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「あたた……」


「もう……しばらくの間はお酒禁止です」


 僕は頭を抱えながら、キンバリーさんの家の方へと歩いていた。

 右隣にいるウィチタは、ぷりぷりとして頬を膨らませている。

 カーリャの方は何も言わず、ぼうっと空を見上げていた。

 二人は僕よりガバガバと酒を飲んでいたはずなのに、ずいぶんけろっとしている。

 人と獣人では、お酒の強さも違うのかもしれない。


「もう出発されてしまうのですか……」


 明らかに寝起きな様子でしぱしぱと目をしばたかせているキンバリーさんが出迎えてくれる。

 彼も僕と同様、頭を抱えていた。

 どうやら獣人全体が酒に強いわけではなく、ウィチタ達が上戸なだけのようだ。


「はい、もう少し体調が良くなってから……そうですね、昼前には出発しようかと」


「そうですか……」


 何か考え込む様子のキンバリーさんに別れを告げ、僕達は与えられたテントの中でゆっくりと休ませてもらうことにした。


 昼前になると流石に様子もある程度落ち着いてきた。

 事前に準備を整えておいた僕らが、そのまま集落の外へと向かうことにすると……。


「アレスさんっ! ちょっと待ってください!」


 キンバリーさんが焦った様子でこちらに走り出してくる。

 はぁはぁと荒い息を吐いている彼は、左右に彼の護衛らしき人達が付き添っていた。

 彼はゆっくりと息を吸って吐いて呼吸を整えてから、こちらに頭を下げる。


「もし良ければ、私達を『疾風のたてがみ』の集落に連れて行ってくれませんか?」


「えっと……」


「彼らと話しておきたいことがあるのです」


「僕は問題ないですけど……ウィチタ達はどうかな?」


「グルド達もいますし、数人増えたところでさほど問題はないかと」


「ノープロブレム」


 というわけで帰路には、族長であるキンバリーさんとその護衛を連れて行くことになった。

 そんなに身軽で大丈夫なのかという気もするけど、キンバリーさんのところには族長と別に村長がいるため、長期間空けていても問題はないらしい。


「僕らはそのまま帰るので、『猛る牙』へ戻る時に僕らは同行できないですけど大丈夫ですか?」


「はい、何度も行き来したことがあるので問題ありません」


 なんでもこういった風に族長が長いこと帰ってこないことがあるから、族長と村長は分けられているんだとか。

 聞いてみるとなるほど、彼らのやり方もなかなかに合理的だ。


 こうして僕らは行きよりも少しだけ時間をかけながらも、無事に『疾風のたてがみ』へと帰ってきたのだった。




 ずっと野宿というのもなかなか辛いので、『疾風のたてがみ』で一泊させてもらうことにする。

 まずギルディアさんに大戦士の証である首飾りをしっかりと返却して、夜ご飯を食べる。

 二日酔いで痛い目を見ているのでお酒は飲むことなくそのまま眠らせてもらった。


 早めに寝たおかげで次の日はしっかり朝早くから目が覚めている。

 『疾風のたてがみ』の皆が起きるよりも早く出発しようとすると――そこには目の下に大きな隈を作ったキンバリーさんとギルディアさんの姿があった。


「二人とも……どうされたんですか?」


 不思議に思いながら近付いていくと……二人はガバッと頭を下げた。


「お願いです、アレスさん!」


「どうか我ら二つ集落を治める、大族長になってください!」


「大……族長?」


 聞き慣れない言葉に、思わず首を傾げてしまう。

 大族長って……何?


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