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第8話後篇

私たちは出口に向かって走っている。ここまで何度も敵に見つかってしまったがそのたびに三条君が手榴弾で吹き飛ばしてきた。奇跡的と言うべきだろうか、吹き飛ばされた人たちに致命傷を負っている人はいないようだ。

「止まれ!!」

曲がり角を曲がった所でまた見つかってしまった。すぐに角に隠れる。通路には男が二人いる。

「あと少しなのになぁ」

「また手榴弾使っちゃえばいいじゃない」

「さっきので最後。急ぎだったから少ししか持ってきてなかったんだよ」

「あれで少し?」

私は呆れることしかできなかった。

「どうするんだい?」

お父さんが三条君に聞く。すると三条君は背中に手を入れ刀を引き抜いた。私が知っている刀よりかなり短い。

「刀…」

「あなたそんなのも学生服の下に隠してたの?」

「学ランは男子学生の戦闘服だ。その可能性は無限大なのだよ」

三条君は自信満々に言う。

「そうなのか…!」

「お父さん、感心しないでください」

三条君の言葉にお父さんはすごく感動したらしい。興味津々といった顔で三条君の学生服を見ている。

「二人はここから動かないで」

そういって三条君は角から飛び出し男たちに向かっていく。男たちも発砲するが三条君はそれを刀ではじき男たちに刀を振るう。

「ぐっ」

「がっ」

崩れ落ちる男たち。一瞬の出来事だった。

「すごい…」

思わずつぶやいてしまう。

「なんてことだ…!」

三条君が刀を見ながら言った。

「どうしたの?」

私が聞くと三条君は刀を私に見せた。刀の刃がところどころ欠けていた。

「くそっ!この刀高かったのに!!」

「…」

涙を流しながら言う三条君に私は何も言う事が出来なかった。

「あ〜三条君、後で私がお金を出してあげるよ」

その姿を見かねたお父さんが三条君にそう声をかけると、

「あなたは神様だ」

私の父は神になった。

「…はやくここから出ましょうよ…」






「ここまで来れば大丈夫だろう」

倉庫を脱け出ししばらく来たところで三条君が言う。遠くの方からサイレンの音が聞こえた。

「俺が知り合いの警部さんに連絡しといたんだ」

三条君が説明してくれる。手際のいいことだ。

「さてと、そろそろ俺は退散しますかね。警察には俺のことは黙っておいてください。いろいろ面倒なんで」

「わかったよ」

「警察には誰か知らない人が助けてくれたって言っとくわ」

「ありがとう、それじゃあまた」

そう言うとスッと三条君は消えてしまう。さすが忍者だ。

その後私たちは警察によって保護され、組織の人間は全員逮捕された。





私とお父さんが誘拐されてから数日がたち、私は久しぶりに学校に来ている。あの事件はニュースで報道され、学校の人たちはみんな知っているようで私にいろいろ聞いてきた。もちろん私を助けてくれた人物の正体は言わなかった。


「三条君改めてお礼を言わせてもらうわ、ありがとう」

「どういたしまして」

「御巫さんもいろいろとありがとう」

「はい、御無事で何よりでした」

私たちは今誰もいない学校の屋上にいる。さすがにクラスの人に聞かれるのはまずいと思ったからだ。

「あの後どうなった?」

三条君が私に聞いてくる。

「この前逮捕されたのは組織のまだ一部みたい。まだフランスにもいるみたいなの。だから、お父さんはフランスに戻ることになったわ」

「じゃあ、バルバートルさんも?」

「いいえ、私はこっちに残るわ。一応留学生だしね。この学校の女子寮に住むことになったの」

「この学校に女子寮なんかあったんだ」

「はい、遊馬さんの住んでるアパートよりもかなり良いところですよ」

「…へぇ…」

御巫さんの言葉に落ち込む三条君。見てると可哀相になってくる。この様子を見ていると頼りになるんだかならないんだかわからない。でも…

「まぁいいや…バルバートルさんまた何かあったら言ってよ」

「ユリア」

「え?」

「私を呼ぶ時は今度からユリアって呼んで。私も遊馬君って呼ぶから。桜さんもね」

「いいけど、どうして?」

「別に、ユリアの方が呼びやすいでしょ」

「ふ〜ん、わかったよ。じゃあユリア。また何かあったら言ってくれよ。ユリアの頼みなら一回くらいならタダで受けるよ」

ニカッと笑いながら遊馬君が言う。

でもこんな彼だから私はこんなに安心していられるのかもしれない。彼と一緒ならなら大丈夫そう思える。もしかしたらこれが好きという感情なのかもしれない。

「一回なの?」

「こっちも商売だからね。おっとそろそろ授業が始まりそうだ。教室に戻っか」

「そうね」

私が遊馬君の後につづいて屋上から出ようとすると、

「ユリアさん、ちょっとよろしいですか?」

「なに?桜さん。遊馬君行っちゃ…」

私が最後まで言う前に私の顔の横をなにか通り過ぎて後ろの壁に刺さった。見てみるとそれはクナイだった。クナイがほとんど見えないくらいに壁に刺さってた。

「あなたがさっき考えていたことが本当なら、私はあなたを敵とみなします」

顔を青くしている私に御巫さんは微笑みながら言う。顔は微笑んでいるがその奥にはどす黒いものを感じる。桜さんってこんなキャラだった?これが所謂あれ?ヤンデレってやつですか?

「ハハッナンノコトカゼンゼンワカラナイワ」

怖くて片言になってしまった。

「そうですか、ならいいんです。さぁはやく行きましょう」

「ソウネ」

桜さんと屋上から出る。私の遊馬君に対する気持ちは一生封印した方がいいかもしれない。少なくともこのお方の前では決して出してはならないと私は誓った。



「なにしてたんだお前ら?」

後からやってきた桜とユリアに聞く。

「ナンデモナイワ」

「女の子の秘密です」

と、二人は答える。

「またか、なんでユリアは片言なんだ?」

気になったので聞いてみる。

「キニシナイデ」

「さいですか」

なんとなくこれ以上聞いてはいけない気がした。

「さぁ、教室に入りましょう」

桜が言う。

「そうだな」

教室に入って席に着き、視線を窓に移す。

「はぁ…」

ため息をつく俺。この前ユリアを助けに行ったとき調子に乗って手榴弾を使いすぎた、そのおかげでこの依頼で受け取った金のほとんどを使ってしまった。一時のテンションに身を任せるのはもうやめよう。そのうち死ぬかもしれん。

「はやく次の依頼入らないかなぁ」































いかがでしたでしょうか。とりあえずこの話で一区切りということになります。なんか自分でも何やってんだか分からなくなってきました。

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