1話
ぼっちぼっち( ^ω^)
俺、月平桜は本を読んでいた。
今は朝のホームルーム前の時間。俺以外の生徒は大抵雑談に耽っている。
この知識欲を満たすために異世界物のラノベを読んでいる。決まったジャンルを読んでいるわけではないが今はライトノベルがお気に入りだ。
いつも通りだ。そう、今日もいつも通り。
変わらずぼっちで普通に授業を受け、1人教室の隅でパンを齧り、部活もせず、帰って本を読む。
そうなるはずだった──
──PM12:45
今日も教室の隅でパンを齧り、昼食を終え、「さぁ、読書でもするか」と思っていたときだった。
「ピンポーン♪えー、教職員、生徒は全員グラウンドに集まってくださぁい。繰り返しまぁす、教職員、生徒は全員グラウンドに集まってくださぁい。」
校内放送が流れた。
幼いとも若いともとれる女の子の声だった。
周りの生徒は放送の内容に戸惑いながらもグラウンドに行くようなので俺もいそいそとあとを付いていく。
数十分後には全校生徒が集まり教師が点呼をとって全校生徒、全教職員が集まっていた。
ざわつきながらも何かが始まるのを待っていた。
と、そこで突如轟音と共に生徒の真正面に少し大きめのステージが現れた。そう、何も無かった場所に。
ステージの上には銀髪の美少女が立っていた。まるでラノベやアニメで見るような美少女だ。
「はぁ〜い。本日はお集まりいただきありがとうございまぁす♪私、エリーゼと申しまぁす。どうぞよろしくぅ。」
マイクを通した声はさっきの校内放送と同じ声だ。突然の美少女の登場に男子は興奮気味に女子は様々な反応を見せた。
「これから皆さんにはゲームをしてもらいまぁす♪どんなゲームかというと〜…」
「おい、なんだね君は、こんなことを始めてもらったらこまるんだが」
あれは確か教頭先生か。こんなことを始めてもらったら困るということは予定外?サプライズイベントか?
「うるさいですねぇ」
少女はどこから取り出したのか振り上げた右手に大鎌を持っていた。それを振り下ろした。教頭の首に。
躊躇いもなく殺した。
周りからは悲鳴。驚愕の声。
だが俺の心はなぜか冷静だった。「おかしい、血が出ない。」
目の当たりにした光景を見てこんなことを思っていた。
「これから皆さんに行っていただくのはデスゲームです。ルールは簡単。1、全校生徒が40名になるまでこのゲームは終わらない。2、ゲーム開始と同時に自身に見合った能力を1つ授ける。3、楽しく殺し合いましょう♪」
そう言った。その内容を記憶に留める。
「それでわぁ、ゲーム開始に当たりまして、教職員の存在は邪魔なので殺しのガイダンスだと思って私が殺していきまぁす♪」
そう言って彼女は教職員を次々とその大鎌で殺していった。一方的な虐殺。またも悲鳴。
俺は少女の言葉に耳を傾ける。
「もし、半殺しになったら現実と同じように血が流れますよぉ。こんな風に、ねっ♪」
と言って女教師の手首を分断した。
女教師は悲鳴とも聞き取れない声を上げる。
切られた手首からは血の噴水。それを見た俺はどこか美しいと思ってしまった。
「耳障りな声ですねぇ。えいっ♪」
と少女は女教師の首を鎌で切った。
すると女教師はまるでゲームのようにポリゴンとなって散った。周りに飛び散った血も無い。
「殺したらその人はポリゴンとなって消えまぁす。ちなみに自殺したら死体はそのままだから気をつけてねぇ♪」
そう言って1人、また1人と教師を殺していく。
俺は的外れにも「あの華奢な腕でよくあんな大鎌をふりまわせるな」とか「剣でも体重を乗せないと首は分断できないって聞いたことあるのに無造作に振り回しただけでなんで首が切れるのだろう」とか思っていた。
そんなことを考えていると少女が全ての教師を殺し終えた。
「ふう。では準備も整ったことですしゲームを始めますかぁ。ええっと〜、|毎回こうしてるのですが(・・・・・・・・・・・)、状況を整理するためにゲーム開始は今から1時間後にしまぁす。それではぁ、解散っ♪」
と言って少女は消えた。まるで初めからそこにいなかったみたいに。
周りはざわつく。
ふむ…状況を整理しよう。
まずは俺はこのデスゲームに強制参加。
言い分からすれば多分学校からは出られない。
そして1番の疑問点は能力だ。恐らくこれを使って殺し合うのだろうが「自身に見合った」というのが不明な点。だがこれは今考えても無駄だろう。
そんなところか。何よりも情報が足りないな。
周りが一段とうるさくなったと思えば校外に出ようとした生徒が出られなかったらしい。予想通りだ。
さて、ここからどう展開が進むだろうか。
予想できるパターンは3つ。
1つめは生徒会長などの生徒代表が全校生徒を1つにまとめる。これはだめだ。何よりゲームが先に進まない。
2つめはクラス委員長などがクラス単位でまとめる。これはいいだろう。生存できるのは40名。クラスの人数はどのくらすも40名だ。
3つ目は5500名も生徒がいるのだ。大きな派閥と小さな派閥にそれぞれ分かれるというものだ。これが1番ありえる。人望、人気のある奴が取りまとめ、指揮し、生存を目指す。
こうなれば俺が取れる選択肢は1つだ。
俺はこのデスゲームでもぼっちを貫くまで。
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