの?」


お姉ちゃん「でもね、やっとわかったんだ

私が原因だったんだね…」

私「そ、そんなこと!」

お姉ちゃん「ごめんね」

私「謝らないで、私だって今までお姉ちゃんに

 酷いこと言ったりしてたから…

 私ずっとお姉ちゃんが羨ましかった

 みんなに愛されて、勉強出来て、可愛くて

でも、私ずっとヤキモチ妬いてのお姉ちゃんに」

お姉ちゃん「え?」

私「そのヤキモチが大きくなって

 段々とお姉ちゃんのことを嫌うようになった

 やっとわかったのに後悔してる

 なんで、今なんだろうってもっとあったのに

 私が子どもだったからだから、高校生になった

 今わかった」


お姉ちゃん「…」

私「また、やり直したい」

お姉ちゃん「え?」

私「もう一度産まれ直したい

 今の私なんか産まれて来なければ良かったのに」

お姉ちゃん「そんなこと言わないの!」

私「でも!」

お姉ちゃん「私は、あなたが産まれて来てくれて

  嬉しかったよ」

私「なんで」

お姉ちゃん「なんでって、可愛い妹だから」

私「そんなこと…」


お姉ちゃん「あなたが家出した時ね

 お母さん達は慌ててなかったの

 その時にね、もうこの人たちダメって思って

 私探しに行ったの」

私「そういえば、来てくれた」

お姉ちゃん「そうよ!ほんとに焦ったんだからね」

私「ごめんなさい」

お姉ちゃん「あの時、あなたを見つけて

 嬉しかった生きてたって飛びつこうかと思った」

私「どび…」

お姉ちゃん「でも、そうしたらあなたは

 嫌がるからしなかったけど」

私「そんな、お姉ちゃんも私の事

 嫌ってると思ってた」

お姉ちゃん「そんなことないじゃない!」

私「今からでも、やり直せるかな?」

お姉ちゃん「できるよ」

私「ほんと?」

お姉ちゃん「うん!今から仲直りをするの」

私「でも、お姉ちゃん死んじゃうって」

お姉ちゃん「私は、死んでもあなたの

 そばにいるわよ」

私「ほんと?」

お姉ちゃん「えぇ、目を話せない妹だからね

 何するか分からないし」

私「ちょっと、それ酷くない」

お姉ちゃん「ふふ、私も仲直りしたかった」

私「じゃあ、しよ仲直り」

お姉ちゃん「うん」

「はい、指切りげんまん仲直り!」

お姉ちゃん「ふふ…」

私「なんか、これ懐かしい気がする!

 …お姉ちゃん?お姉ちゃん!」


お姉ちゃんは死んだ

嬉しいそうな顔をして

この顔が私と仲直り出来たことに対する

顔ならいいなと思う


最後にした指切りげんまん

懐かしいと思った理由がわかった

1度だけまだ仲良かった時にした


葬式も終わって落ち着いた生活を送った

今、私はもう大人

もうすぐで実家を出る

最近よく誰かに見られてる気がする

でも、それが誰なのかはわかる

荷造りを終わらせて家も借りた

仕事も見つかり

今日家をでる


「あ、その前に家の中見よ」


家はなんだか広く感じた

あれから両親はおかしくなってしまった

ずっと私ひとりで住んでいた家

ここ、お姉ちゃんと遊んだな


「懐かしいね」

私「え?」

お姉ちゃん「どうしたの?」

私「どうしたのってなんで?」

お姉ちゃん「あなたが心配で見に来ちゃった」

私「もう!どれだけ心配性なの!

 ずっと見てたでしょ」

お姉ちゃん「あれ?バレてる…エヘヘ」

私「エヘヘ、じゃないよ」

お姉ちゃん「まぁ、いいじゃない」

私「いいけど、怖いよ」

お姉ちゃん「いいんだ、ふふ」

私「何よ!おかしい?」

お姉ちゃん「ううん、でも、

あなたが幸せそうで良かった」


私「お姉ちゃん、お姉ちゃんも夢あったのに

  私だけ幸せになってるお姉ちゃんと私

  入れ変われたらいいのに」

お姉ちゃん「だから、そんなこと言わないの!」

私「だって、お姉ちゃん」

お姉ちゃん「私はいいの、あなたが幸せなら

 私も幸せだから」

私「じゃあ、今お姉ちゃん幸せ?」

お姉ちゃん「幸せよでも、あなたが心配」

私「そんなに心配しなくていいよ」

お姉ちゃん「でも」

私「だって私もう大人だよ仕事も決まってるし

ちゃんと幸せになるよだから心配ないよ」


お姉ちゃん「大丈夫?」

私「大丈夫!」

お姉ちゃん「そっか、なら良かった」

私「うん!」

お姉ちゃん「バイバイ」

私「バイバイ」


よし!これからもたくさん色んなことに

挑戦してみよう

私はひとりじゃない、何も怖くない

だって、お姉ちゃんがいるからね

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