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オッサンの一番長い日  作者: wildcats3
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初日・失われたアーク放電

 取り敢えず、投稿。サブタイトルに意味はありませんので悪しからず。

 何れは「みてみん」経由で写真を数点差し挟みまする。

 やぁやぁ皆様ご無沙汰で。

 元気でいるか? なろうに慣れたか? お気に入り増えたか?

 同好の士はいるか? 評価はあるか? 今度いつ投稿する?


 まぁそれはさておき棚上げして。

 今年は例年以上に疾風怒濤右往左往のお参りの日々でして。

 26日から、よーやっと夏休みになりました。

 って訳で早速、福岡へGO! 行くぜ、『室町将軍展』!


 先ずは8/27。準備万端整えて新大阪駅に到着。

 しまった! 銀行カードとクレジットカードとICOCAを持って来るのを忘れたぜ! 何てこったいオーマイガー! しゃあねぇある程度は手持ちがある。今日は日帰りだ。帰りの電車賃とタクシー代だけ確保しておこう。何だか遠くの競馬場へ遠征するオッサンみたいだなぁ。……オッサンだけど。


 とまぁそんな感じで新幹線に乗車して、駅弁食べて読書して惰眠を貪っている内に関門海峡を潜っていて、気づけば無事に博多駅に到着だ!

 めっちゃザーザー降りだぜ、土砂降りじゃないからまぁエエか!

 車内アナウンスでは、長崎方面は大変そうだが、福岡は大丈夫っぽいから問題ないだろう、多分きっと。

 さて今日は、久々に筑前筑後さん(以下、筑前さん)と邂逅するのだ。なろうとカクヨムで秀逸な時代劇を発表し、血生臭く男臭い世界を世に展開為されている家庭人の筑前さん。

 https://mypage.syosetu.com/485761/

 ああ勿論、血生臭いのは紡がれる物語であって、リアルな生活ではございませんよ、一応年の為。

 ほら、曲解されたらアレですやん?


 そんな曲解は画面の中ではなく、リアルで起こったりするのですけどね。

 博多駅改札を出て、地下鉄の天神駅へ移動し、筑前さんを探すも見当たらない。電話で遣り取りするも、上手くいかない。何故だと思ったら、筑前さんはビルの2階にある西鉄の駅前で待っておられ、私は地下にある地下鉄駅前でキョロキョロしていたのだから。

 平面と立体で三次元にズレていたら、そりゃあ逢えない筈だよ、おっかさん。墜落だよ落下傘。

 

「Welcome TENJIN, OHYOSAN. I'm TIKUZEN-TIKUGO」

「Hello, T-T」

 などと挨拶を交わしたら駅のサービスカウンターへ。西鉄天神大牟田線の各駅~太宰府駅間の往復乗車券とセットになった、

 九州国立博物館特別展 『室町将軍 ~戦乱と美の足利十五代~』

 観覧券と常設展観覧券(特製栞二枚付)を購入するためさ。

 勿論、私は完品で保存したいので使わず、ポケットからICOCAを取り出して颯爽と改札を……しまった忘れて来たんだ、券売機で片道分を購入してアタフタと電車へ。

 当然の如くセットの乗車券を使用した筑前さんと大宰府駅直行の急行に乗り、ペチャクチャとお喋りしている間に、大宰府駅到着。

 急行には乗車記念のスタンプ台が併設されていたので、降車前に利用。

 ああ、そうだ。今の大宰府は<令和発祥の地キャンペーン>の真っ最中だった。だもんでスタンプもそんな感じの2種でした。


 来たぜ、大宰府! 二年ぶりだな! 今日は参拝が目的じゃないのでスルーするぜ、アディオス菅公!

 博物館への途上には、以前は無かった令和発祥の歌会で詠まれた歌碑とか、以前からあった黒田官兵衛使用の井戸とかがありまして。累積する歴史の上を散策しながら博物館への直通エスカレーターと自動通路を乗り継ぐ。


 さぁ、本日の目的地第一号に到着だ!

 段々と雨脚が強くなってきたけど、今からのお楽しみ時間は屋内だからモーマンタイだぜベイベー。チケット見せてもぎられて、エスカレーターで上に上がれば、パラダイスさ♪


 誇れよ足利将軍! 将軍! 将軍! 室町幕府は世界一! イェイ!


