第3話 新生活スタート
異世界転移3日目。
ピヨピヨ、ピヨピヨ…
可愛らしいひよこの鳴き声が聞こえてくる。
これは昨日ルルさんが設定してくれたアラームの音だ。
枕元の時計に手をかざすとアラームはピタッと止まった。これは目覚まし時計の魔導機。他にも睡眠がちゃんと取れてるかなどの健康管理機能もあるそうだ。
今日から研修がスタートする。
1時間後には玄関にいなければならないので、もう少し寝ていたいけどすぐに準備を始めた。
部屋にある魔導機は一通り使い方を教えてもらっているから問題なく使えた。
着るものも支給されたものがあるのでそれを着る。
これは研修生の制服で研修センターに通う際にはこれを着なければならない。白地で肩と胸ポケットに青のラインが入ってるポロシャツと、アイボリー色のズボンで、見た目的に学校の制服っていうよりゴルフウェアに近いかな。
顔を洗って着替えてから一旦食堂へ。教わった魔力操作はすぐに慣れて、部屋のロックも一瞬で出来るからホント便利。
食堂に降りるとそこにはおばちゃん…ではなく若いお姉さんがいた。褐色の肌にぱっちりした目で髪型は横ポニーテール。そしてとても主張の激しいバスト…。
ルルさんとはまた違う美人さんだ!
「おはよう!君が新入りの転移者くんだね!昨日は挨拶てきなくてごめんね。僕は転移・転生管理課の職員兼この食堂の料理長のアベリアだよ。これからよろしくね!」
このビジュアルで僕っ娘だと!?ギャップの破壊力が凄まじい!そして俺は運が良い。料理長までこんな綺麗な人だなんて。
「よろしくお願いします!昨日はお弁当ありがとうございました」
「いやいや、年に何回かある機器のメンテナンス日で迷惑かけちゃってごめんね。色々取り揃えてるから券売機のメニューから好きなの選んでね!」
券売機で券を買ってから渡すタイプか。券売機はデジタルのボタンで、画面には全部写真でメニューが載ってて文字が読めなくても選べる様になっていた。
主食はご飯、パン、麺類にグラノーラみたいなのも選べるし、おかずも見たことある様な物から知らない物まで15種類の中から3種類選べるみたい。
ってか、この食堂はメニューの種類が多くて迷っちゃうな〜!食堂の朝ご飯でこれだけの種類出せるなんて凄い!
そういえば病院食の時にも思ったけど、食べ物も元の世界と似てるものが大分多いな。
俺は券売機とにらめっこして、とりあえず安心して食べれそうな見た目がカレーにそっくりな物を頼んでみた。券をアベリアさんに渡すと、
「朝からカレーだなんて凄いね!このカレーは元の世界の物を再現したものだから安心して食べてね!」
そっか、アベリアさんは転移者だからご飯も元の世界の作れるのか。
そんな事を考えている間にもう手元にはカレーが来ている。
「同じ世界出身のおまけでデザートつけてあげるね!私の生まれはフィリピンなんだけど、フィリピンではポピュラーなギナタンって料理だよ。甘くて美味しいんだよ〜!」
「ありがとうございます。フィリピン料理は初めてなんで楽しみです!」
出てきたものは香りから見た目の具材までまんまカレーだ。おまけデザートは芋っぽいのが見える。
窓際の端っこに陣取りいざ実食!まずはカレーからだ!
ぱくっ
んんんん〜うまいっっっ!!!
カレーだ!俺の愛して止まないカレーがこの異世界にもあった!!ありがとう神様!!!
スパイスをしっかり感じつつも、辛くなくて子供でも食べれそうな味。お肉はホロホロで舌で潰せるくらい柔らかい。具材はオーソドックスに玉ねぎ、人参、じゃかいもかな?この世界にも同じのがあるのかなぁ。
あっという間にカレーを食べ終えて次はおまけにくれたギナタン。初めて食べるけど、どんな味なんだろう。
思い切って食べてみると、ココナッツミルクの香りとかなりの甘さ、そして里芋っぽいのと柔らかいのは白玉みたいだ。プチプチした食感もある。これはタピオカだ!色んな食感と甘さにココナッツの香りが見事に調和して美味しい!!
