第9話前篇
いや〜だいぶ更新が遅れてしまいました。なんか書いてくごとに作品がベタになっていく気がします。コメントいただけるとありがたいです。
「財布が取られた?」
「そうなんだよ!!」
登校してきて早々兼一が俺に言ってきた。
「ふ〜ん」
「いや、ふ〜んて…。もっとこう、心配とかしてくれないわけ?」
「なんで俺がお前の財布の心配なんかせねばならんのだ。お前がどこでのたれ死のうと俺には関係ない」
めんどくさそうに俺は答えた。
「ひどっ!俺たち親友じゃなかったのか!?」
俺の肩を揺さぶりながら兼一が叫ぶ。
「しんゆう?しんゆうって何?」
「親しい友と書いて親友だ!信頼し合う仲の良い友って意味だよ!!国語辞典に載ってた!!」
「俺の辞書には載ってないなぁ」
「じゃあ今載せよ!!あ行より先に載せてあげて!!」
「はいはい。で、その親友の俺にどうしろと?」
「俺の財布取り戻してくれ!」
そう俺に兼一は頼んできた。が、
「嫌だ、めんどい、疲れる」
即答してあげた。
「お願い!お願いします!全財産が入ってるんです!」
「全財産?」
それを聞いて少し考える。
「よし、取り返してきてやる」
「ホント!?」
俺の答えに目を輝かせて言う兼一。
「そのかわり中身の3分の1よこせ」
「えっ、金取るの!?」
「嫌ならいいんだぞ、そのかわり中身は全部帰ってこないかもな」
「…」
兼一は考え込む。
「わかった。それでいいから頼む」
「了解」
「兼一が言うにはここら辺みたいなんだが」
俺は今兼一が財布を取られたという場所まで来ている。なんでもあいつから財布を取った奴らはここら辺にたむろっていることが多いらしい。財布を取ったのは女子3人組、レディースって言うんだったか?まぁそんなのだ。結構有名な3人組みたいで桜に聞かなくても情報はすぐに手に入った。
俺が3人組を探して歩いていると公園の方からバイクのエンジンを吹かす音が聞こえた。かなり大きなマフラーをつけているらしくその音も大きい。
「あそこかな?」
音の方に向かい歩いていく。
「お、いたいた」
お目当ての3人組を見つけた。後ろ姿しか見えないが、髪形はロングにショート、ポニーテール。みんな髪を染めて特攻服を着ている。ロングが金髪、ショートが茶髪、ポニーテールが赤髪だ。
「すみませーん」
俺は3人に声をかけた。
「あん?なんだてめぇは?」
ロングの子が俺を睨みながら言った。怖い…。
「自称親友の財布を返してもらいに来ました」
「財布?」
ロングの子が憶えてないといった顔をする。
「あの情けなさそうな奴のじゃない?」
ショートの子が言う。
「私たちを見て、涙目になりながらガタガタ震えていた男だな。若干ズボンが湿っていた気がしたが」
「あぁ、あいつか」
ポニーテールの子の言葉で思い出したらしい。情けなさすぎるだろ兼一。俺やっぱお前の親友にはなれそうにない…。
「思い出してくれたようなので、返してもらえます?」
「ああ、いい…よ!」
いきなりロングの子が殴りかかってきた。俺はそれを最低限の動きでかわす。
「!?」
それを見て彼女たちは驚いている。
「こ、この!」
連続して俺に殴りかかってくるがすべてをかわす。
「あの、財布は…」
「うるせぇ!!」
なおも連打は続く。蹴りも入ってきた。なかなか速いし威力もありそうだ。
パシィ!
「なっ!?」
俺は連打の中で拳をつかんだ。
「女の子の手はこんなことするためにあるもんじゃないでしょ」
「なんだと!?」
「女の子の手は人を優しく包み込むもんだ。人を傷つけるために使っちゃいけない」
言ってて恥ずかしくなるな。このセリフ。
「う、うるさい!てめぇには関係ねぇだろうが!おい、行くぞ!」
彼女たちはバイクに乗って去っていってしまった。
「あっ、財布返してもらってない…。しょがない追いかけっか」
スッと姿を消す。消えたわけではなく、すばやくジャンプしただけだ。俺今すごく忍者っぽい。屋根伝いにバイクを追う。