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女神様の1日

朝5時半、起床。

縁側で朝の光を浴びながら身体を起こす女神。

ご飯準備をはじめる。

「今日は暑くなる予定なので塩多めにと」

野菜を中に投げそのまま鍋に投下、パラパラと適度なサイズに分かれて煮え滾る水へと入ってゆく

「えっと、魚は。そうでした、鮭でしたね。でしたら塩は大丈夫そうです」

独り言を言いながら着々と進めていく。

朝6時、階段から声をかける。

「紫雨音、朝ですよー」

ご飯を炊き終えた鍋をテーブルの真ん中に置き、他の料理に入る。

朝6時半、紫雨音起床。

「ふぁー、よく寝たわ」

「6時には起きましょうね?」

「んだよ、別にいいだろ。ふぁぁ~」

「ほら、席着いて」

紫雨音を席に置いてご飯をよそう。

朝ご飯の鮭、味噌汁を置いて自身も席に着く。

「いただきます」

「いただきま……はっ?!寝てねぇぞ?」

少し眠たそうな紫雨音にジト目を向けながらご飯を食べ始める。

「よっと、んー、今日晴れか」

「今日は雨が降りますよ?」

「マジで?」

「えぇ、朝は真夏日寄りですけどお昼頃からどんどん怪しくなっていきます」

「お前天気操ってたりする?」

「いえ、自然現象に干渉する機会はあまりありませんが?」

「あぁ……雨か。まって、傘は?」

「あ、そういえば傘を買うの忘れてましたね」

「どーすんだよ。ビショ濡れコースか?」

「でしたら帰りは迎えに行きます」

「車でか?」

「ご所望ならリムジンできても良いですよ?」

「どこの坊っちゃまだ。いいよ、傘持ってきてくれたら」

「はい、では下校時刻頃学校に参ります」

「ん、頼む」

ご飯を終えて片付けを始める。

終わる頃丁度、紫雨音が学校へ出かける

「んじゃ行ってくらぁ」

「はい、気を付けて」

朝8時、清掃開始。

「ゴッキー君、頑張ってくださいね?」

ボタンを押すとゴッキー君が凄い速さで家中を駆け巡る。

「さて、その間に。ここのスーパーは…………」

チラシ相手にペンで格闘を始める。

『お掃除終わり!お掃除終わり!』

ゴッキー君から出る合成音声に元の世界へ戻される。

「さて、掃除も終わった事ですし洗濯をしますか」

服の入ったカゴを持って風呂場に向かう。

水を空中に浮かせ、中に服を入れていく。

「ん~♪」

鼻歌を歌いながら洗い物を済ませる。

「さて、次は布団と」

洗濯物を干し終え紫雨音の部屋の布団をまた水にぶち込む。

「あら……何の紐かしら?」

布団の中に紛れていた携帯の充電コードに気付く女神

「独特な形ね、一応避けときましょうか」

出して洗面台にポンと放り投げ布団洗いに戻る

「ふぅー、そろそろ時間かしら」

朝9時、スーパーへ買い物。

「あら、万年さんお早いね」

常連のおばぁさんに声をかけられる女神

「えぇ、本日特売と聞きまして」

「あらぁ、なら私と敵ね」

不穏、ではなくすこし弾けた雰囲気が広がる

ふふふと不敵な笑みを浮かべつつ冗談よと手をふる。

「しかしおかあさんも毎日買い物で大変ですね」

「そんなことないわよ~、ほらっ!1回で持てる量決まってるでしょ。だから毎日買うのよ、ただそのおかげかねぇ……ぼけずにここまでやってこれてるの」

「そうなんですね」

「えぇ!もううちの亭主なんて仕事辞めた途端にボケてそりゃもう大変よ」

「認知症とやらでしたっけ?流行病なのですか?」

「ふふ、相変わらずね。万年さんは、認知症は病気じゃなくて劣化よ劣化!」

「劣化ですか、では怪我とか?」

「まぁそうね、脳みその怪我みたいなもんよ」

話しながら着々と買い物を進めて行く。

「今日の夜ご飯はカレーにするかねぇ……丁度野菜も肉も安いし」

「かれえですか、聞いたことあります。確か香草を沢山使った料理でしたよね?」

「そうよ、まぁうちはルーっていって簡単に作れる魔法の道具を使うのだけどねぇ」

「興味深いですね」

「今はインタァネットでなんでもわかるからのぅ」

「確かに便利ですよね、写真撮ったりできて」

「はっはは!ネットは調べ物をする所だよ」

「そうなんですか?」

「そう、やっぱ万年さんは変わってますねぇ」

「私にはよく分かりません」

一通り会話と買い物を終えると帰宅し自分の昼ご飯を作りながらテレビを駄々流しにし始めた

「詐欺が流行るですか。そんなのに引っかかる人なんて居るのでしょうか。ねぇゴッキーさん」

誰も反応しないのでゴッキー君に話しかける女神。

足元のゴッキー君はもちろん反応しない。

「お昼はうどんですね、やはり」