これもあっという間に食べ終えてしまった。
食器は自分で片付けるみたいで、下膳コーナーに置いたあとにアベリアさんに声をかけた。
「めっちゃ美味しかったです!ギナタンも初めて食べたけどハマっちゃいました!」
「口に合って良かった〜。他にもフィリピン料理で美味しいのあるからまた紹介するね。それ以外にも色々あるから毎回楽しみにしててね!いってらっしゃい」
美味しい朝食をしっかり食べた後は一旦部屋に戻り、歯磨き等の身なりを整えてから、集合場所の1階エントランスホールへ向かった。
10分前に到着したけど、エントランスホールにはもう結構人が集まっていた。研修施設に行く人でこの家の近くに住んでいる人も一緒に乗って行くみたいだ。
「そろそろ出発するので乗る方は着席をお願いしまーす」
昨日挨拶したクフカップさんがバスへの誘導を始めてる。俺も乗らないとな。ルルさんはいないのかなー。
乗り込みの列に並びながらルルさんを探していると、
「ユートさんおはようございます」
事務所の方から声がした。あの可愛い声はルルさんだ。小走りで事務所から列の方に来てくれた。
「昨日は寝られましたか?」
「はい、むしろ実家のベッドよりよく寝れました」
「それは良かったです。今日から研修頑張ってください。もしわからない事や不安なことがあったら言ってくださいね」
仕事だからだろうけど、優しい言葉をかけてくれるのは嬉しい。
「ありがとうございます。行ってきます!」
俺はバスへ乗り込み空いている席に座った。隣にはエルフの青年が座っている。青い髪に青い瞳でクールなイケメンって感じ。他にも色々な種族の人が乗り合わせていた。
程なくしてバスは出発し、10分程移動したらもう到着した。
到着した研修施設はこれまたとーーーーーっても広くてびっくり!東京ドーム何個分なんだろう。
バスが止まると添乗員として乗っていたクフカップさんがアナウンスを始めた。
「帰りは各々公共機関等でお帰り頂くか、17時半出発のこのバスに乗ってお帰り下さい」
アナウンスが終るとバスの入り口が開き、乗っていた人達は次々降りていく。俺もその流れに乗って進んでいくと出入り口で、
「あ、オチさんは降り口から正面に見える建物に進んで頂いて、受付で入学手続きをしてください。帰りはこのバスで帰りますのでお間違えのないようにお願い致します」
「わかりました、ありがとうございます」
ワノイエの受付の時とは違ってめっちゃ丁寧に話しててキャラが違うな。完全に外行きな感じだ。
俺は言われた通りに正面の建物に入って受付に向かった。受付の人に声をかけて、転移者1年研修コースの入学手続きをしたい伝えると、受付近くの別室に案内された。そこは今日から入る人で研修コース別に席が分かれて座っていた。1年研修コースにいたのは5人で、そこにはバスで隣になった青髪イケメンエルフもいた。
8時半になると職員らしき人が何人か入ってきて、入学手続きについての説明やらなんやらが始まった。
一昨日にルルさんからもう説明は受けてたけど、1年研修コースは基本的に月曜日から金曜日まで毎日3、4時間の座学研修と、1、2時間の適性に合わせた技能研修があるらしい。
そういえば、曜日などの暦はそっくりそのまま同じだった。元の世界と似てるとこ多いよな〜。
手続きの話が終ったら、次はもう早速1つ目の講義が始まるみたい。移動教室で職員の人についていくとそこは大きな講堂だった。転移者は珍しいみたいだからてっきり一人淋しく講義を受けるものだと思ってたけど、部屋に入ったら既に30人くらい人がいてビックリした。
そういえば転移者専用のカリキュラムではなくて、幼少期に教育を受けられなかった人とか、ハンターや魔導師資格を取るための基本課題にもなっているってさっき職員の人が言ってたな。
