第0話
西暦2XXX年、人類は特殊能力を使えるようになっていた。
元はと言えば人口の莫大な増加による食糧難を逃れるために「食事を取らなくてもいい人間」をロシア政府が作ろうとしたのが原因だ。
研究で作り出された被験体251号は体内で栄養素をを作るだけでなく、それを体の外に出すことが出来た。
当然世界中の国はこの技術を盗み、「栄養素生産人間」を大量生産した。
栄養素以外のものを作る人間の研究も進んだ。
火、水、電気、その他もろもろ。色々なものを生産出来る人間が生まれた。1人の生産人間ばひとつの種類のものしか生産できないことがわかったが、人はそこら中にいるため、大きな問題ではなかった。
被験体251号が生まれてから50年ほどあと、生産人間に人権が認められた。それまで生産人間は実験で生み出されたものとして扱われていた。
彼らはは奴隷のような扱いを受けていて、社会から蔑まれていた。しかし、人権が認められたことで、生産人間になりたいという人が急増した。
また、それらと同時期に、生産人間と普通の人間の子供は生産人間になるということもわかった。
そこから更に100年ほど月日がたった今日、世界中になるほぼ全てのものは、人の体の中で生産できるようになっていた。
そして、世界人口のおよそ98%が、何かしらのものを生産できるようになっていた。
この物語は、そんな世界に生きる若い生産人間の話である。