俺、夏を楽しむ2
「いやー、食った食った。高級料理って味より背徳感だよなー」
「私的には使っている食材の質の良さ等が高さの秘訣だと思います。それは味に繋がるので」
「そうか?俺的にはボロボロの誰も知らないようなこじんまりした店とかの料理の方が美味かったってこともあるぜ」
「もしかしたら対価の違いかもですね。高くてこの味、安くてこの味の差分が大きいのでは」
「なのか?まぁただ高級ってだけで一概に美味いってわけじゃないと思うぞ」
「まぁそこはどこに目を置くかですよ」
「そんなもんかねー」
食事を終え女神と雑談をしていた。
そんなこんなであっという間に夜を迎えた。
「ふぁー、よく寝た」
「起きましたか?」
朝起きると少し複雑な顔をしている女神がいた。
「どうしたんだ、そんなに迷った顔して」
「いえ、皮膚が……」
「なんだ、日焼けにやられたのか?」
「そのようです」
「お前も日焼けすんだなー」
「おかしいですね、太陽に近い位置で生活しているのに」
「まぁ塩水効果もあるやもしれない」
「そうですか?」
「あぁ、でもな。極論を言わせてもらうと!日焼けは気にしたら負けだ!」
「根性論は古いですよ?」
「お前の頭よりはマシだろ」
朝、昼と食してホテルを退室した。
帰る前に先生に挨拶するか迷ったが知らないフリをした。何せ1人でソファーに座って笑ってる姿が異様だったから。
家に帰宅後、女神は夜ご飯の買い物に出掛けた。
「んー、やることねぇんだよな。ガキになったせいかあんまりソシャゲに熱が入らねぇし」
呑気にテレビで再放送の『奇跡は起こる!~~~皆さんの体験を是非~』を見てた
「ワンチャン、俺の転生話書いたらのるか?ってなわけねぇーか。変なやつ思われるな」
車同士がぶつかるスレスレで避けきる映像など他番組の使い回しみたいなのを見て笑っていた
「昨日は散々遊んだし、今日くらいはゆったりしててもいいか」
30分は経っただろうか放送開始からだいぶたっていたらしく、終わってしまった。
「ほかは、あーこれ好きなんだよね」
『空の警備、陸の警備』
さっぱりしたタイトルとは裏腹に日本を含む数多くの国境警備隊等の普段あまり知れない彼らの働きが見れる番組だ。
芸能人達がテレビに映り司会が喋り出す。
『はいはい、今日も始まりました。今日はゲストに天空龍のアニキが来てます』
何処からかギャラリーが湧く。
そして、2人組が映され名前と上に天空龍のアニキと言うコンビ名が表示される。
『Hey、よろしく』
その他は固定メンツなのか名前が出るだけだ。
『それでは早速見ていきますか!』
視界が声掛けをしてみんなが『おぉー!!!』と手を挙げたところでVTRに切り替わった。
『ここは~で知られる~。ここでは年間~の違法~が~です』
軽い国の説明が入り警備?の人が出てきた。
『我々はアリンコ1匹入れません。どんなときも鷹の目の如く、犯罪者を捕らえます』
意図してか猫が道路を過ぎてく所をカメラが捉えていた。
『さぁ、早速来ましたよ。すいませーん、少し車の中見させてもらいますよ』
着々と進んで行く。最初は何もなかったようだ。
『無いから通す、では無く。無くても確認される、を当たり前にしなければ犯罪は減りません』
謎の熱い意気込みが語られ次の車の番になった。
『なんだよ、俺は何も持ってない!』
珍しく最初っから批判するタイプ。
「こいつ黒だ!多分違法─────。あ、はい。センシティブだもんね」
『落ち着いて、我々は安全を確認するだけです』
結局反発男の車から50キロ見つかった。
次の車はまさかのタイヤ内から。
次は何もなし。
次の国に変わった。今度は空港のようだ。
『私はここで務めて10年になります。怪しい人は絶対に通しません』
番組スタッフと上に書かれた男が鼻髭付けてお手玉しながら通ろうとしたところ停められていた。
ヤラセ番組か???
