表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

犬の日常~忠犬ハチ公とは程遠い犬

作者: ちょこみかん

犬から見た日常。実家の犬を書きました。家族と共に生きる犬。家族の一員。動物は純粋だなと思います。

 わたくしは、犬。

5年前に、この家にやってきた。新聞の里親コーナーで、今の飼い主に見つけてもらったらしいの。

 ペットショップで犬を買う人間もいるらしいけど、わたくしは、無料でもらったタダ犬らしいの。


 雑種だからか、ミニチュアダックスというよりは、でかいみたいで、デカチュアダックスと言ったほうがいいかしら。

新聞に、わたくしの顔も載せられていなくて、ミニチュアダックスの雑種、と書いてあったらしいけど、ある日、前の飼い主に突然、連れていかれたら、新しい人間がいたの。その人が今の、わたくしのご主人様なの。初対面で今の飼い主に、「子犬なのに、でかっ」っと言われたわ。

 この家に来た初日は、恐怖で体が震えたわ。新しい環境。何か恐いことをされるんじゃないかと、思ったけど、優しい家族みたいで、すぐに慣れたわ。

 わたくしの1日は、まず、朝、2階から家族の足音が聞こえたら、目が覚めるの。「おはよー」と、そばに来てくれて、起きておしっこをしたら、ケージから出してくれるの。

 ケージから出たらまた飼い主に、ご挨拶。しっぽフリフリで喜びを表現するのよ。「トコトコトコトコ……」家中を探索したら、ソファーにごろんとなるの。家族はコーヒーを入れたり、食パンを焼いたりして、テレビを観ながら朝食を食べてるわ。

 たまに、パンを一切れくれる家族もいるから、テーブルから顔を出して、手をちょこんと家族のひざにのせて、頂戴アピールをして、パンを凝視するの。でも、父ちゃんは絶対にくれないから、近づかないわ。テーブルから、わたくしが顔をヒョコヒョコ出すから、姉ちゃんから、「もぐら叩きみたいやな」「トンカチで叩いてやろうか」といわれたの。

 パンが貰えそうになかったら、そそくさとソファーに戻るわ。冬はストーブの真ん前が、わたくしの特等席なの。冬は、ストーブの前に洗濯物が乾かしてあっても、ズリズリ、ズリズリ、洗濯物をよけて、温まるわ。だって寒いんだもの。

 わたくしのご飯は、1日2食なので、朝はないの。人間はいいわよねー。3食も食べるんですもの。しかも、色んな美味しい物を食べているみたいだし。おやつやデザートまで食べてるし、人間ってなんと贅沢な生き物なんでしょう。わたくしは、ドックフードと、水と、たまにもらう芋だけだわ。芋はわたくしの大好物なの。

 そして、人間達の身仕度が終わると、でたー。母ちゃんが、世にも恐ろしい物体を出してくるの。細いひもの様な物を、引っ張り出して、「ブスッ」っと差し込んで、スイッチを入れると、「ウィーン」と物凄いデカイ音がする。あの物体に、わたくしはいつも吠えまくるの。だって恐いんですもの。家族はそれを、「掃除機」と言ってるわ。

 恐くて、後ずさりしながら、吠えるの。あんまりにも吠えるから、父ちゃんに抱っこされたりするわ。掃除機が離れると、ホッとするの。何であんな物を、毎朝、母ちゃんは出すのかしら。 午前中は、だいたい父ちゃんの膝の上か、ソファーか、家中をトコトコ探索してるわ。

 たまに来客の気配がすると、大声で「ワンッ!ワンッ!」吠えまくって警戒するので、姉ちゃんからはセコムと言われたわ。

また、赤い物体に乗った人が来たら、本当に全力で吠えて威嚇するわよ。物凄い音がするんです。「郵便局のバイクよ。いい加減に慣れな。」と家族には呆れられてるの。

 さーて、うちにはうさぎもいるのよね。でもあいつは嫌い。いつも草いっぱい食べてるし、残り野菜もらってるし、父ちゃんに可愛がられて何かムカつく。私のテリトリーに入って来るなって感じ。

 そろそろ、人間のお昼ご飯の時間かしら。わたくしのご飯は、家族が食べた後なのよね。本当に、鼻がいいのに、家族は目の前で朝も昼も食べて、たまらないわ~。あー………眠くなってきたわ。眠いから寝ます。

 

 

