第16話 災い来たる
アゴイスの皆と別れてこれからこの国の首都、ミーペスに向かう事になっている。
アゴイスには大きな飛行場があり、そこから飛行機でミーペス国際空港まで飛び、また専用バスに乗り換えてミーレス城まで向かうらしい。
飛行場に着き飛行機に乗り換えたけど、俺達が見慣れている形とは異なり、どちらかというとスペースシャトルに近い形をしていた。飛行機の下にはレールみたいなのがあって、その先には発射台みたいに垂直までレールがあった。
「師匠、この飛行機って宇宙まで出るんですか?」
「宇宙までは流石に行かないよ。ただ、空はモンスターの制空圏が広く、目的地に行くまでに襲われる確率が高いから成層圏まで一気に上がって、そこからしばらく成層圏を飛んで、目的地付近でまた対流圏へ戻ってくる感じ。だから魔導機の出力も対流圏では火属性で推力を得て、成層圏では風属性をいくつもの方向に発射させて機体を浮かせて移動してるよ」
「こんな大きな物も魔導機で動かせるんですね」
「凄いよね〜。高度な魔導技術が使われていて飛行機自体がかなり高額らしいわよ。そもそも飛行機での移動は一般人向けには開放してなくて、一般人は車か魔導列車で移動してるわ。普段は王族や要人を護送するのに使ってるわね」
「じゃあ僕達は要人に当たるんですか?」
「まぁこの国の未来がかかる勇者様御一行ですからね」
「そんな大した人間でもないんですけどね〜」
それから程なくして飛行機は離陸した。隣のユアは角度が垂直近くまでいくと流石に少し怖いようで俺の手を握っている。
「ヤバイヤバイ!角度エグい!めっちゃ楽しい〜!」
「これ落ちたりしないよな?大丈夫だよな?」
コトミはテンション高く喜んでるけど、ムラトモは大分ビビってる。ジェットコースターに乗る時の2人はいつもこんな感じだ。
飛行機はぐんぐん加速して数分で雲の上までやってきた。成層圏からの景色はとても美しく、映像でしか見たことのないような壮大な美しさだった。実際に惑星をこの高さから見ると自分達がどれだけ小さな存在かがわかる。
「綺麗だね、ユーシくん」
ユアも安定飛行に入って落ち着いたみたいだ。
「そうだね。この世界に来なかったら惑星をこの高さから見る機会なんて絶対になかったと思うよ」
「この世界に来て悪い事ばかりじゃないよね。マーシュちゃんにヘリオくん、ルビアス先生やカコミィさんとか色んな人と出会えて楽しいな」
「確かにそうだね。みんな良い人達だよな。アゴイスに暮らす人達も良い人ばかりだったね。勇者なのは隠してても雑貨屋のおばちゃんとか、スーパーの店長さんとか転移者って気付くと『異世界に来て大変だろう』っておまけとかよくしてくれたし」
「また会えるかな?」
「きっとすぐ会えるさ。ヒロ兄も迎えに行かなきゃだしね」
「そうだよね!ちょっと寂しいけど、またすぐ会えるよね!」
しばらく席を立って外の景色を眺めているとアナウンスが入った。
「まもなく降下致します。皆様席にお戻りになって、シートベルトを締めてお待ち下さい」
アナウンスの後、少しして降下をし始めた。俺はジェットコースター好きな方だから楽しいけど、ユアはまた目を瞑って俺の手を握ってる。
雲を抜けるとそこには大きな湖が見えた。その先にはおぼろげにビルと城みたいなのが見える。
「もうそろそろ首都のミーペスに到着よ。着いたらミーペス城に行って女王陛下との謁見で、謁見の後はそのまま会食になってるわ」
「えぇ!?女王様と会食なんすか?やべー緊張する〜」
女王様と会食!?マナーとか怪しいけど大丈夫かな?