この研修施設の形式は大学の単位制に大分近いみたい。資格によって必要な課題が違うから講義によって人数は毎回バラバラらしい。総勢にすると数百人はこの研修センターにいるって話してた。しかも、こういった研修センターは国内外に複数あって、通いやすい所を選ぶらしい。イメージ的には大学と車の教習所の間みたいな感じかな。
俺もこのカリキュラムが全部終われば何かしらの資格が取れて就活の役に立つらしい。どの資格を取るかは午後の職業適性検査を踏まえて自分で決めないといけない。
因みに今週の午後はずっとこの適性検査になる。来週中に午後の技能研修でどの資格コースにするか決めて、再来週からそのコース別のカリキュラムに移行するらしい。
午前中の座学研修はこの世界の文化や歴史と社会生活に必要な生活スキルの勉強だった。途中休憩を挟みながらだけど2時間半も講義受けるのは久々で少し疲れた。
こっちに来る前は夏休みだったし、もう単位はほぼ取り終えてるから大学4年はあまり学校行かないんだよね〜。
講義を終えるともう昼休憩の時間。お昼は学食みたいなのがあって、そこで大体の人は食べるみたい。俺は転移者ビギナーの特権で学食がなんと無料!なので俺も学食で食べる事にした。
学食はメニューも豊富で俺が通ってた大学の比じゃない。色んなお店が並んでるから、これはもう学食というよりフードコートと呼んだ方が正しいかもしれない。
せっかくならこの世界にしかない食べ物も食べてみたいと思って、色々なお店のメニューを見て回った。元の世界の料理に似てるものも多くあったし、見たことない昆虫や両生類っぽいのを使ってる料理もあった。
悩んだけどやっぱり大好きな肉料理が食べたくなって、お肉のメニューを探して彷徨っていると美味しそうなステーキのお店を見つけた。看板のメニューを眺めていると、
「いらっしゃい。おっ!兄ちゃん特別コースの学生さんだね!『異世界組』かい?それとも『訳あり組』かい?」
なんで異世界から来たってわかったんだ!?でも訳あり組ってなんだ?
「なんで異世界から来たってわかったんですか?僕そんなに変に見えます?」
「あぁ〜すまんすまん!そういう意味じゃないんだ。困ってたらすぐに助けられるように、お前さんの制服は他の学生さんと色が違うのよ」
え、初耳なんですけど!
「少なくともここで働く連中はお前さんに好意的にする奴が多いと思うぜ。なんせこの無垢人界は壊滅の危機を転生者と転移者に救われたんだからな。それに転移者由来の技術や発想で発展して来たんだからよ。お前さんにも何かしらの期待をしちまうもんさ」
そんな人がいたんだ。どうりで皆が皆、転移者の俺に優しくしてくれるはずだ。
「しかもその英雄がこの街のギルドに居てくれるんだから心強いったらないよ。最近は宣戦布告して来た魔人界との国境付近を警備してくれてるんだぜ」
ん?似たような話を前にも聞いたような…。
「その人なんて名前の人なんですか?」
「おう、『真紅の竜騎士』こと、アユーユ・アフートさんだ」
やっぱり!アユーユさんだった!
「そうだったんですか〜。実は僕アユーユさんに助けられてこの街に来たんです」
「お前さんそうだったのか!そいつはラッキーだったな!」
さらに話を聞くと、実はアユーユさんは全世界で10人しかいないSランクハンターで、10年前に無垢人界に現れた『厄災魔獣』と呼ばれる災害級のモンスターを討伐した英雄なんだって!
それなのにあんな気さくに話してくれて、全然偉ぶったりしないから皆アユーユさんに惹かれるんだろうな。
「ところでお前さん飯はどうするんだい?うちは肉料理を中心に扱う『クニクニ』ってんだ。今日のオススメは天然物のリントドレイクとシュバインドレイクのステーキだぜ!」
そういえばご飯選んでる最中なの忘れてた!
ドレイクって確か下級のドラゴンとかじゃなかったっけ。ドラゴンってこの世界だと食べるんだな。せっかく色々教えてくれたし、肉料理だしここに決めよう!