 何となく勢いで天下人になってしまった、初代・尊氏公。

 父の思い付きを明確な体制に仕上げた、二代・義詮公。

 57年間のゴタゴタを片付け日本国王になった、三代・義満公。

 父の広げた大風呂敷を丁寧に畳み続けた、四代・義持公。

 在職二年で早世した病弱でアル中の少年、五代・義量公。

 籤引きは天意の証だと万人を恐怖させた、六代・義教公。

 在職八ヶ月で病死した細川管領の操り人形、七代・義勝公。

 応仁の大乱と東山御物と銀閣寺を作った、八代・義政公。

 戦場で陣没したが死因は呑み過ぎだった、九代・義尚公。

 名前も居所も定まらず二回も将軍に就任、十代・義稙公。

 関東から呼ばれて大内氏に追い払われた、十一代・義澄公。

 近江で生まれて近江で死んだ苦労人気質、十二代・義晴公。

 剣は達人でも政治は超ド素人の厄介者、十三代・義輝公。

 ああそういえばいましたね程度の存在感、十四代・義栄公。

 幕府再興に尽力したのに潰してしまった、十五代・義昭公。


 まぁ改めて思うのですがね。

 室町幕府って始まる前に終わっていた稀有な政権だと思うのですよね。初代・尊氏公がボンヤリと広げたイリュージョンを何とか現実のモノにしようと後代が奮闘したけど、どうにもならなかった可笑しな可笑しな武功上等の時代、それが室町時代だと。

 日本史における意義を無理からに定義すれば、硬直していた社会概念を根底から覆して民衆に活力を無計画にぶっこんだ、って事かも。

 社会の上流階級にだけ集約されていた富を、全国津々浦々に再分配した事で自分達の権威の根っ子を枯らしてしまった、絵に描いたような自業自得政権ですねぇ。

 二代から四代の三人がいなければもっと早くに瓦解していましたし、六代の強権発動が恐怖とならなければもっと磐石でした。十二代と十五代は百年早く生まれていたら名君と呼ばれていたかも。

 つまり、初代を除いた残り八人がいなければもっとマシな政権運営が出来たとおもうのですよ。


 などと思ったり思わなかったりしながら入り口の歴代足利将軍紹介ボードを撮影していたら、突如ガラケーに不穏なメッセージが!


 バッテリーが切れましたんで、あっしはこれでスリープしますよ、然らば御免。


 祟りか!? 祟りなのか!?

 丁度十二代まで撮り終えて、次はいよいよ菊幢丸君だぜ、と思った矢先のブラックアウト!

 やっぱ、菊幢丸を小馬鹿にした教訓の欠片もないギャグ小説を書き散らしている所為か!?


 ガックリとしながら展示物をジックリと拝観。やっぱエエ品揃えやなぁ。

 流石は将軍家。無駄に権力持ってるなぁ、財力は九代目から先細りやけど。

 耳から聞こえるのは声優・三木眞一郎氏の音声ガイド。

 三木氏と言えば、『R.O.D -THE TV-』のリー・リンホー役で御馴染みの!

 いやぁ、声優さんってホンマ、エエ声してはりますね。

 凡そ一時間半かけて室町幕府を堪能。ホンマに最高の特別展でしたよ。

 尊氏の拙い字で筆写した経文とか、浄土宗の総本山や大本山が描き込まれた絢爛豪華な屏風とか、刀とか鎧とか器とか書状とか。

 おおっ! と思った展示の一つが、触って実感出来る<勘合貿易の割符>でした。想像してたのとは全然違い、デカくてゴツかった!


 そんな特別展もバチカン市国に居住する一億五千万人に惜しまれながら9月1日で終了してしまいました。

 しかーし!

 是非ともプラスアルファして室町幕府のお膝元たる京都国立博物館や、国内最高の環境にある東京国立博物館でも開催して欲しいものにて。出来れば後、二回は行きたい特別展でした。

 特にね、目玉展示であった、京都・等持院に安置されている歴代将軍の木像は圧巻でしたのですよ皆の衆! 何故に五代と十四代の二人だけ木像(フィギュア)化されていないのかが、ちょっとしたミステリーですが。

 それにしましても歴代の木像を拝見すると、それぞれの人間性まで理解出来るような、実に不思議な感覚を体感しちゃいました。義満公の半端ねぇーラスボス感よ。

 因みに、撮影OK! ……って、バッテリー切れだよ! 筑前さんにお願いだ!