「みんな安心して大丈夫よ。陛下もそんなカッチリした会食はご飯が美味しくないからって、レストラン形式でメニューを一緒に見ながら好きな物を頼みましょうって言ってるから。城の中に幾つか自分でプロデュースした食堂を作っていて、そこで食べる事になってるわ」
城の中に幾つか食堂をプロデュースって、大分自由な女王様だな。なんか興味が湧いてきた。
「師匠は女王様と仲良いんですか?」
「急にどうしたの?」
「そういえば初めて師匠に会ったときの通信で、女王様と大分親しげに話してたのを思い出したんで、もしかして結構仲良いのかなって。同じ厄災魔獣討伐のパーティーだったんですよね?」
「ん〜そうねぇ〜、女王陛下の立場上あんまり迂闊な事は言えないけど、女王に即位する前で15年以上一緒に過ごしてきたからもう家族みたいなもんかな」
「そんなに長くパーティー組んでたんですか?」
「うちの家族は精霊界にある本家から出奔して路頭に迷ってたんだけど、運良く先代国王に助けて貰って、それから城の傍にある孤児院に住み込みで雇ってもらったの。女王陛下も孤児院によく遊びに来てたからそこで仲良くなったのよね。初めて会ったのは私が18で陛下が15の時で、ルビアス先生ともその時に出会ったの。先生が家庭教師で陛下を教えてて、陛下はよく抜け出して孤児院に逃げて来てたわ」
「そんなかたちでルビアス先生と繋がってたんですね!」
「だから先生も私達にとっては親戚のお姉さんくらいな感じだね。陛下が抜け出し過ぎて最終的には孤児院で私も従弟も授業を受けさせられたわ」
「女王様って結構おてんばだったんですね!」
「私達といる時はそうかもね。でも民衆の前に出ると人が変わったようにしっかりしているわ。私も陛下と親しい間柄のメンバーだけになると結構ハメを外すこともあったなー」
「意外ですね。先生はそんなタイプには全然見えないです」
「まぁそのメンバーの時だけよ、ホントに!ほら!そろそろ着くわよ」
ミーペス国際空港に到着すると、そこには迎えのスタッフが大勢来ていた。俺達が勇者なのもそうだけど、師匠は女王陛下専属のハンターだし英雄でもあるからそれなりの迎えは必要だよな。
降りた後は空港の出口まで案内されて、タイヤの無いリムジンみたいな乗り物に乗って移動した。城までは一本道で行けるみたいだけど、前後左右に先導の乗り物がガードしている。アゴイスではそこまで感じなかったけど、マジで要人の対応なんだな。
一本道で速度も結構出ていたこともあり10分程で城の敷地内に到着した。外門を抜けて城の入口の所で降りて、その後はエレベーターで謁見の間がある階まで行った。少し歩くとそこには如何にもな大きな扉があった。
「陛下、勇者御一行をお連れ致しました」
師匠が入口の連絡回線でそう伝えると扉が開いて中に案内された。
玉座に座っている女王様は前に会ったときとは全然違って凄いオーラを感じる。
10メートル位離れた所で師匠が止まって片膝をついた。
「勇者御一行の訓練課程が終了致しましたので王都へお連れ致しました」
「ご苦労様でした、カコミィ。急な任務なのに対応してくれてありがとう。勇者様方もこちらの願いを聞き入れて下さりありがとうございます」
「いえ、こちらこそ様々な知識や戦う術を教えて頂きありがとうございました」
「これから貴方達は勇者として活動していただくのですが、具体的な内容をこれからお伝えします」
確かに今までは魔王出現に備えてとりあえず強くなろうフェイズだったけど、俺達もそこそこ強くなってきたから次のフェイズに移行だよな。
「現状、明確に新たな魔王が出現したという報告はありませんが、以前にもお話しした通り魔人界統合魔術研究大臣のガムオンが不穏な動きをしています。その動きも最近更に活発になってきていると報告がありました。もしかしたら近い内に何か行動を起こすかもしれません。ただ、やはりまだこちらから事を構えることが出来ないので、情勢をうかがう事しかできません」
それって結局何も手出しできないのは変わってないって事だよな。中々まずいんじゃないか?