「じゃあせっかくなんでシュバインドレイクのステーキでお願いします!」
「あいよ!公費で支払われるからお前さんが出す必要はないが、販売記録は必要なんでな、このタブレットにスマリかざしてくれ」
このスマリには元の世界でいうバーコード決済みたいなのがついてるらしい。ってかタブレットあるんだ。かざすとそれぞれピカっと光った。
「まいどあり!ちなみに天然物のシュバインドレイクのステーキは、他国なら王族や貴族に出すレベルの高級料理で普通に買ったら一般市民の給料で3分の1は飛ぶぞ」
くっっっそ高!!給料の3分の1って一人暮らしのほぼ家賃じゃん!!
特別待遇じゃなきゃ絶対食べれないな。なんなら仕事し始めたら2度と食べれなくなりそうだ。
「この街は流れの森の中にある湖の恩恵で土壌も豊かだし、餌になる動物も栄養価が高い。だからドレイク達の質も高いし、他国よりも繁殖数が多く狩猟許可数も多い。だからこの街では贅沢したい時に食べる位の感じだな!」
この街は俺が転移したあの森のお陰で栄えてるのか。なんで森の近くにこんな近代的な街があるのか不思議だったけど合点がいった。
「出来上がったらスマリが教えてくれるから取りに来な」
注文し終わったので、俺は一旦席を探すことにした。人が多くて座れそうな場所を探すのもひと苦労だったけど、窓際の隅っこが奇跡的に空いてたので確保できた。
席には小型の魔導機があり、そこにスマリをかざすと登録されて、登録したスマリがないと警告音が鳴るらしい。食べ終えたときにはまたかざして解除するか一定時間経過、もしくは一定の距離が離れると自動で解除されるらしい。
席を登録するとちょうどスマリが光を帯び、ステーキが出来たことを教えてくれた。思ったより早かったな。
ステーキを取りに行くとズラリと人が並んでいた。さっきは全然並んでなかったのに。たまたまお客さんが途切れたタイミングだったのかな。話した店員さんは忙しそうだ。俺は受け取りカウンターでステーキを受け取り席へ戻った。
注文したステーキは見た目からボリューム満点!尻尾を輪切りにしたような見た目で、真ん中の骨があったであろう部分にはたっぷりのソースが置いてある。肉の周りには更に違う種類のお肉が置いてある。部位が違うのかな。
セットになっているサラダにはプチトマトに似たものやパプリカ、レタスみたいなものもあった。これにもドレッシングがかかっていて、見た目はサウザンドレッシングみたいだ。
それではまず尻尾の部位から…いざ、実食!
肉をぱくっと口に入れると、すぐに押し寄せる圧倒的な肉汁の旨味。塩味と甘みと旨味が絶妙なバランスで、脂もさっぱりしてるから肉だけ食べても全然しつこくない。
ぅんまぁぁぁぁぁぁい!!!
今度はソースをつけて一口。これもぅんめぇぇぇ~!!
ソースは甘酸っぱくてフルーティーな感じ。これが肉と合わさると、さっきはなかった酸味が足されて更に1段階味の奥行きも出て、もうめぇぇちゃくちゃ美味しい!!!
そんな感動に悶えながら食べていたら後ろから声を掛けられた。
「隣いいかい?」
え、今の見られてたらちょっと恥ずかしいんですけど。
「ど、どうぞ」
声をかけてきたのはバスで隣に座ってたエルフのイケメンくんだった。
「美味しそうなの食べてるね。クニクニは肉料理で有名なお店で食堂でも人気らしいよ。しかもこの街のシュバインドレイクは高品質で有名だし、この食堂だとお手頃価格で食べれるから人気でるよね。流石に君のサイズは高価だけど」
あ、やっぱり有名なのね!店員さんが言ってるのは本当だったんだ。まぁ他国なら一人暮らしの家賃は飛ぶみたいだしそりゃ頼む人はいないか。
そういえばバスでは気が付かなかったけど、このイケメンくん俺と同じ制服着てる。エルフって事は転生者なのかな?
