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俺、夏を楽しむ4

『えー、発達した雨雲が~』

家の中にまで伝わる湿気と雷声。

人であるのにどこか無機質に聞こえる声。

「雨かぁー、何しようかね」

女神は朝から会議と言って出掛けて行ったので仕方なくソファーでニュースを見ていた。

「アニメでも見るか。なんかいいのは……お、悲愴のラーンスロットじゃん。しかも総集編281分、これでも見るか」

ニュースは何かと飽きるからアニメに切りかえた

『やはり愛ですか。ラーンスロット』

『いえ、私は貴方の愛する人を愛していた訳では無く。利用しただけです』

『それが聞けて安心したよ』

『王よ、先にアヴァロンで待っててください。あそこに着けば……お、王よ……我があいしたアーサー王よ……まだ早いですぞ』

ラーンスロットの腕の中でアーサー王が事切れる。

「うぅ、らんずろっど……クズいけど王の為にまた戻ってくるなんて良い奴だ」

エピローグが終わり赤ん坊が泣いているシーンが始まった。

『おお、赤子よ。そなたの命このヴィヴィアンが貰い受けよう』

泉の精霊が赤子を拾う。

「ヴィヴィじゃん!最初は良い奴だったんけどな」

『ええぃ!やー!!』

『いいですね、ラーンスロット。貴方は君主の怒りを買えど君主を守らねばならい時が来ます』

剣技、槍、乗馬、さらに事の行く末。全てを教え込むヴィヴィアン。

「確かこの時のセリフは、決められた運命とあれど私は抗いますだったよな」

『ならば。私が君主となります』

「あー、この次か」

『決められた運命とあれど私は抗います。私が君主となれば良いだけの話です』

「あー、あったあった」

『ですがラーンスロット……貴方は君主に惚れ込んでしまいます。それはどうしようもない事なのです』

『そ、そうなのか?』

『えぇ、ですが抗うですか……マーリン貴方のような気持ちの子も居るのですね。仮にもあなたにその意があるならブリテンへ向かいなさい。今の気持ちは忘れてなりませんよ』

『えぇ(それに私は知っています。アーサー王の死を)』

「そうだった、ラーンスロット実は2回目だったな。聖杯でやり直したんだ」

1人ブリテンの地に立つラーンスロット。

『そうです。聖杯は私に試練を課しました。再び苦行を歩めと、しかし今度は起こすなと』

「くぅー、かっけぇぇ!!」

ラーンスロットが聖剣を引き抜いた。

『本来なら、こんなものへし折っ……いえそれはダメですね』

『ねぇ、君!剣ない?オジサンの折れちゃって』

『決闘ですか?そうですね、これを貸しましょう』

「そうここ、ラーンスロットが自分のアロンダイト渡すんだよなー」

『あ、ありがとー!後で返しに来るよ』

『いや、私もそこに向かおう』

決闘が終わりしばらくするとラーンスロットの手に持つ剣に目が向けられた。

『お、お前その剣は』

『えぇ、岩に刺さっていたので抜いてしまいました』

真の王としてラーンスロットは。

忠義の騎士としてアーサーは。

「ここからだ、ここから熱くなるんだ!」

白熱した決闘、領地拡大。そんな日々の中に青春が描かれる。

「確かこの当たりだったけ?」

『アーサーよ、その子を殺しなさい』

アーサーとギネヴィアの間に生まれた子供が不吉とマーリンが予言した。

『しかし、マーリン殿。いくらなんでも赤子ですよ』

『ならば、代わりにこの歳に生まれた赤子13人を殺めるのです』

この残酷な決断をアーサーは受け入れた。

「ごくり……知っててもなお、このシーンは中々来るな」

そして伝説の終わりが近付いてくる。

『アーサー、モードレッドの裏切り。どうされますか?』

『ラーンスロット王よ、私が自ら捌きます』

『ふっ、その意気があるならいい。私が倒す』

『いえ、お手を煩わせるようなことは』

『気にするな。アーサー、きみはガヴェインと共に襲い来る軍勢を抑えてはくれぬか?』

『はっ、仰せのままに』

『みよ!我が剣を!聖剣エクスカリバーの輝きを!反旗を翻す悪鬼者に!正義の一閃を』

『『『『うぉぉぉ!!』』』』

円卓の騎士が湧く。

『よーし、行くぞみんな!』