 義晴公と義輝公を背景に記念撮影して戴きましたが、何だか極東裁判の被告人みたいな感じになりましたよ、どっとはらい。あ、後ろから頭を叩かないで!


 拝観を終え、室町時代を初めて彩って終わらせた皆々様に最敬礼し、グッズショップでは財布と相談しながら買い漁り、常設展をちょちょいと楽しんで外に出たら、雷音が聞こえてきましたよ、流石は大宰府、天神さん日和だね。

 めっちゃ土砂降りで、もう下半身がヌレヌレ。宇野鴻一郎御大の作品風に言えば、ジュンとしちゃったんです、でしたよ御下劣御免!


 天神さんの境内を後にして、筑前さんに「ここに薩摩藩邸がありました」とガイドを頂戴しながら、駅前のラーメン屋さんへ。

 店名は『おいげん』。美味しい豚骨ラーメンの御店でした。

 店長が元音大生で、幼少期から心酔するドイツ・バイエルンが生んだ偉大な音楽家のオイゲン・ヨッフム氏(1902~1987)に肖って名付けた……かどうかは知りません。気になったらお店で尋ねてみよう、「平日サービスはやってますか?」と。


 ポンポンと舌が満たされたら、駅改札を潜る前にコンビニへ。どうかガラケー専用の充電器が置いてありますように……。

 置いてましたよ、充電器! 天神様有難う!

 次の目的地は福岡市内。

 途中乗り換えの各駅停車で戻りましょう、そうしましょう。


 天神駅に到着した途端、筑前さんの挙動が不審に。……まさか、祟りか!?

「切符が無い」

 何故だ、どうしてだ!?

「改札機を通る際に切符を取った記憶が無い」

 祟りじゃなくて、ウッカリか!!

 改札横のサービス室で駅員さんに、

「信じてくれ、出来心なんや、知らんかったんや、堪忍してくれ、堪忍してくれ」

 などと泣き崩れながら身の潔白を嘆願……したりせず、淡々と事実を伝える筑前さん。

 その姿はまごうきとなき九州男児ここにあり、って感じかどうかはラップランド人に尋ねれば評価が分かれる事だろう。

 天神駅の駅員さんが大宰府駅に問い合わせてくれて、筑前さんの身の潔白が証明されたのは何よりで。

 もしかしたらオモリを着けて水に沈めないと駄目かな、と思ったのは杞憂でした。因みに、浮かんだら魔女で、沈んだままならパンピーです。


 西鉄から地下鉄に乗り換え、地下活動に邁進したら大濠公園駅へ。

 日の目を見ずに、曇天大雨ですから当然だ、地上を徘徊する事約10分。

 来たぜ、福岡市美術館!

 将軍の次はアニメ界の皆殺し大魔王様だ!


 嘘です。ほとんど本当だけど。

 ってな訳でやって来ました、『富野由悠季の世界』展!!

 チケットを購入して、音声ガイドを借りる。

 音声ガイドナビゲーターは、ベルリ(=石井マーク氏)とアイーダ(=嶋村侑嬢)。

 『Gのレコンギスタ』は全然観ていないのでピンとこなかったけど、まぁいいや。

 だって、瞠目すべき特別展だったからさ!


 先ずは入り口、『ユンカース・カムヒア・ダイターン3』(著/木根尚登)のジャンボマシンダーが!(※虚偽に御注意下さい)

 幼少期のスケッチ画、学生時代の映像作品、天才手塚治虫の元気が出る虫プロダクション時代の絵コンテなど、貴重品がわんさと展示されていましたのですよ。

 本放送をリアルタイムで観ていた世代にとっては、もう堪らない特別展。

 絵コンテの展示の前には幾つものモニターが設置されており、絵コンテがどのように映像化されているかが一目瞭然にされていました。

 OPやEDも流されており、何度も立ち止まってはモニターを注視し、音声に耳を傾け、口パクで唱和する事の何と至福な事か!

