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祠を隠したマンション

作者: 神崎玄

実話怪談です。

 大阪・日本橋にあるマンションの話。

 そこの一階にはメイドリフレ店が入っていて、道からも見える健全店だった。

 メイドリフレの横がマンションの住人用の通路になっている。

 通路の先はオートロックになっていて、エレベーターホールがあるのだ。

 つまり、一般の人は住人に招かれでもしない限り、中に入れない構造になっている。


 さて、ひどい肩こり・首こりになやまされていた私は、そのメイドリフレの常連だった。

 いろいろな店を試してみたのだが、ここのメイドのCちゃんの腕が良く、必然的に常連と化してしまった。

 他にも人気者のキャストは多く、お店は順調に儲かっていた。

 ファン感謝祭のパーティーまで開くほどだった。

 しかし、ある時急に儲からなくなった。

 明るかった店の雰囲気はしずみ、人気メイドも一人去り二人去り。

 夕方になると奥の壁に向かう影が出るという噂もきいた。

 家賃が上がったということもあって、オーナーは二階にリフレ店を移す決意をした。


 というわけで、客はマンション内のエレベーターを使って二階に行くことになった。場所は一階のリフレ店があった場所の真上だ。

 暗い影もなくなり、店舗の雰囲気はよくなった。

 それでも、二階の一室となると一見さんが来るわけでもなく、かつての繁盛には及ぶべくもない。

 一階にはジュース屋などが入ったが、そこも長続きせず冴えない感じだった。


 ある時、エレベーターが使えない日に当たった。

 ホールの奥の自転車置き場にある階段を通ってくれと言うのでその通りにした。

 リフレ店に入ると、Cちゃんが開口一番に言った。

「見ました?」

「え、何を?」

「駐輪場の奥に(ほこら)があるんです。金色の屋根でけっこう目立つと思うんですけど」

「うっ、気づかなかった……」

「帰り際に見てくださいよ。あそこ、管理会社が変わってからほったらかしなんですよ」

 前の管理会社は、年に一回は神職を招いてお祀りしてもらっていたのだと言う。

 去年はそれがなかったそうだ。

 店がさびれだして、謎の影が目撃されるようになったのが、ちょうどその頃からだったと言う。

 施術が終わり、階段を降りていくと、ちょうど柱の陰になる位置にその祠はあった。

 確かに、小さくはあっても銅板葺の立派な祠だった。

 しかし、誰も掃除をしないのだろう、ホコリがうっすらと積もっていた。

 扉は閉められていて、何をまつったものかはわからなかった。

 しかし、さみしげな感じはひしひしと伝わってきた。


 その後、リフレ店は移転し、私もそのビルの駐輪場に足を踏み入れることもなかった。

 今、そこは携帯の販売・修理のお店が入っていて、潰れずに続いている。



関係者が読んだら、絶対「あそこだ!」とわかると思います。


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― 新着の感想 ―
[良い点] タイトル。加えて、まえがきに、実話怪談。もうどうあってもやばめのホラー展開が待ち受けてそう。そう思わせて――変な作り込まれたやばいことは起こらず、けれども、異変といえる現象は一応起こってい…
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