「しかし、不穏な動きの中にモンスターを使った実験を他国の領土で行っているという情報がありました。もしそれが確認出来ればそこから内政に切り込んでいけるかもしれません。なので勇者様にはその実験現場を押さえていただきたいのです」
なるほど、ようやくつつける場所が出てきたってことね。
「承知致しました。その実験場所はどこにあるんでしょうか?」
「場所はおおよそ見当がついていて、無垢人界との国境付近にある古代遺跡で、見たことのないモンスターと研究者が目撃されています。恐らくその古代遺跡を実験場にしているのではないかと思います。サポートにSランクハンターをつけますので、道案内など困った事は彼に聞いて下さい」
女王様は手を挙げると入口の扉が開いて男性が歩いてきた。
「彼がサポートのディアーゴです。アゴイステン工房の棟梁の甥にあたり、講師のひとりだったフィアゴの従弟になります」
「ディアーゴ!あんたが引き継ぎ相手だったの!?」
「よ!おひさ!」
「こうして3人が顔を合わせるのは久々ですね。積もる話もありますが、それはこの後の食事会に取っておきましょう」
ディアーゴって確か師匠とパーティー組んでた英雄の1人だったような…。そんな人がサポートなの?その人メインでいいのでは…?
「今回は勇者としての実践を積む為に、ディアーゴはあくまでサポートで動いてもらいます。また、ディアーゴは別案件で新造戦艦運用実験も担ってもらいます。ですので移動などはその戦艦を使用し、戦闘時の運用も行ってもらいます」
「承知いたしました」
「詳しい内容はまた明日改めてお伝えします。それでは早く飲みか…食事会をしましょう」
今飲み会って言いかけなかったか?
俺達は城の中にある女王様がプロデュースした食堂…というかもう完全に居酒屋に案内された。
日本のザ・居酒屋って感じで、カウンター席と座敷の席と奥の個室があった。
「ここからは公務ではなく、私のプライベートな時間なので皆さんリラックスしてくださいね。席も特に決めてないので自由に座ってください。私は一度着替えてから来ます。先に飲み物などを頼んでいて構いませんよ」
そう言うと女王様はその場を後にした。
ディアーゴさんが装備を外して1箇所にまとめると、今度はタオルを頭に巻き、帆前掛けを腰に巻いていた。もう居酒屋の店主以外に見えない。
「よっしゃ!明日からはしばらく任務でゆっくりは出来ないから今日は目一杯食って飲み明かしな!こちとら朝から仕込みして楽しみにししてたんだ!」
「よ!大将!今日も美味いの頼むよ!」
師匠も既に装備を外して座敷に座ってくつろいでる。
「師匠…僕らはどこに座れば…?」
「適当よ適当!みんなも荷物置いてくつろぎな〜」
とりあえず荷物をまとめて置いたら、俺達は1番大きな座敷の部屋に座った。
「なんか懐かしい感じするね~!前にユアちゃんの20歳の誕生日に皆でお祝いしたね!」
「ユアちゃんが居酒屋行ってみたいって言うから、ヒロ兄が予約してお祝いしたんだよな」
「僕はあの時以来お酒飲んでないから久々だ!」
「あまり飲み過ぎるなよ。普段飲み慣れてないんだから」
「酔ってるユアちゃんも可愛いからあたしは好きよ〜♪」
皆も徐々にリラックスしてきて、久々の居酒屋にテンションも高めだ。
「みんな何飲む〜?あ、メニュー置いてあるから好きな物頼みな〜」
師匠が飲み物を聞きに来てくれた。俺達はメニューを見ると懐かしい名前の飲み物が沢山書いてあった。
「とりあえず生で!」
「あたしも!」
「僕はカシスオレンジで」
「すみません師匠、僕変わりますよ」
「いーのいーの気にしないで!今夜は飲むわよ〜!」
「「「イェー!」」」
3人ともすっかり飲み会のテンションだ。
「じゃあ僕はカルーアミルクで」