「バスで隣だったよね、君も同じ制服って事は転生者?」
「隣に座ってたのは君だったのか。すまない、全く気づいてなかった。僕は純血のエルフだよ。訳あって自分の国では研修を受けられなかったから、遥々ここまで来たんだ」
バスで隣なの気づいてなかったのか。まぁわざわざ誰が座るか見ないか。転移者じゃないって事は、さっき店員さんが言ってた『訳あり組』ってやつか。理由を言わないってことは聞かれたくないんだよな、きっと。
「そうなんだ。バスが一緒だったって事は君もワノイエに住んでるの?」
「そうだよ、だから君が入居したのも知ってたんだ。噂で転移者って聞いてたから話してみたいと思ってたんだ」
噂になる位だからやっぱり転移者は珍しいんだな。
「僕の名前はウォークタ・S・ウスタモク。呼ぶ時はウォークタで構わない。これからよろしく」
「僕は越智優仁、ユートで構わないよ。こちらこそよろしくね」
同じコースの知り合いが出来てめっちゃ助かる〜!しかも転移者じゃないみたいだから、この世界の事とかは詳しいはず。困った時には色々聞いてみよっと。
「食事中にごめんね、それじゃあまた午後の適性検査で」
「うん、また後で」
午後は適性検査だったっけ。どんなことやるんだろう。でもとりあえずご飯食べなきゃ。せっかくのお肉が冷めてしまう。
俺はいつもの食事よりもじっくり味わいながらもあっという間に完食した。本当に美味しかった。明日はリントドレイクの方も食べてみよう。
午後の適性検査では、プリントで50の質問に答えるのと、細かな作業を何種類かやって手先の器用さを見る実技だった。
作業は木工とレザーの小物作りだった。それぞれ2つずつ作製するって課題だったんだけど、元々細かな作業は苦手だったから、
「発想は面白いんだけどね〜仕上がりはお粗末だね〜」
と、講師の人からは厳しい評価だった。ゆっくり丁寧に時間をかける時間があれば、もう少し良いのは出来たと思うんだよな〜。
ちなみにウォークタくんはとても綺麗なブレスレット2つと、綺麗な女性の彫刻と竜騎士の彫刻を作ってた。途中チラ見したら魔導で削ったりしてた。魔導ってそういう使い方もあるのかと勉強になったけど、俺はまだちゃんと使えないからなぁ。
明日以降は筋力や瞬発力、持久力などの体力測定、グループに分かれてのチームワークを見るような実技も行い、その結果で適性職業を判断して、10個の職業を適性値が高い順に伝えられる。それを踏まえて本人に検討してもらう仕組みらしい。
今日はこの実技で終わりだったので、ウォークタくんと一緒にバスに乗って帰ることにした。
待ち時間や帰りのバスでこの国のこととか、最近のニュースなんかを教えてもらった。
ウォークタくんも異世界の事が知りたかったみたいで、元の世界の事を色々話した。その中でもスマホのアプリでダウンロードしてた漫画に興味深々で、また見せて欲しいと頼まれた。
スマホは充電出来ないと思ってたんだけど、異世界の電気製品が使えるよう魔力を変換出来る魔導機があるらしく、手に入ったらくれるとのこと。その代わりに漫画を見せて欲しいって。
そんな話をしてたらもうバスはワノイエに着いていた。
建物に入ると受付けにはルルさんがいたので声をかけた。
「戻りました。思ってたよりもしっかり勉強な感じで驚きましたけど、結構楽しかったです」
「おかえりなさい。ウォークタさんも一緒なんですね」
「お疲れ様です。互いの世界の事を色々情報交換できてとても有意義でした。それに共に学ぶ仲間が出来て有り難いです」
「ウォークタさんもこちらにいらしてからそう経ってないですもんね」
へぇ〜そうだったんだ。いつ頃から来てたんだろう。
「すみません、僕はこの後予定があるのでまた。ユートくんもまた明日」
「うん、また明日〜」
そう言ってウォークタくんはまた外に出掛けて行った。
今日は研修初日で疲れたし、俺もルルさんに挨拶をして部屋に戻ることにした。夕飯を食べた後は明日の準備をして、ゆっくりお風呂入って早めに寝床についた。明日も楽しい事がたくさんあるといいな。
そんな事を考えながら俺は眠りについた。