頭ごと鍋に入ってる鰹が睨んでる気がしたのか女神が鰹の頭を握り潰す。

「出汁から作るとなんとも言えないこの感じ。良いです」

破片をゴッキー君が集め始める

「せっかく美味しい麺つゆがあるのに使わないのは勿体ないので今夜は予定を変えて天ぷらにしますか」

カレーにする予定の具材を見ながら女神がつぶやく。

「あとは山菜類が足りてませんね」

どこかに電話をかける女神。

スマホ、ではなく固定電話から。

「あとは紫雨音の修業時間まで羽を伸ばせますね」

バサっと背中から羽を伸ばす女神

飛び散る羽根をいそいそとゴッキー君が集め始める。

テレビのチャンネルを変え通販番組を見だす女神。

『いいですか?この掃除機!今なら税込~』

「ゴッキー君、貴方より安いですね」

ゴッキー君が少し誇ったように見えたのか

「あんまり調子に乗ってますと痛い目に合いますよ?」

と脅す女神。何処と無く触角が垂れ下がった気がしたのか女神は満足したようだ

「うーん、掃除機とやらは要らないのですが。そろそろ洗濯機という物が欲しくなってきましたね」

肩が凝るしと家電量販店のチラシを見ながら呟く

『続きましてこちら!ハイパードリームドラム洗濯機!』

「おぉ、タイムリーですね」

『従来の洗浄力に比べなんと6倍!』

延々と続く売り文句に魅入る女神

「乾燥までしてくれるなんて」

『ちょっと待ってください!今あなた思いましたよね?どうせ値段張るでしょって』

「値段は気にしてませんが?もしかして繋がってます?」

テレビの前で手を振るが反応がない

『ここは私たち頑張りましたっ!お値段なんと36万八千円!なんですが!さらに要らなくなりました古い洗濯機をこちらで買い取らせていただければお値段変わりまして35万円!かなりお買得です!』

「古い洗濯機ですか。確か」

『電話番号は~~』

女神が考え事をしている間にテレビが進行していく

『さらに今から10分間オペレーターを増やしてたいきしております。この機会にを是非!お見逃し無く』

「そうでしたね、ここは新しい家でした」

納得が言ったようだがテレビを見るともう次の商品説明が始まっていた。

『こちら!前回から支持率の~』

「あら、逃しましたわ……」

そうこうしているうちに時間になった様子。

「紫雨音の迎えの時間ですね」

ひらりと翻すとスーツ姿へ変わっていた。

家の鍵を閉めガレージを開け車に乗り込む

「確かここのボタンを」

車が自動発進を始める。

車が出るに伴いガレージが閉まる。

「人類の進歩とは目覚しいですね、紫雨音の入れてくれたあぷりけしょうとやらは奥深いものです」

感動しつつも本当に大丈夫なの?という顔をしながらハンドルに手を乗っける女神

「あわぁわぁ……」

『次の信号まで50メートルです』

「は、はい」

『信号を右折します』

「よろしくお願いします」

1人でナビに話しかける女神。それに対する応答などあるはずもない。

『目的地に着きました』

学校の正門に車を止めた。もう既に外はザザ降りで生徒達がちらほらランドセルを傘代わりに走って帰っていた

「紫雨音は、あっいました」

傘を差して歩いてくる紫雨音を見つけた。

紫雨音を回収して帰宅し風呂を沸かしながら夜ご飯を準備し始める。

夜6時半、夕食

「んでさー、俺が目で見て鼻でかいで手で触る美術とか古臭いから時代は3Dプリンターだろって言ったら先生に怒られてよー」

「すりーでぃーぷりんと?」

「あ、いいわ。お前馬鹿だったな」

「バカとは何ですか」

たわいのない会話を混じえながら夜ご飯を終える

夜7時、片付け

紫雨音が2階に上がって携帯を触っている間、食器を片付けていた女神。

未だに食洗機に馴れず皿を中に浮かせた水の中に通らせ綺麗にしていた。

「うーん、最近の物はやたら油が酷いですね。昔ならサラッと落ちたのですが……」

油に文句を言う女神。ツッコミは誰もいない。

夜8時、入浴

一通り終えゆったりと身を清め再び神衣を纏う。そしてグラスを取り出してワインを注ぎ始める。

「ふぅ……いいですね。こうして夜風に吹かれながら飲むのも」

窓を全開にして、縁側に椅子を置き一服着く女神。

辺りをフェンスで囲われた殺風景な景色が包むがそれを越しても尚、映りの良い様になっている。

「しかし、なんだかんだ上手くいってますが。大丈夫なんでしょうかね?」

相変わらず答えの返ってこない問いを続ける女神。

そのまま目を閉じる。

夜9時、入眠


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