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第4話

「フランスから来ました、ユリア・バルバートルです。こちらでの生活にまだ慣れていないのでいろいろ教えてもらえるとうれしいです。よろしくお願いします」

「「「うおーー!!」」」

バルバートルさんの自己紹介した直後、うちのクラスの野郎どもの雄たけびが教室に響き渡った。

バルバトールさんを含む女子全員が引いている。

「うちのクラスの男どもはこんなに女子に飢えていたのか?」

俺がつぶやくと、隣の席の桜が

「バルバートルさんはお綺麗ですししょうがないですよ」

と、答えた。

「うるさいぞぉ男子。バルバートルが怯えてるじゃねぇか。テンション下げろ」

と先生が注意する。少し落ち着く男子。

「おし、質問タイム行くぞぉ。質問がある奴手上げろ」

勢いよく手を挙げる男子たち。

「じゃあ、五十嵐(いがらし)

「はい!日本語がすごく上手ですけど、どこで覚えたんですか?」

一人の男子が質問する。

「父の仕事の都合で外国に行くことが多くて、日本にも何回か来たことがあったんです。その時に日本に興味をもって、日本語を勉強したんです。フランス語と日本語のほかにも英語とドイツ語を話すことができます」

「「「おぉ〜」」」

バルバートルさんの答えにクラスのみんなが感心する。

すごいな、俺なんか英語もまともにわからんのに。英語はいつも赤点ギリギリだ。

「よーし次木村(きむら)

「はい、バルバートルさんの趣味はなんですか?」

「趣味ですか?読書と音楽を聴くことですね。休みの日は小説を読んですごすことが多いです。日本の本や音楽は好きです」

読書かマンガくらいしか読まないな。音楽も聞かないな、ていうか聞けない。なぜかというとオーディオ機器のたぐいがないからだ。買う金がないからだ。なんか悲しくなってきた…。

「次が最後な。う〜ん、遠見お前だ」

「はい!好きな男性のタイプは?!」

兼一が鼻息を荒くして質問する。その質問に男子の緊張感が高まる。

兼一、顔怖いよ。一瞬だけど友達やめたくなっちゃったよ。

「好きな男性のタイプ?!え〜と、優しくて、強い人が好きです」

「強い?」

「えぇ、どんな事にも負けない強い心を持った人です」



自己紹介も終わり1日の学校生活も終わりを迎えた。

バルバートルさんの周りから人が絶えることはなく、ほかのクラスからも留学生の噂を聞きつけてバルバートルさんを見に来る人もいた。バルバートルさんも終始笑顔を絶やさなかった。

俺が見た限りではバルバートルさんの登校初日はいい形で終わったと思う。



俺と桜は今、バルバートルさんを彼女の家に送り届けている途中だ。俺たちが彼女を護衛するのは登下校のときと学校内だ。彼女は今フランスの領事館で生活しているらしい。領事館の中ならもとから警備が厳しいので護衛は必要無いとのことだ。そのことに内心おれはほっとしている。24時間つきっきりで護衛なんかしてたら身がもたない。

帰り道の半分くらいに来たところで俺の携帯が鳴った。

「もしもし」

『あぁ3丁目住んでるトメだけどね。遊馬君にちょっとお使いを頼みたいんだけど』

「いいですよ。何を買えばいいんですか?」

『大根とネギと味噌を買って来てほしいのよ』

「わかりました、後で届けに行きますね」

『ありがとうね』

「それじゃあまた後で」

俺は携帯は携帯を切り

「ごめんバルバートルさん、ちょっとスーパーによっていいかな?お使い頼まれたから」

「別にいいわよ。貴重な収入源ですものね」

「ありがとう」

俺たちはスーパーに行ってトメさんに頼まれたもの買った。


「トメさんは足が悪くてね。なかなか外に出れないんだ」

「そうなの…」

「だから俺にお使いを頼むことが多いんだ」

トメさんの家は帰り道の途中にあった。

「トメさん、買ってきたよ」

「ありがとう、遊馬君。これ、依頼料」

「まいど」

「また頼むよ遊馬君」


俺たちはトメさんに買ったものを届け、バルバートルさんの家に着いた。

「今日はありがとう。明日からもよろしくね」

「じゃあまた明日」

「えぇ」

「さようなら」



「とりあえず今日は何もありませんでしたね」

「初日からなんかあったら大変だよ」

「そうですね」

「このままず〜と何もなければいいんだがな」

その時、桜の携帯が鳴った。

「もしもし。後藤(ごとう)警部どうなさったんですか?…はい…わかりました。遊馬さん後藤警部が遊馬さんにかわってほしいと」

「わかった。お電話かわりました」

『仕事を頼まれてくれないか?』

「なにかあったんですか?」

『武装グループが人質をとって立てこもっている。その人質の救出してほしい』

「それは警察の仕事では?」

『こちらの準備にかなり時間がかかる。それに、相手の装備、能力とも我々の手に負えるものではない』

「そんなの民間人に相手させていいんですか?」

『大丈夫だで俺の中おまえは民間人ではない』

「ひどっ!!」

『で、やるのかやらないのか?』

「やりますよやればいいんでしょ」

『よし。現場は熊沢電工の支社に立てこもっている。頼んだぞ』

「了解」

電話を切り桜に返す。

「仕事ですか?」

「あぁ、面倒なこと頼まれたよ。依頼料水増ししといてくれ」

「くすっ、わかりました」

「さ〜て久しぶりのでかい仕事だ。気張っていきますか」

俺は現場に向かった。












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