ヒトミ
所変わってこちらはヒトミの自宅。
アパートと、いうよりかは「◯◯荘」といった趣きだ。そんな一室が彼女の自宅だ。
ヒトミは部屋の中央にあるテーブルにノートパソコンをおくと噛り付くようにキーボードを叩き始めた。
帰ってからシャワーはおろか、着替えもせずだ。
そして、はたとキーボードを叩く手を止めた。
「ここまでか…」
ヒトミはそう呟くとその場にゴロンと横になった。
自分の視界に空になったペットボトルやゴミ箱変わりにしているコンビニのビニール袋が入った。
「あ~。たまには部屋の掃除をしないとな~」
と呟きながら目を閉じていった。
どうやら創作意欲よりも睡魔の方が優ってたらしい。
それに昨日から自宅に帰っていなかったので疲労の方もそれなりにあったのだろう。
彼女は何かに引き摺られるように寝入ってしまった。
ヒトミはサークル「しゃんぐりら」に東方プロジェクト二次作品の小説を寄稿している。
それがレイミとの合作であったり、自分自身のものであったりする。
挿絵はしおんが担当したり、余裕があればレイミも担当したりする。
彼女の東方プロジェクトでのお気に入りキャラクターはさとり妖怪の
「古明地姉妹」
だ。
第三の目によって心を読む事ができる妖怪。姉の古明地さとり。
第三の目を閉じその能力を封印して存在そのものを消した、妹の古明地こいし。
姉妹の相反する能力。その能力がもたらす悲劇。
あどけない外見と反する幾多のエピソードが二次作では語られている。
それゆえ、作家としては色々とそそられる部分も多い。
彼女もレイミ同様、東方プロジェクトはゲームからでは無く同人誌の二次作品からハマっていったクチだ。
東方プロジェクトがゲームである事は後から知った典型的な東方二次作フリークだ。
どのようなキッカケで東方プロジェクトの二次作品に出会ったかは解らないが、二次作品にハマり始めからというもの自分でも何かできないかと思い、それが小説を書くキッカケへとなった。
二次作品の中で色々な作家の様々な解釈によって独特な世界観を作り上げていく東方プロジェクト。
時に激しく。時に楽しく。時に悲しく。その姿をまるで読者に合わせるかの如く七色に変える。
そんなバライティー豊かな二次作品群に彼女は魅せられていった。
彼女の書く東方プロジェクトの作品は基本的に悲しい作品が多いが、レイミに作品を提供し始めてからはドタバタ系の明るいバラエティー作品も手掛けるようになってきた。
自分でもどうしてだか解らないが、どうもキャバクラ「しゃんぐりら」の面子から何かしらの影響を受けてるのではないのだろうか?と思っている。
「あ…。」
思わず床で寝入ってしまったヒトミは目を覚ました。
寝ぼけ眼で辺りを伺う。無理な姿勢で寝た為か?身体の部分部分が痛い。
「痛ツツ…。またやっちまった」
ヒトミはそう呟くとベッドへと向った。
安いパイプベッドが彼女を受け止めギシリと音を立てる。
そしてヒトミは布団を被り中でモゾモゾと服を脱ぎ始めた。
服を来たままだと寝苦しかったのだ。
彼女は「う~ん」とうめき声をあげると再び眠りについた。
ヒトミが布団の中でどの様な格好なのかは皆さんの想像にお任せしよう。