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報せ


 ファイアスパロウのマリーは、僕の従魔の中で唯一の雌だ。

 彼女は基本的にどこか気取っているところがあって、すましたお嬢さんのような素振りをみせることが多い。


「チチッ!」


「……マリー、何かあった?」


 そんな彼女が、こつこつとドアを叩いたりすることもなくそのまま部屋の中に入ってくる。

 普段ならありえないことだ。


 彼女がこういうことをする時は大抵、何か急がなければいけないような事態が起こっている時だ。


「チチッ!」


 マリーから魂の回廊を通じて伝わってくるのは、焦りや心配といった感情だった。

 そのただならぬ様子に、僕は戦闘体勢を整えるとすぐに外へ出る。


「――アレスさん!? 何かありましたか!?」


 そこには子供達相手に稽古をつけているウィチタさんの姿があった。

 皆の様子は、普段と何一つ変わらない。


 どうやらマリーが慌てている何かは、居住範囲の外にあるものらしい。


「何かがあった……みたいなんだ。マリーが何かを見つけたようなので、向かおうと思って」


「少し待っていてください、急ぎ招集をかけます」


 そう言うとウィチタはあちこちを駆け回り、あっという間に年長組の四人を連れ出した。


「「「「何があるかわかりませんので、私達もご同行します!」」」」


「大人が一人も残らないのは心配ですから、私は子供達の面倒を見ております」


 というわけでオリヴィア以外の四人を連れて、僕は森の外へ出ることにした。


 ピイッと指笛を鳴らすと、ドダダダッと足音が。


「ジル、行こう!」


「わふっ!」


 僕はジルの背に乗った。

 ウィチタ達がシルバーファングに乗るようになったので、僕もジルに乗れるよう練習を重ねたのだ。


 冒険者として活動をしていた時は他のメンバーと足並み揃える必要があったので必要はなかったんだけど、マーナルムの皆と過ごすならむしろ合わせるためにも騎乗は必要だった。


 ジルの身体が前より大きくなったことで、彼の馬力は他のシルバーファングとは比べものにならないほど高い。

 おかげで彼女達よりかなり重い僕であっても、らくらくと運んでくれる。


「アレスさん、準備できました!」


 ウィチタ達もシルバーファング達に乗り、準備は万端だ。

 今では彼女達それぞれに相棒と呼べるシルバーファングがいる。

 人馬一体ならぬ人狼一体になっていて、今では騎乗戦闘もできるらしい。


「よし……マリー、お願いっ!」


「チチッ!」


 マリーの先導に従いながら、バナール大森林の中を駆けていく。


 幸い彼女が止まった場所は、生活圏からさほど離れた場所ではなかった。

 そこで僕達が見つけたのは……


「これは……魔物……?」


「きゅ、きゅう……」


 ボロボロになった、一匹の魔物だった。


 見た目はなんというか……大きな毛玉に似ている。

 僕の頭と同じくらいの大きさで、真ん中のあたりにくりくりとした二つの目玉がついている。

 少なくとも僕の見たことのない魔物だ。


 この魔物を見た瞬間、ドクンと自分の中にある何かが鼓動をし始める。

 一目見ただけで、マリーがなぜ急いで僕を呼んだのかの理由を本能のうちに理解した。


 訝しげな顔をしているウィチタさんの方へ振り返ってから、そっと毛玉の方へ視線を戻す。


「ウィチタ、この子は……いや、この子も……聖獣だ」


 僕はこの子をテイムすることができる。

 つまりこの子もまた――聖獣だ。


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