 アニソンって良いねぇ、無数にある人類が生んだ文化の極みの一つですね、ホンマ。

 さて、私はただ只管に懐かしく、呼び起こした記憶と照合させながらニマニマしていたのですが……とは言っても、『海のトリトン(1972)』から『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』までで、『機動戦士ガンダムF91』以降はほとんどまともに観ておりません。

 私より一回り以上若い筑前さんには、実に刺激的なファースト・コンタクトであったようで。

 一時間ちょっとで見終えてグッズショップで買い物を済ませ、ロビーのソファで荷物の整理をして足の疲れを解していた私よりも、更に遅れて会場を出て来られました。

「企画書を読み耽っていました」

 図録を買うから別にいいや、と私は流し観していた展示にいたく興味を惹かれた御様子で。

 世代が違うと、いや、創作に対するスタンスが違うと、惹かれる重力圏が変わるようです。面白き哉、良き哉良き哉。

 興味の対象って千差万別なのですよねぇ。百人いれば焦点が百通り、もしくはそれ以上あるのやも。私も、当日と今とで焦点が全く同じかと問われたら、違うと答えますから。

 特別展を観る前と観た後では、違って当然でさぁね。

 この二日後に拝観する『高畑勲展』もそうですが、趣味であれ生き甲斐であれ稼業であれ、創作に携わる人は是非とも『富野由悠季の世界』を御覧あれ。

 『高畑勲』展は今週の日曜日、9/8の朝9時からEテレで放送される『日曜美術館』を御覧あれ。

 併せて来週の火曜日、9/10の夜9時からBS日テレで放送される『ぶらぶら美術博物館』を御覧になられると良いでしょう。

 私の『高畑勲』展の観賞雑感はまた改めまして。


 そぼ降るどころではない大雨の中を二人歩いて駅まで戻り、地下鉄で一駅移動。赤坂駅の改札を出たら、ちょっと小降りに。

 夕食までの時間潰しに茶店を探すも見つからず、コンビニのイートインコーナーで駄弁るオッサンとオッサン予備軍。


 気づけば時刻は18時。

 夕食だ! 待ちに待ってた夕食だ!

 思い返せば数年前、初めて筑前さんと第三種接近遭遇をしてアブダクションされた行き先が此処でした。

 博多ごまさば屋!

 もうホンマにホンマにホンマに美味しい御店なのですよ。

 漢字で書くと、胡麻鯖。美食の地・福岡が誇る郷土料理のひとつ也。新鮮なサバを惨殺してバラバラにし、薄切りにしたモノをアレしてコレして美味しく戴くって按配で。

 何度頂戴しても「もう美味いとしかいえねぇー」逸品なのです。

 特に、出汁茶漬けようの織田氏は……訂正、御出汁にはあまりの美味さに、バグダッシュみたいにお喋りな私がアンスバッハみたいに黙り込んでしまうのですよ。

 だもんで今回も、ごまさば定食のみならず、単品でごまさばを頼み、新メニューの魚ロッケも注文しての飽食三昧。魚ロッケはアカモクを練り込んだ魚肉コロッケでした。

 どれも、ウマー!!


 室町将軍達の沼に頭からドップリと浸かり、富野由悠季の世界を遊覧し、福岡の美食を堪能し、身も心も余は満足じゃ状態。

 帰宅の時間も迫り、筑前さんとは赤坂駅のホームでお別れ。

 また逢いましょう、また遊んで下さいませ、今後も何卒宜しく筑前さん!


 無事に帰宅して、翌日の朝のニュースを観て仰天。

 福岡市を含む北九州一帯が、線状降水帯とやらで大変な事に。

 山陽新幹線も運休してるやん。

 遊びに行くのが一日遅れていたら……。

 どうやら、室町将軍様方の御加護があったようで。私の日頃の行いの良さが幸いしたのだなぁ。


 被災地域の一刻も早い復旧を願うと共に、災害物故者の御霊の安らかなるを祈念して、合掌礼拝。


 楽しみ事は、安全と安心がないと楽しめませんからね。

 皆様もどうか御無事で御過ごしあれかし。


 さぁ、次回は東京だ! 高畑勲氏と古代オリエントと三国志と恐竜と松方御大が待ってるぜ!

 またちょいと法務繁多になりましたので、次回投稿は来週中になるかと存じます。

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