「「「乙女か!」」」
コトミとムラトモに師匠までツッコんできた。
「男がカルーア飲んだっていーでしょーが!好きなんだよ甘いのが!」
「そういえば僕の誕生日もカルーア沢山飲んでたよね!10杯位飲んでたよね?」
「んや、最終的には15杯飲んだ」
「それはそれで凄いわね。お酒はミーレスの生きがいだから中々の種類があるわよ〜。そっちの世界のお酒も結構あるから好きなの頼みなね!」
女王様ってお酒好きなのか。見た目では分からないもんだな。
「お待たせ〜!」
「遅いぞ〜ミーレス〜」
「はぉ〜カコミィ〜久々〜」
女王様が入ってきたと思ったら師匠と熱い抱擁をしている。服装はさっきのゴスロリと巫女服の間みたいなのと大分違ってTシャツに赤のロングスカートだ。Tシャツにはアルファベットで『LOVE VODKA』と書いてある。
「はぅ〜カコミィの優しい胸の温もり」
女王様は愛おしそうに師匠の胸に顔を埋めている。
「やめんかぁ〜!」
「半年ぶりに会ったんだからいーじゃーん」
「期間の問題じゃないから!」
う、うん、なんか女王様のイメージがもの凄く違うのだが。
「あ!ディアーゴ酒早くー!」
「あいよ〜いつものね〜」
すぐにディアーゴさんが皆のお酒を持って来てくれた。女王様に来たのはTシャツの通りウォッカだった。
「それじゃあ、皆の出会いにカンパーイ!」
「「「「「「カンパーイ」」」」」」
女王様の乾杯の合図で飲み会は幕を開けた。ディアーゴさんが作る料理はどれも懐かしい物が多かった。
「焼き鳥に煮物に大根サラダ…紛うことなき飲み会のメニューだ!流石師匠!料理もサイコーっす!」
「ん?師匠?」
「あれ?言ってなかったっけ?ディアーゴさんはアゴイスで俺の戦闘訓練してくれた先生だよ。な、フィファ」
「ふぇ?」
「あ、コイツ弱いくせに酒飲みやがったな。前に一緒に飲んだ時大変だったんだよなぁ〜。あ、で、そうそう、ディアーゴさんと戦闘訓練してたんだよ。話してなかったか?」
「全然聞いてないよ〜!ムラトモ戦闘訓練の話はあんましてなかったし!」
「そうだっけか?師匠は俺より魔力量が半端なくて、師匠の武器のヘビアムドロックさんは魔力を注ぐと銃の弾丸を生成して色んな種類の弾が撃てるんだぜ!俺の装備も師匠の真似して作ったんだ」
「なるほどね〜!ディアーゴの入れ知恵だったのか。通りで戦闘スタイルが似てる訳だ」
「師匠もディアーゴさんが教えてるって知らなかったんですか?」
「知らなかったよ〜!だってムラちゃんだけ工房で訓練が多かったし、ディアーゴは別任務やってるって聞いてたから」
師匠も知らなかったんだ。ってかなんで武器にさん付け?
「ディアーゴはアゴイステン工房製の新造戦艦プロジェクトのコーディネーターで国内の各地を行ったり来たりしてるって聞いてたのに、まさかこんな近くにいたなんて!連絡くらいよこしなさいよ!」
「俺だってこう見えて忙しいんだぜ?新造戦艦の最終チェックやこれからの運用方針の検討に報告書のチェックとかな。まぁカコミィみたいなガサツな奴には事務仕事は無理だろうけどなっ!」
『主よ、それは少し言い過ぎですよ』
頭の中に響くように声が聞こえる。
「誰だ!?」
「あ、すまんすまん、俺の武器のヘビアムドロックだよ。金属生命体で思念で会話してるんだわ」
金属生命体?何だそれ?初めて聞いた。
「アゴイステンの秘術によって魂が宿った武器で、俺の相棒さ」
『ヘビアムドロックと言います。主からはヘビドと呼ばれています。以後お見知りおきを』
アゴイステン工房ってやっぱすげーな。そんなのも出来ちゃうのか。
「ディアーゴウォッカおかわり!自分で入れるから瓶ごと持ってきて!」
「あいよ〜」
もしかして女王様ってめっちゃ酒飲みなのか?