『では、早速取り締まっていきましょう』
取り締まりがどんどん進んでいき色んな国、色んな人が検挙されていく。
スタッフロールが流れてゲスト達が参戦した作品が紹介されていく。
「あぁ、終わった。ってかアイツ遅いな」
かれこれ2時間は見ていたと思うが未だに帰ってこない。
「ちっ、女神迎えに行くか」
寝転がりながら見ていたせいで重たくなった体を起こしながら玄関に手をかけた
「あ、鍵無くね?外出れねぇわ」
クルっと回ってリビングに戻った
「あぁー、ひょぇー」
ゴロゴロとフローリングの上を転げる
「はぁー、やべぇ。これ程何をすればいいか分からない時間は無いな。すげぇ退屈」
「1人尻取りでもするか?あぁーでもなぁ」
「うー、うらぁぁぁあ!!なんか嫌な記憶が」
謎に思い出し恥ずかで死にかけながら悶えていた。
「うぅ……なんとも名付けにくい感覚」
悶え苦しんでいた所、家のドアが開いた。
「紫雨音、うるさいですよ」
「ひぇょ?!」
「あら、なんですか?」
「なんですかじゃねぇーよ。夜飯ば買いに行くんにどんだけ時間掛けてんだ!」
「心配だったんですか?」
「別に心配なんざしてねぇが、暇すぎてな」
「現代人はねっとげぇむとやらに没頭するって聞きましたが」
「それがな、ちっこくなったせいかゲームの中毒性が触れなかったせいで薄れたか。なんか楽しくないんだ」
「それは童心に帰ったという事でしょう」
「へ、まぁーなんか暇は増えたけど少し心に穴が開いてる気もすんな」
「それはよかったです」
「そりゃ、んね。でもこうまで時間のつぶし方を忘れるなんて」
「よしよし、今夜はお寿司ですよ」
「お、おぉぉ!!まじか!食いに行くのか?!」
「いえ、見ていてください!私が作るんですよ!」
「おまえ握れるのか?」
「ええ、私は女神です」
「女神関係ねぇだろ」
「ってのは冗談で手巻き寿司ですね」
「ん、そうか。さて、なんか手伝う事あるか?」
「そうですね、魚を切ってもらいましょうかね」
「おけおけ」
女神がコメを作ってるうちに風呂を終わらせて台所に立った。
「うーし、って届かねぇわ」
「んーほら」
「おおー浮いた浮いた。超現象!!」
「まぁせっかくやる気の子供を助けないのは主義に反しますからね」
「なんの主義かは知らんがまぁ助かるわ」
刺身に包丁を乗せるとすっと切れた。
「おおー、一般家庭用でもこんなサクサク切れるもんなんだな」
「えぇ超振動がこーなんというかすごいらしいです」
「取っ手の凹みに妙な違和感あったけどそんな理由が」
「えぇ、なんとですよ?一万円ですよ!」
「いいな、この性能でこの値段」
「いいでしょ、しかも買った時に砥石と替え刃がついてきたんですよ!」
「んん??え、あ。まぁいっか」
「さぁぱっと作って食べましょ」
「ん、酢飯も香ってきたし」
「さぁ食べましょう」
席に料理を組み終わった
「うっし!いただきます!」
「いただきます」
「おー女神、海苔取ってちょ」
「はい、五枚くらい持っときなさい」
「ん、あんがと」
「さて、私は野菜メインで行きますかね」
「やっぱ刺身メインっしょ」
「そうですか?でもバランスをとった食べ方はしてくださいね?」
「うん、わはええるお」
「口に含みながらしゃべるんじゃありません」
「すまねぇ。そういや何でさ、今日豪華なんだ?」
「あぁそれはですね!特売ですよ!お野菜も!お魚も!全部安かったんです」
「国を買える女が何を……」
「でもですよ?お会計は一万超えちゃいましたね」
「ちゃいましたね?」
「えぇ、安物買いの銭失いとはまさにこれですね」
「だな!まぁ俺はうまく楽しめりゃいいんけどね!」
飯が終わって夏休み特集のホラーを見ていた。
後ろでは女神が皿を洗う音が響いていた
「お、おかしいよね。なんか夜中のあれ以降怖いんだよなぁ」
「どうかしましたか?」
「いや、なんでもねぇ」