  わたくしは、犬。いつの間にか寝てたわ。起きたら家族はお昼ご飯を食べ終わって、父ちゃんはお仕事に行って、?クンクン………ん……?そろそろわたくしのご飯かしら?いつもの、匂いがしてきたわ。姉ちゃんが、ドックフードを計りで計ってるのを確認したわ。

 ━━━姉ちゃんは、胃が弱い犬のために、消化が良くなるように、ドックフードをぬるま湯で、15分ふやかしてくれている。しかも、アレルギーなので、市販のドックフードが食べられない。何度も嘔吐を繰り返したので、病院に行ったら、高級な医療用のドックフードを進められたのだ。でも、そのドックフード、子袋ではかなりお高い。だから、インターネットで大量に入っている、お得なやつを注文している。それでもお高いが、仕方がない。この犬は、このドックフードでしか生きていけないのだ。鶏アレルギーか、小麦アレルギーかは、不明だが、やれやれ。犬のくせにアレルギーとは、何とも手のかかる犬である。

 

 また今から15分、待たされるのよねー。そして15分後………


 「犬~ご飯よーーー。おすわり。」

やったーご飯だわ。犬は駆け寄っていった。

「お手」「いち、にー、さーん、………」

まだかしら。早くちょうだいよ。「よしっ」パクパク……夢中でガツガツ食べる。速い速い。

あーーーお腹いっぱい。お腹も満たされたし、また寝ようかしら。

家族もそばにいるし、眠くなったので、寝ます。


 ひと眠りすると、「トコトコ、トコトコ」わたくしの、仕事は、家の警備員。でも、よそ者には全力で吠えるから、叱られるけど、泥棒避けにはなるかしら。自営業だから誰かしら家にいるの。寂しくないわ。

━━━しかし、長い家族の留守中には、わざと、おしっこを座布団にする犬であった。また、犬パンチで、「ボスっ」と、障子に穴を開けたりする犬であった。                           


帰ってきたら母ちゃんの、「ぎゃー」という悲鳴が聞こえるのは日常茶飯事であった。                           


そして、父ちゃんが仕事から帰ってきた。シッポを全開でフリフリする犬。わーい父ちゃんが帰って来たわー。喜びを全身で飛びついて、表現するのよ。喜びの舞~。「ただいまー。」

━━━そして、家族はコーヒーやおやつの時間。犬はまたまた、家族がおやつを食べている姿を目の前で、眺めなければいけないのであった。

 でも、家族が帰ってきて、とってもうれしいわー。テンションが上がりますの。やっぱり家族がそばにいると幸せなの。

━━━夕方、母ちゃんが夕食の準備をしている。そして、サラダをテーブルの上に置いた。

すると、犬はテーブルから顔を出し、しばらく様子を伺って、「チャーンス」犬の目線にサラダのハムが見える。

家族が見ていない隙を狙って、舌を一生懸命伸ばし、「パクり。」

食べた。何事もなかったかのように、平常を装う犬。

「こらぁーーー!!!あーー~。ハムがない。食べたな。」「犯人はこいつしかおらん。」「もーーー。」

盗み食いが成功してご機嫌な犬であった。フンフン♪フーン♪チョロいわー。

 そして、家族の夕食後、犬もご飯を食べて、散歩の時間。一気にテンションが上がる。犬にとっては、1日のうちで、一番楽しい時間。散歩も、人間が犬を引っ張るというよりは、人間が犬に引っ張られる毎日であった。

 楽しかったー。疲れたわー。いつも同じ道だけど。

後は家族はテレビを見て、わたくしは家族にべったり、引っ付くわ。手をしつこくべろべろ舐めるの。まっ、愛情表現なの。そのうちに、わたくしは、眠くなって寝てるの。家族が寝る時間になったら、わたくしもケージにトコトコ、入って寝るわ。冬は毛布もかけてくれるから、暖かいのよねー。おやすみなさいー。

 



そして正月そうそう、鍋に入れるはずだった生の豚肉を全部食べた。

肉をテーブルの端っこに置いてしまっていたのも悪いが、皆バタバタしていて、家族がそれぞれの事をしていた。家族の目につかないほんの少しの隙を狙って、見ていないだろうと様子を伺い、音も立てずに全部食べたのであった。気づいた時にはほんの一切れになっていた。


「こらぁー!!!」

 

「お前はもう飯抜き!!!」激怒する父。 


あたたかい家族と一緒にいるだけで、幸せな犬であった。  

     


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