「ユーシ君たちも食べたい物とか飲みたい物はどんどん言ってな!」
「ありがとうございます。ディアーゴさんはこっちで飲まないんですか?」
「俺も飲みながら作りながらで楽しむから大丈夫!それにヘリオとマーシュちゃんも手伝ってくれてるからな」
「2人はディアーゴさんと知り合いなの?」
「私達は孤児院で育ってて、ディアーゴさんは住み込みで孤児院のボディーガードや家事のお手伝いをしてくれてたんです。だから私達にとってもお兄ちゃんみたいな存在ですね」
「俺はアゴイステン一族でも鍛冶師の才能が全く無くてな。なにか自分だけのできる事を探して家出した時に拾ってくれたのが先代国王とミーレスなんだよ。それで住み込みで孤児院のボディーガード兼お手伝いをしてたんだ。そこで料理も覚えたんだぜ。ヘリオやマーシュちゃんに教えた事もあったよな」
その孤児院は皆の居場所になってたんだな。先代国王様は優しい人だったんだろうな。
「私達ともその頃からの腐れ縁よね!」
「腐れに腐った縁だよまったく。本当は今日アユーユも来るはずだったんだけどな。昼過ぎに転移者を保護したから今日は行けなくなったって連絡あってさ。あいつもめっちゃ楽しみにししてたのに残念だな」
「ユー兄ちゃんにも会いたかったな〜。最近忙しくて全然会えないから私も楽しみにしてたのに〜」
「アユーユも忙しいよね。無垢人界で転移者のサポートしたり、軍の戦闘訓練やったり、ハンターの養成もしてるし。昔から優し過ぎんのよ。頼まれたら断れないタイプだからアイツ」
アユーユって人も厄災魔獣討伐のメンバーだよな。その人は皆から頼りにされるタイプの人なんだな。
「来れねぇもんは仕方ねぇ。あいつの分も今日は飲みまくるぞ〜!」
「「おぉ~!」」
仲良いのがすごく伝わってくる。俺達もこの先ずっとこんな風にいられたらいいな。
その後も沢山飲んだり食べたり話したりした。ミーレス様もとても気さくで最初のイメージとは全然違ってた。これから一緒に活動するディアーゴさんも頼れる兄貴みたいな感じで良い人そうだ。
この日は結構遅くまで飲み明かした。俺達が客室に着いたのは日付が変わる頃だった。
俺達は翌日から古代遺跡の調査に向かった。数日の現地調査で特異モンスターと科学者達を発見したけど、科学者は全員自害し、モンスターは倒して死骸を持ち帰り、それを証拠にミーレス陛下が魔人界にガムオンの話をしたけど、証拠が足りなくて聞き入れてもらえなかった。
その後も俺達はガムオンの尻尾を掴むために色々な任務をこなしていった。任務自体は達成して勇者としての実績は積めていたけど、結局決定的な証拠は掴めず、食事会から3ヶ月後には国際チャンネルでの全国放送で、現魔王のコランバイン氏が斬殺された。新たな魔王にはガムオンがなり全世界に宣戦布告をした。本当に予言の通りになってしまった。
そして、さらに3ヶ月後、無垢人界で本格的に大きな戦闘が勃発。俺達も応援として新造魔導戦艦フリューゲルと共に戦地へ向かう事となった。
ー 無垢人界最西の街クローミア上空 ー
「まもなく戦闘区域に入ります」
管制官はヘリオ君で操舵手はマーシュちゃんだ。この2人なんでもこなせてほんと凄い。
「おけ!ならフリューゲルは一旦停止して上空で待機。この艦の存在をまだ敵に知られるのは困るからな。俺達は各自飛行して現地まで向かう」
「「「「了解」」」」
フリューゲルは勇者専用の魔導戦艦として運用して、ミーレス陛下直属の部隊として新設された俺達の部隊は、独立勇者部隊ヴィーラと名付けられた。この部隊の隊長はディアーゴさんだ。
「ユアは俺が運ぶから、2人はそれぞれ自力で頼む」
「2人で俺達の速さについて来れるか?」
フル装備のムラトモは飛行魔導でなく背中と脚の魔導ブースターで飛べる。コトミは飛行魔導使えるけど、ユアは使えないから範囲で飛行出来る俺が運ぶつもりだ。
「俺を誰だと思っていやがる」
「天下の勇者様だから楽勝よね!」
「お前ら準備はいいか?」
「大丈夫です!いつでも行けます!」
「ハッチオープン!皆さん、ご武運を」
ヘリオくんの合図で後方のハッチが開く。
「戦線に突入後はまずアユーユを助けに行く。魔力なしの状態で無理して戦線に復帰したらい。無茶するから最優先で助けるぞ」
「「「「了解」」」」
「ヴィーラ隊、出撃!」