「もしかして怖い話見ててビビってるんですか?」
「なわけねぇば、怖いんだったらみねぇよ。このゾクゾク感がパネェんだよ」
「そんなもんですかね、あっ待ってください!!この声って美杉町太郎生さんじゃないですか?!」
「ん?あぁ司会役のこのおっさんか」
「えぇ!はぁ~かっこいいです!」
「まぁ確かに悪くはない」
「でしょ!!ちょっと気になるなる」
女神がちょこんと横に腰かけてきた
「なんら大人しい」
「えぇホントなら永久保存ですけど、そんなもの持ち合わせてないので」
「ん?そうか」
「にしてもこの番組良く映ってますね」
「なにがだ?」
「幽霊がですよ」
「あ?映ってねぇだろ。バスの中しか映ってねぇぞ」
「え?そこの美杉町太郎生さんの隣ですよ?」
「空席だろ!!!」
「いえ、いますが?紫雨音の目は節穴ですか?」
「見えたンしても見たくない!!」
「はぁー怖い怖い」
「一瞬飛び上がった割に意外とさっぱり戻りましたね」
「あぁ、やっぱ見えんものは見えん。怖さを感じるに値しない!!」
「そうですか、では細工を」
女神が頭に触れた。バスの中にちょくちょく座る人が見えた。
しかしそれは見えては行けないものと即座に分かるもの。
「お、おい……」
「ですから言ったでしょ」
「ま、まぁ怖くはなったが。合成だと思えば」
「ほら、着きましたよ」
バスが病院スタジオ?に着いた。
『今日はここ、廃病院からお送りします』
「美杉町太郎生さんですよ!」
ホラーよりもある種ホラーな熱愛を見え若干引いていた。
『この病院はあの事件以降廃業した所です。その後番組で買収致しました』
私有地に入ってはいけないなど当たり前の注意喚起が一通り終わってからギャラリー達が中に入っていく。
入口はさっきと打って変わり何も無い場所だったが中を写すカメラで恐怖した。
死人が病院の真似事をしていると言えばいいかな。
「ひっ……」
「どうですか!」
「逆に聞くが坊さんとかこれずっと見えてんのか?」
「いえ、霊体質には種類がありますので。私は女神なので色々見えますが、相手とチャンネルを合わせないと見えない人や、向こうから来たらわかる人やなんやら」
「そうか……」
「ほら、見てください!よく幽霊だらけの病室に入れますね!」
物が撤去され殺風景になった病室に大量に群れる死人
「こ、怖くないから」
そのまま恒例のお坊さんが来て経緯を語るとなった。
「お坊さんってやっぱ幽霊見えんのか?」
「万人が見える訳では無いです。彼らは教の教えに従い神仏に近しくなります、その彼らは発する言葉それぞれが浄化させる言霊に変わるのです」
「ふむ、奥深いな」
現にお坊さんが歩く度付近の幽霊が避けたり消えてゆく
『本日はお招き頂き有難う御座います』
「はぁー、あんな感じなんのか」
「えぇ」
「そういや、家の中って幽霊とか見えないけど」
「私が居ますから」
「そうか……」
見えないものが見えるって感覚にいつもよりスリル差を感じつつ堪能していた。
「見てください!!美杉町太郎生さんが御参りしてます!」
「たはぁー、うるせぇー」
神社で清めが終わったあとスタジオに戻った。
そこで心霊写真特殊に変わった。
「心霊写真ってさ、撮れるもんなのか?」
「とれますよ。映る世界は別世界と言います。水面、鏡面。そこには似て非なる空間があります。その中は彼等にとって心地よいものなのでしょう」
「理解が及ばないが映るってことか」
シンプルな肩に手を乗せた物から後ろに立っているものまで多数の選別をしていた
「あれ、あの写真」
「えぇ、あれは偽造です。それに腹を立てて写り込まれたようですね」
後半は怖さより裏側を楽しんでいた
「ふぁ~そろそろ寝るか」
「ですね、美杉町太郎生さんの番組も終わったし」
テレビを切って寝る支度を女神が居るうちに終わらせて直ぐに布団に入った。
「さすがに前回の二の舞にはなりたくないしな」