5話
( ˇωˇ )一人称の入れ替わりの書き方が未だによくわからないです。
俺はめちゃくちゃ焦っていた。
なぜなら発言、動作全てを『大賢者』に任せていたからだ。
なんかあらぬ方向に進んでいる気がする。
勝負をふっかけるまでは俺の意思だ。だがコイントスからは全て『大賢者』が行っている。
『痛覚遮断』で痛覚は切っているが吹っ飛ばされた時の強烈なGがかかる感覚に酔ってしまった。
だがそれでも『大賢者』は体を動かす。
ここで止めようものなら俺は戦いに関しては素人だ。『身体能力強化』もあるが使いこなせる気もしない。
という訳で俺は全てを『大賢者』に放り投げて一人称で戦いを観戦するという世にも珍しいことをしていた。
俺が今持っているのは【聖弓マーキュリー】というとあるラノベに出てくる神話級武器だ。
それを『大賢者』はうまく使っている。
だが俺は戦いを楽しみに来た訳ではない。
目的を果たそうか。
「(大賢者、まずは柔を無力化しろ。)」
『御意。』
と大賢者は快い返事をしてくれる。
だがこの舞妓と隙のない激しい乱舞を繰り広げる中どうやって後ろの柔を無力化するのだろう。楽しみだ。
「限りがないですね…」
『マスター衝撃に備えてください。』
「(…は?)」
「歪二天礼法:アイヌキ」
ん?体が動かないな。どういうことだ?
『剣士同士の極地、アイヌキはご存知ですね?』
「(…ああ、あれか。)」
とある書で読んだことがある。
アイヌキ。剣士同士の実力が拮抗しているときに打ち込みに行けずにお互いが動けない状態で精神をすり減らす状態…だったような気がする。
つまりはその状態に強制的に持ち込んでから…
「はぁぁぁぁぁ!!」
と、柔がとてつもない膂力で攻撃する訳か。
いいチームプレーだ。
てか柔のあれ、ガノ〇ドロフみたいだな。暗黒のオーラを纏って裏拳とか。さながらじゃねぇか。
あぁ、このGがかかる感覚は慣れねぇなぁ。
「やりますね。でも俺は倒せねぇですよ?」
「あれでも倒れんのか…」
と柔が呟きながら独特の構えをとる。
あれは空手道?
「さぁこいよ。」
「…はっ!!」
活きのいい掛け声と共に柔の姿が消える。
瞬間左前方に現れ右足を顔面に向かって上げている。
だが『大賢者』。その右足を取り流れるような動きで柔を地面に叩きつける。
「ガッ!!」
と予想外の投げに息を吐くが流石、瞬時に受身を取り体勢を整えようとするが遅い。その時には背後に回りなんと首トン。
あの首トンである。てか現実で出来るんだな…。
舞妓が突っ込んでくる。隙を見せている、とでも思っているのか。
『大賢者』はいつの間にか妖しく黒光りする小太刀を取り出し二刀揃えた横切りに対して小太刀の刀身を這わせ剣線をずらしそのまま小太刀を首に突きつける。
「…参りました。」
すると大賢者は俺の操作を止める。
「あぁ、楽しかったよ。俺は脅威だったかい?」
「え、えぇ、あの投げは見事でした…。」
「それはどうも。でも俺の勝ちだから能力については話さない。ほら、柔を生徒会室にでも持っていきな。」
「…こ、こんな小さい女の子1人に男子、ま、ましてはこんな体格のいい人を運ばせるのですか?」
「どうせ能力のうちに身体能力は強化されているだろう。じゃないと到底真剣をあの速度で振ることなんてできないだろ。」
「…1人で行けばいいんでしょう?」
「最初からそうすればいいものを…。」
「わかりましたよ。では。」
「あぁそうだ。2つほど。」
「なんです?」
「生徒会にこのことを報告はすると思うけどできれば偽りなく話してくれると有難いかな。」
「どうしてです?」
「それは教えないかな。それともう一つ。刀に触れてるときに性格が変わるの直した方がいいよ。今の方が私的には断然イイし、なにより好きな人に振り向いてもらえないぜ?」
「なっ!!…余計なお世話ですよ。」
舞妓は少し頬を染め答える。
「ま、お節介だったな。では俺はこれにて。」
と言い俺は拠点に転移する。
その時に聞こえた
「どうして殺さなかったのです?」
という呟きにネバリとにたつく笑みを浮かべながら。
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