絶望
目の前を黒猫がよぎった。。
なんで、こんなことに。。。なったんだろう。。
耳元で鳴いていた蝉、頭上で青々と澄み渡る海の中を太陽の光が輝いていた。。あの夏は、どこだろう。。
夏は終わり、凍てつく真冬の寒さの中で恋野 星は思いにふけるしかなかった。
懐かしい。。全てが懐かしい。戻りたい、あの時あの場所に。
神さま、お願い。。もう逃げられない、この現実から。。。自分の身体は、どうなってもいいからお願い。。
3年前8月7日
この日は、学校に呼び出されていた。
熊谷「恋野、起きてるかー?」
熊谷「恋野。。授業中に寝るなー!」
担任の熊谷 仁は、厳しい先生で有名だった。
学年主任を勤めていて、担当教科は数学であった。
今までにも、熊谷の授業中に寝る人は居た。でも、今では、その人達は学校を去っていった。
理由はわからない。熊谷が恐れられる理由は、
厳しいのもあるけど、それ以上に、
学校を去っていったという噂で恐れられていた。
それなのに、恋野 星は違った。
恐るどころか、夏休み中に授業を受けている理由も授業中の居眠りが問題なのだ。
それなのに、現に熊谷の授業中に眠っていたのだ。
寝ている恋野に対して熊谷は教科書を頭に振り落とした。
恋野「痛い。。ひどい先生。。」
恋野は勉強が苦手で、その分、スポーツが得意だった。
怖いもの知らずの明るい女の子だった。
熊谷「あのなぁ、恋野いい加減、授業をまともに聞いてくれないか?」
恋野「しっかり聞いてたよ。」
熊谷「どこまでだ?授業開始、五分で眠っていたように見えたのだが。」
恋野「えへへ。」
教室には、いつもは40人のクラスメイトがいるけど、夏休みということがあって、いるのは5人だけだった。
熊谷「いい加減にしろ。」
再び、教壇に戻っていった熊谷に対して、隣に座っていた親友の花宮 理恵が話しかけてきた。
花宮「もう〜。星は、こりないね。」と微笑んでいた。
私たちは、小学2年生。
まだ、2年生になって、4ヶ月。
これから、このクラスのみんなと仲良くしていくのだ。
そう思った時、ひときわ冷たい風が吹いた。。
花宮「どうしたの、星?」
理恵に目を向けると心配そうにしていた。
恋野「ううん、なんでもない。ただちょっとだけ寒気がしただけ。」
花宮「大丈夫?保健室に行ったほうがいいよ?」
恋野「大丈夫だよ。ありがとう、理恵」
サイレンが鳴った。。
「緊急事態発生。緊急事態発生。直ちに第3避難配置に移動してください。。」
恋野「またなの。最近、多くない?」
花宮「そうだね。最近、多いね。」
この町には、黒い風が吹くのだ。。
正体も、詳しいこともわからない。
ただ良くないものなのはわかる。
理恵と私は、学校の外れにある西棟の屋上があてられていた。
この町は、東京ドーム約30個分の小さな町だ。
そこに、町の人全員手分けして、町を守っているのだ。半年に一回、同じようなことがあるけど、
今回は、ひと月に二回目なのだ。一回目は、三週間前に。
そのときは、配置にすら、着くことはなかった。
この町の外は、どうなってるのか、わからない。外に出ようにも、守衛さんがいて、出してもらえない。
花宮「来るよ、星。」
恋野「ありがとう、理恵」
一瞬、黒い光が閃光したように見えた。
恋野「大丈夫かな。。いつもとなんか違うよね。。」
そのとき、地面が大きく揺れた。
西棟だけでなく、学校、町全体を、大きな衝撃が襲う。
花宮「なんだろう。この揺れ。。」
空が、また黒く光った。
恋野「まぶしい。。。」
気を失ってしまった。
いつもは、西棟からでも街並みが見えていた。クリーム色の家、青い屋根。
でも、今は。。。
街の面影すら感じられない。。
恋野「ねえ、なんで、こんなことに。。。聞こえてる?ねえ、理恵。」
私は見てしまった。
見たくなかった。。でも。。
自分の隣に転がっている女の子の死体を。。
元は親友だった。。。。理恵だった。