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12話後篇

ここはじいちゃんの家の玄関、いるのは俺とユリアだけだ。桜と結さんは居間に寝かせてある。

「もうしばらくしたら二人とも目が覚めると思うから、俺が帰ってくるまで休んでていいって伝えといてくれ」

「いいけど、どこ行くの?」

「そこらへんをちょっとブラブラしようかと思って。ここに来るのも久しぶりだからな。そうだ、ユリアに渡すものがあったんだ」

俺はポケットの中から手帳を取り出しユリアに渡す。

「何これ?」

「この家のマニュアル本だ、困ったことがあったらそれを見てくれ。それじゃ行ってきまーす」

俺はじいちゃんの家を後にした。



遊馬が出かけた数分後桜と結さんが目を覚ました。

「大丈夫?」

「なんとか…」

「ひどい目にあった…」

ぐったりとうなだれる二人。すごく痛々しい。あの部屋の中がどうなっていたのか気になるが聞かないでおいた方がいいだろう。

「これが後一週間も続くのか…ほんとに死ぬかもな」

結さんはよろよろと立ち上がる。

「あうっ」

しかしバランスを崩して倒れてしまう。

「危ない!」


ガシャーン!


運悪く結さんの倒れた先には高そうな壺があり、見事に割れてしまった。

「や、やってしまった」

結さんの顔がメチャクチャ青くなっている。怪我はないようだが今はそれどころではない。私たちが呆然としていると壺が割れた音を聞きつけたのかお爺さんがやってきた。

「なにかあったのかね?」

部屋に入ってきたお爺さんは壊れた壺を見て動かなくなる。私たち3人も動くことが出来ない。まるで時が止まってしまったかのようだ。

「すみませんでした!」

静寂に耐えられなくなった結さんが土下座してお爺さんに謝る。的確な行動だと思う。お爺さんはとても優しそうだからきっと許してくれるだろう。

「ふぉっふぉっ、そうか壊してしまったのか。私の大切な壺を」

あれ、なんかお爺さんの雰囲気が変わった気がする。部屋の温度も1,2度下がった感じだ。



「死ね」



いつの間にか手にした刀でお爺さんが襲いかかってくる。

「「「きゃぁぁぁ!」」」

とっさに逃げ出す逃げ出す私たち。部屋から飛び出し廊下を猛ダッシュ。

「まぁてぇぇぇ!」

そのあとを老人とは思えないスピードで追ってくる。顔がメチャクチャ怖い、鬼の形相とはああいう顔を言うのだろう。

「なんでこうなるのよぉぉ!」

私は必死に走りながら叫ぶ。


――――困った時は…――――


私の頭に遊馬の言葉がよぎる。

「あのマニュアル本…」

私は走りながらマニュアル本を取り出し開いてみる。すると1ページ目に「じいちゃんがキレた時の傾向と対策」と書いてあった。

「これだ!」

次のページを開くと、


対策なし。ほぼ死んだと思ったほうがよい。潔く死ぬか最後まであがいて死ぬかは自由。



「何よこれ!全然役に立たないじゃない!」

おもいっきりマニュアル本を破り捨てる。こうしている間にもおじいさんは私たちに迫ってくる。

「本当にこのままじゃ殺される!」

「こうなったら!」

結さんは銃をぬきお爺さんに向かって撃つ。しかし…

「甘いわぁぁ!」

刀を一閃して切り落とされてしまった。

「嘘!?」

「遊馬さんのお師匠様です。このくらいは簡単にやってのけるでしょう」

「だいたい予想はついてたけどね…」

もう家の外に出て広大な庭を激走している。すると桜が思い出したように言った。

「そういえば大きな蔵がありましたよね?」

「「それだ!」」

私たちは蔵に向かった。


蔵は扉は頑丈そうであのおじいさんでも破ることはできないだろう。

「これからどうすればいいの?」

扉にもたれかかりながらポツリと言う私。

「とりあえず遊馬さんが帰ってくるまでここにいるしかなさそうですね」

「それしかないだろう、私たちにおじいさんを止めることはできない」

私たちが遊馬を待つと決めたその時、私の背後から何かが現れた。見るとそれは刀だった。

「ひぃ!」

思わず情けない声を出してしまったが今はそれどころではない。すぐに扉から離れて二人の近くに逃げる。刀は人が一人通れるくらいの大きさの穴を開けそこから見えたのはもちろん、

「見ぃつけぁ」


あの死神だった。

死神はゆっくりと私たちに近づいてくる。恐怖で声がでない。この命も後わずかだろう。こんなことなら告白でもしておくんだった。

死ぬ事を覚悟した時、まさに奇跡がおこった。


「何をしているんですかおじいさん?」

「ば、ばあさん!」

「家がボロボロになっているとおもったらこんないたいけな女の子たちをいじめていたなんて」

「ち、違うんじゃ。これには訳が…」

ストン

おじいさんの顔面スレスレに包丁が飛ぶ。

「問答無用」

「ひいぃぃぃ」

今度はおじいさんが情けない声をあげる。おばあさんはおじいさんを捕まえてどこかへ消えた。

恐怖は去った、しかし時間が止まったように私たちは動かなかった。

しばらくすると遊馬が帰ってきた。

「みんな大丈夫か?」

遊馬の顔を見たらいままでためていたものが一気に溢れだした。

「大丈夫なわけ…!」

「うわぁん!、怖かったよぉ!」

が、私が声をあげようとした矢先、結さんが遊馬に抱きつき泣き出してしまった。年相応ではなく体相応の行動に私は驚いて何も言うことが出来なくなった。

「よしよし、もう怖くないぞ」

「ぐすっぐすっ」

蔵の中には結さんのすすり泣きと遊馬があやす声しか聞こえない。

投稿がなかなかできなくてすみません。この小説の更新を待っていてくれた人がいてくれればうれしいです。

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