「かっけぇ!!いっけぇぇー!!!ラーンスロット!!!!!そこだ!そこだ!」

馬に乗ったラーンスロットが槍で次々と敵兵を倒していく。

ガヴェインが大剣を振るって敵兵を薙ぎ払っていく。

アーサーが小柄ながらにスイスイと敵の間をすり抜けていく、アーサーが通り過ぎた後には死体の山が重なる。

『見つけたぞモードレッド』

『これはこれは、御丁寧に。ラーンスロット''元''王様よ』

『馬より見下すのは失敬か。今はブリテンの王であったなモードレッド卿』

スタッ、とラーンスロットが馬から降りる。

『ふっ、あまり図に乗るなよ!行くぞ!』

『君こそ私の最強伝説が馬の上だけだと思うなよ』

『うりゃァァ!!』

ズガァァァン!!!

折れた武器、凹んだ兜、髪の毛1本すら動かない兵士たち。その丘に爆発的威力が飛び交う。

「やばっ!CG!ここやばい!CG」

『圧倒的実力差を思い知りましたか?モードレッド卿』

首に剣を当てられたモードレッド。

『はぁ……まぁだな。でもオヤジィ!最後の最後に最高のチャンスだよ!』

『だな、モードレッド』

ラーンスロットが宙を舞う

『ば、馬鹿なっ?!』

『もとより天に立つ存在は決まっているのだ。ラーンスロット王、元いいラーンスロット卿。ブリテンの元王ユーサー・ペンドラゴンの名を次ぐアーサー・ペンドラゴン。今ここに着座する』

『ぐっ、愚かな』

『ラーンスロット卿どうだい?今ならまだ席は空いてるぞ』

『私は、わたしは運命から抗う為に』

『うるせぇよ。ってか痛かっただろうが!』

立ち上がるラーンスロットをモードレッドが蹴飛ばす。

「ラーンスロット……頑張れ!」

『ぐうっ……』

『なぁ、オヤジ』

『どーしたモードレッ───』

ガンッ!!と兜が凹むほどの力でモードレッドがアーサーの頭を叩いた

『俺が王様になるのがやっぱ1番合理的だよな』

『がぁっ?!……あ……』

『ハッハッハ!!見ろ!マーリンも出てこいよ!誰が王様に向いてない悪魔の子だァ?』

『はぁ、はぁ……いくら何されようぞ私は君主を裏切るマネはしない!貴様にエクスカリバーによる死は合わない!さぁ相手をしてやる!私の武器、アロンダイトで』

『はっは、死に損ないが!なら俺も抜いてやろう。クラレント!』

『最強の騎士、一撃必殺!』

剣が斬れる音が響く。

それと同時に血が吹き出る音。

『がぁっ?!忌み子の夢潰えるか……ぐはっ』

モードレッドが膝を着く。

『くっ……アーサー王大丈夫ですか』

『お、王ですか……反旗を上げた私に情けをかけるとは、そんなんだから裏切られるんですよ』

『違うんです、私が貴方が王になる道を潰したのです。あの日、初めて会ったあの日です。本来なら貴方が剣を抜く予定でした』

『そうだったんですね。道理でマーリンの様子がおかしいと思いました』

『私はアーサー王、あなたの死ぬ運命を変える為に、変える為に……』

『あぁ、そうなのか。気にする事はないラーンスロット王よ。私はあなたのそばで忠義の騎士として動いて来たが、仮に私だったら出来たのか?と。ラーンスロット王だから成し遂げれたのだと。尊敬していました』

『それは無いです、変えない未来で貴方がしていた事を私が辿っただけなのです』

『だとしても成し遂げたあなたは私にとって王様でしたよ』

『アーサー王……』

『では最後に私を王として、少し貴方の目線から世界を見させてください』

『えぇ、アーサー王。どうですかこの景色は、貴方の守り抜いたものですよ』

夕日が丘のふたりを照らす。

『ふふ、ラーンスロット卿よ……私はどうだったか。王である時と騎士であるとき。どちらが楽しそうだった』

『えぇ、どちらもアーサー王でしたよ』

『そうか……それが聞けた────』

『あ、アーサー王?アーサー王?』

「ぐすっ……あ゛ぁざぁぁあ」

『アーサー王!!』

亡きアーサー王を泉に連れていくラーンスロット。

そこで歌が流れ始める。

「うぐっ……やばい……感動したよ。久しぶりに」

「さーて、お楽しみのCVタイム!ラーンスロットは、あーあの人か!他の作品でアーサー王か、なんか笑えてくるな。アーサー王が、あねあね。ヴィヴィアンの人は知らんな、えっと……」

「あー、あのキャラか!えぇー、意外だな」

「モードレッドはまぁそうだよね。あの声はこの人しか居らんしょ」

「ギネヴィアは、あーメインヒロインとかよくやってる人じゃん。珍しくモブか」

ピーンポーン。CVタイムをしていたらチャイムがなった。

「はーい」

玄関に向かって鍵を開けた。

「紫雨音ただいま」

「あぁ、おかえり」

「ごめんなさいね、ご飯作り忘れてたから切り上げて帰ってきた所です」

「まぁ構わねぇけど会議はいいのか?」

「えぇ、エネルギー問題とか良く分かりませんので」

「いや!それは分かれよ!」

「では、私が料理を作ってる間、この書類よろしくお願いします」

ゴソゴソとカバンから女神がざったに止めてある少し分厚めの紙束を出した。

「あー、特秘って書いてあんぞ」

「別に子供が国の機関に関する秘密情報とか言ってても信じる大人はいませんよ」

「だな……」

「では、すいませんが頼みます」

「ほぅほぅ、極秘機関A''世界エネルギー管理問題について''か。どれどれ、CO2の排出量と温暖化の図式?」

読み進めるが一見した限りは子供が国語で話し合うような内容。

「なぁ、お前さCO2って分かるか?」

「いえ、高校2年生の略称かと思っていました」

「はぁ……わかったわかった。いいか?CO2ってのは人間が息を吸って吐いた時の吐いた息に含まれる成分だ」

「その息って悪いのですか?」

「あぁ、簡単に言うと本来はその吐息は木々に吸われ、また人間が吸う成分に戻る。なのに木々を人が狩るからその吐息、通称CO2が増える。増えると地球温暖化が始まるんだ」

「何故ですか?なぜ増えると地球が温暖化するのですか?」

「まぁあれだ。とにかくやばいんだ」

「え、えぇ」

「で、多分だがCO2が出た理由としてはエネルギーを作る時に火をつけて蒸気を起こし、それでなんかそうなる」

「結局紫雨音も分からないのでは?」

「あ、うん。そうだよ」

「でしょ!紫雨音同様に今回の議論は全く分からないのです……」

「簡単に言うと次世代エネルギーを考えろ、じゃね?」

「あー、なんかだったような気もします」

「ちょっと待てよ、あー、だね」

「紫雨音的になにか良案ありますか?」

「だねぇ、───────とかを───────に。わっっ?!センシティブ!!!!!!」

「センシティブですよ?」

「はぁー、まぁ簡単に言うと。世の中には沢山人が溢れてるだろ?だから自転車使ってあれだ。火とか使わない回転エネルギーを使うと無駄にやばい物が出なくなるんだよ」

「ほう、では会議で出しやすいようにまとめてくれますか?」

「子供に頼む内容か!!!」

「えぇ、でも私は分からないので」

「まぁ簡単に言うと、大きな箱を用意して、中に自転車たくさん置いてソコにたくさんの歯車みたいなの置いてこーして、ここにこの蓄電器を置いて、こーすれば」

「おぉ!なんかわかる気がします」

「だろ?」

なんだかんだ納得した女神がご飯を作り終えた後、適当に書いた設計図を片手に会議に戻っていった。

「はぁー、まぁいいや飯食うか」

「ハンバーグうめぇわ」

結局発案としてはアリだけど結局、火力を越すエネルギーが得れるかなどの問題点から見送りになったと聞いた。

「ごめんなさい、紫雨音。せっかく書いてもらったのに」

「ん?いやいいよ。考えてみろよ俺の案が通ったらそれはそれで問題だろ」

「ですね」

「それでさ、結局今日の事は解決したのか?」

「えぇ、世界各国にあるシーオーツーやノックスとやらを私が消すという方針に固まりました」

「とんでもねぇな」

「他にもオースリー?っていうものを増やさないといけないとか」

「O3か……あー、オゾンか」

「おぞん?」

「オゾン層って言って地球の表面を覆う層なんだけど紫外線とか減らせるから」

「ふむふむ、奥深いですね」

「あぁ、しっかしお前一体どんな立ち位置で参加してんだ?」

「世界最終兵器ですか?」

「確かに、わからんでもない!はっはっは!」

「何かおかしいのですか?」

「あぁ、はっはっは!!」

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